今回はTeclastよりM40 Proを提供頂いたのでレビューしたいと思います。
M40の無印に関しては半年程まえにすでにレビューしていました。Antutu20万点台を出すUnisoc T618はかなりコストパフォーマンスが良くエントリー帯の低価格タブレットにおいては多くの機種で採用されています。今回のM40 PROでは無印版からどれだけパワーアップしているのか?を見ていきたいと思います。
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スペックは無印から据え置き スピーカー・バッテリー強化がメイン
まずはスペック表から見ていきたいと思います。
OS | Android 11 |
SoC | Unisoc T618 |
ディスプレイ | 10.1インチ Full HD IPS液晶 |
メモリ/ストレージ | 6GB / 128GB SDカード対応 |
バッテリー | 6000mAh → 7000mAh |
スピーカー | 4基搭載 |
SIM対応 | LTE対応(ソフトバンク◎) |
GPS | 対応 ○ |
WideVine | L3 |
全体的に無印M40と大きく差はありませんが、OSがAndroid11に上がった事と、弱点だったバッテリーが6000mAhから7000mAhに強化された事。
そして、スピーカーがクアッド構成なった事が大きな変更点ですね。
SD対応・GPSといった基本的な部分もしっかり対応し、エントリー機としては十分すぎる性能をもったUnisoc T618は引き続き採用しています。前作M40無印は一般的なブラウジングや動画鑑賞などにはストレスなく使えるまさに普段遣いタブレットという感じで、今回のPRO版もそれに準じた構成になっています。
ちなみにわかりきっていますがWideVineはL3でした。ストリーミング再生では低画質固定です。
Antutu V9の結果です。23万点前後という数字ですがV8よりスコアが高めに出るので無印M40と同等のスペックかなと思います。
デザインチェック PRO版はデザインも大幅に変更
筐体の方をしっかり見ていきましょう。公式でフルメタルボディと紹介されてるんですが、これほんとうに金属ですか??何か触った感じプラスティックなような気がするんですが…。すみません本当にわからないです。他の方のレビューとか見てもこれが金属かどうかは曖昧なようです。
個人的に触った感じこれは金属では無いように思います。無印版のM40もフルメタルと記載がありましたが、背面はプラスチックだと思いました。ただ、持った感じのズッシリ感はプラスチックでは無く、おそらく内部フレームがメタルということなんじゃないかな?と思います。
まぁともあれ、質感は凄く良いです。持った感じペコペコする感じも無くガッチリしています。前作M40と比較してもモダンな印象になりましたね。
カメラ周りのデザインがすっきりしました。前作M40無印はちょっとゴツくて中華っぽい雰囲気が抜けきらなかったんですよね。
本体上部はイヤホンジャック・SIMトレイ。タブレットでも省かれ始めたイヤホンジャックですが、やっぱ必要だよなぁと無くなって改めて思います。スピーカーも上下にそれぞれ2つ搭載され合計4基。スピーカー強化がPRO版の特徴です。
一方、本体の重量は無印版同様で550gを上回り、10インチタブレットとしては重めだと感じます。
ディスプレイ面です。ベゼルは結構分厚いですね。手に持った時のずっしり感はやっぱ結構なもので、ゴロ寝で使ったりはちょっと厳しい重量感かもしれませんね。全体的に質感は前作M40よりしっかりクオリティアップしていると感じます。中華っぽい感じが抜けてスッキリしたという表現が一番良いかもしれません。
ちなみに今回ケースも付属していました。シリコン製の簡易的なものですが、ウェイクアップにも対応したケースです。
ディスプレイチェック
ディスプレイはFullHDのIPS液晶です。ディスプレイの質は無印M40から変わっていない印象です。他メーカーと比較しちょっと暗めなのと、青っぽく感じます。必要十分ではありますが、最近の有機ELとかに慣れた目だとやっぱ物足りなさを感じますね。コントラストが低いです。輝度もあとワントーン欲しくなります。
M40無印が出始めはこのクオリティでも満足出来たんですが、後続の製品がディスプレイの品質を高めた事もあり現時点ではちょっと見劣りします。PROと銘打ってるのであればディスプレイもパワーアップしてほしかったところです。
タッチ精度について
Teclast M40 Pro
悪い意味でフッワフワなスクロール pic.twitter.com/bKT9y3WHlT— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) September 10, 2021
気になってしまったのは前作M40よりもタッチ感度があまり良くない事。ブラウジングなどで縦スクロールがふわふわします。Unisoc T618系のタブレット全般に言える事ですがキビキビ感がありません。それに輪をかけたような挙動ですね。なぜ無印版よりも改悪されているのか…。
スワイプやスクロールした時の独特のモワッとした感じが、Antutu20万点超えのスペックとは思えないんですよね。感覚的にワングレード下のSoCを採用したタブレットに近いです。やはりSoCだけで無くディスプレイの品質も使い心地に直結しますね。
低価格帯タブレットはSoCの性能だけでは判断が難しいですね。PROと銘打ってるバージョンのほうがタッチ精度が悪いというのはブランドとしてネガティブなんじゃないでしょうか。
スピーカー性能
スピーカーは上下それぞれ2基ずつの合計4基搭載のクアッドスピーカーですが、実際の音質はどうでしょうか?
先に言ってしまうと、あまりスピーカーの品質は良くないですね。クアッド構成といっても一つ一つが非常に弱く、貧弱なスピーカーが4つついてるだけという印象。音の広がりも無く、全体的に籠もっています。
ライバルであるiPlay40もクアッドスピーカー構成でしたが音質はお察しレベルでした。M40 PROもこれに非常に近いです。正直スピーカー性能はがっかりかな?という印象。
ゲームはできるのか?
Unisoc T618を搭載したタブはいくつか見てきましたが、ゲーム性能は正直そこまで高くありません。このレベルのプロダクトだと画質を下げるなどの調整は必須です。その上でいくつかゲームをプレイした感想を上げていきます。
CoD
ある程度の性能でもそこそこ動くCoDモバイル。流石にグラフィックなどは最低画質になりますが、ある程度は動きます。ただ、やっぱりタッチ感度のせいかちょっとプレイしづらいなと感じます。エクストリームなプレイは厳しそうです。
原神
これまでのUnisoc T618搭載のタブレットと同様に、かなり厳しいです。グラフィックは最低に、フレームレートは60にしてみました。
出来なくは無いけど、画質には目をつぶる必要がありますね。また実際に戦っている時にフレームレートが落ちているようにも感じます。
安定させるなら30FPSに下げる必要もありそうです。
プロセカ
プロセカに関しては思ったよりも動きましたが「え?今の判定ミスってる??」ってなる場面が凄く多いような気がします。
これもタッチの精度によるところな気がします。
やはりタッチ精度が課題か
そもそもUnisco T618を搭載したタブレットは重量級ゲームは不向きです。これはどのメーカーでもそうだと思います。ただし今回のM40 PROはタッチの精度にもちょっと問題があります。他メーカーと比較して、体感的なゲーム性能が落ちるように感じました。
細かい不満点
基本的にカスタマイズがほとんど無い素のAndroidなんで、良く言えばシンプルですが、悪く言うと随所でツメの甘さを感じます。
顔認証やロックの仕様
本機は顔認証に対応しています。顔認証の速度はやはりエントリーという事でそこまで高くはありません。が、明るい日中ならば不満なく使えるレベルではあります。
問題なのは、通常のPINコードでのロック解除。なぜかPIN入力後にホーム画面へスキップする設定が無いんですよね。いちいちスワイプする必要があります。
今まで使ってきたタブレットだと、PIN入力後は自動でホーム画面に飛ぶっていうのが普通だと思ってたんですが、これが非常に煩わしいです。
充電が遅い(PD/QC非対応?)
明確にスペックシートに書かれていないんですが、充電がおそらくPDとQCに非対応だと思われます。Teclastタブレット全般に言えるんですが、PD充電器には反応しないので、このタブレットのためだけに旧型の充電環境を用意しなければ行けないのがストレスです。
充電速度も昨今のプロダクトと比べると遅めです。Teclast全体的に言える事ですが、パワーサプライ周りにもっと力を入れた方がいいんじゃないかなと感じました。
まとめ 2万円前後ならばありだが…すでに上位機種が発売中(T40 Plus)
ブラウジングや動画鑑賞といった用途であればある程度不満なく使えるスペック。SIMフリーで、SDカードやGPSにも対応している。そして最大の強みは日本でも2万円前後で普通に買えるという事でしょう。定価はもう少ししますが基本的にクーポンやら割引がついてる事がほとんどです。
なんだかんだで、中華ECサイトに頼らず普通にアマゾンプライムで購入できるのは、ライトユーザーからしたら一番うれしいポイントなのかも。
ただ、同じくTeclastの現段階での最上位タブレット T40 Plusが似たような価格で買えてしまいます。正直価格差はそこまで無く、それでいて力の入れようがT40Plusの方が高いような印象を受けます。個人的には今からであればT40 Plusをすすめるかも。
今後中堅メーカーはどうやって生き残りをかけるか
今期は他メーカーのタブレット展開が非常に活発です。規模やマーケティング・材料調達などで中堅メーカーは不利な立場にあるなと思います。これまで不毛地帯だったタブレット市場をずっと支えてくれてきた中堅メーカーなので、大手メーカーにのまれないように頑張ってほしい所。
今年の前半はUnisoc T618も性能と価格のバランスが良く、エントリー帯では活躍しましたが、すでに飽和していると思います。
Unisocは5Gに対応したTanggula(タングラ)と呼ばれるシリーズをリリースしています。SnapdragonやDimensityなどのSoC調達が難しい今、中華中堅メーカーはこのUnisoc製のSoCと、いかに付加価値を付与できるかが、今期のテーマになるのではないかな?と個人的におもいます。
今期は他メーカーのクオリティと価格が強すぎるので、これら中堅中華タブメーカーの踏ん張りどころかな?と感じました。