今回はXiaomiのハイコスパスマホ POCO F6をレビューします。
4〜5月に怒涛の勢いでプロダクトを展開したXiaomiでこれまで手を出していなかったハイエンド帯でついにXiaomi 14 Ultraを出し、ミドル帯はRedmi Note 13 Pro、そして止めに驚きのPOCO F6 Proを展開しました。
そう、世の中のファンが驚いたのは、POCOシリーズの日本最速展開もさることながら、Pro版が来るんかい!!というかなりの変化球にザワつきました。私自身もPOCO F6無印が来るものだと構えていたのでびっくらこきましたね。
というわけで、実はF6 無印を望んでいたユーザーも結構いたようで、Pro版と無印版はどちらが本当にコスパが良いのか?!というのはネット上で論争が巻き起こりました。
実は今回のPOCO F6無印はいつものAliExpressで、クーポンやセールなどを狙えば4.1万から買うことが出来てしまうぶっ壊れっぷりで、更に言うとSOCの性能もPro版と大きく差がないため、コスパNo1はPOCO F6無印なんじゃないか?!というのも頷ける意見です。
今回私は、Pro版も所有していますのでこの2つの差は一体どれだけあるのか?2024年真のコスパ最強スマホはどちらなのか?!を検証していきます。
POCO F6 本体チェック
POCO F6の本体を見ていきましょう。
今回購入したのはチタニウムカラーで、不人気カラーっぽかったんですが実物はかなり上品な印象です。
まず目に入るのは大きなカメラユニットで、カメラ周りがギラギラとしているため主張が強めです。実際のカメラレンズ自体はそこまで大きく無いんですが、カメラユニットが大きいとハイエンドっぽくてかっこいいですね。レンズの周りにも細かいデザインが入っており、角度によってテクスチャが見えておしゃれです。
また、リング上のLEDライトがついています、こちらも同系色のポリッシュパーツで囲われており、キラキラとします。
背面はプラスチックとなっています。サラサラとした質感でプラとしてはさわり心地は良いですが、やっぱ安っぽい印象は正直受けます。粒子感が強い塗装になっており、落ち着いた色合いながら上品な印象もあります。
サイドフレームもプラスチックです。個人的にこのプラスチックはツルツルと滑るので苦手ですね…。ここは明確に安っぽいと感じてしまうかもしれませんね。
ディスプレイは6.67インチでサイズ感は比較的コンパクトに感じます。ベゼルも三辺はとても細く、廉価グレードとは思えないです。
正直デザインだけで言うなら、落ち着いた感じながら、綺羅びやかで個人的には好きなデザインです。これまでのPOCO端末は若者向けなこともあってややポップでしたが、これならば割と年配の人にも受けそうです。
POCO F6 とF6 Proの本体を比べで見る
本体はPro版がガラスとアルミニウムフレームなのに対して、F6無印ではプラスチックが使われています。
本体の質感による価格差は以前よりXiaomiは差別化する部分で、スマホのデザインや所有感なども大事にする人にとっては価格差があっても上位版を選ぶでしょう。
一方で、本体材質を簡素化することでSOCにコストをかけるのもXiaomiの中ではおなじみで、本体の質感を気にせず、単純にスペックとコスパだけを求めるユーザーには今回のF6無印は「まさに待っていたのはコレ!」といった感じでしょうか?
ちなみに私個人としては、本体の所有感もステータスとして見るため、近いスペックで高くても高級感があるのならばお金を出す派の人間です。
やはり価格なりの質感の差は結構ありますね。というか、Pro版はサイドが金属なのも中々すごいと思います。良くあの価格帯でそれが出来るなと感心します。
ただ、デザイン的にシックなのはF6 無印で、万人受けするのはこっちだなと思います。今回の比較では、思った以上に本体の質感の差が、価格の大部分を占めているように感じました。
POCO F6 スペック確認
スペックを見ていきましょう。今回のF6に採用されるSOCは最新のSnapDragon 8s Gen3です。よく見ると8sとなっていますが、この命名ルールでは一応メインストリームでは無く、若干スペックを落とした廉価グレードという事になっています。
今回Pro版と悩ましいのはまさにSOCで、Pro版は一世代前のハイエンドSOC SnapDragon 8 Gen 2を搭載しています。一応、Pro版と無印版ではスペック的な差が付けられているんですが、8s Gen3も十分すぎるスペックで、実は 8Gen2と肉薄するスペックなんですよね。
正直、体感的な動作感はほとんど変わらないんじゃないですかね?この辺は後ほどスペックと動作感含めてご紹介します。
メモリとストレージはそれぞれ8GB・256GB/12GB・512GBの構成でDDR5、UFS4.0の高速な環境だ動作をします。
ディスプレイは6.67インチ 有機ELで120のハイリフレッシュレートです。ピーク輝度は2400nitということでディスプレイ性能は普通にミドルハイに近い構成なのがわかります。
バッテリーは5000mAhで90Wの独自急速充電器が付属します。
カメラは二眼で、メインはIMX882とされこれはLYT-600と呼ばれるミドル向けセンサーのようです。超広角は8MPで完全におまけです。Pro版は3眼ですが、1つがマクロのため実質二眼と変わりません。コストカットのためカメラ周りが犠牲になっているとは思いますが、これは後ほど作例で見ていきましょう。
物理的なデュアルSIMに対応し、バンド構成も4キャリアとも相性が良くばっちり使えます。また地味にIP64の防水性能を持っています。全体的に、SOCはハイエンドにもくいこむ性能でスペックは過剰すぎるぐらいで、その他も抑えるとこはひっかりした好感の持てる構成です。
そして何より価格で定価は大体57000円ですが、強力なセールにより最安で4.1万円で買うことも出来たようです。私は最安を逃しましたがそれでも4.3万円と非常にリーズナブルに入手出来ました。
当初はPro版が日本で正式に出た事で注目度が低いと思ったんですが、そらを上回る安さで入手出来るため、本当に悩ましいなと感じるようになりました。
とりあえずPro版が高いと思った人にとって、F6 無印のコスパこそが待っていたものなのではないでしょうか?
POCO F6 | |
SCO | Snapdragon 8s Gen 3 Antutu 152万点 |
メモリ/ストレージ | 8GB + 256GB / 12GB + 512GB LPDDR5X + UFS 4.0 |
ディスプレイ | 6.67インチ 1.5K 解像度 2712 x 1220 1200nit(HBM輝度)、2400nit(ピーク輝度) 120Hz |
バッテリー | 5000mAh 90W ハイパーチャージ対応 |
カメラ |
|
その他 | 物理SIM✕2 おサイフケータイ ✕ |
Antutu性能 脅威の150万点
Antuu性能を見ていきましょう。搭載するSOCは最新のSnapDragon 8s Gen 3 を搭載します。前述した通り、8sはメインストリームでは無く若干スペックを落とした普及帯向けハイエンドSOCです。
何だかハイエンドなのか普及体なのかどっちなんだよ!って感じなんですが、ほぼほぼハイエンドと言って差し支えないスペックです。実際にAntutu性能では150万点前半を叩き出します。4万円台で買えるスマホとしては、正直ぶっ壊れ性能です。
今回悩ましいのが無印版がSnapDragon 8s Gen 3で、Pro版がSnapDragon 8 Gen 2なところです。型番数字だけ見るとGen3が強そうなんですが、8Gen2も正真正銘の前世代のフラッグシップSOCです。
実際にはどれぐらい差が出るのか気になるところですが、実際に同じ条件で測定した結果はどちらも150万点を出しました。正直誤差としか言えないようなレベルだと思いますが、数値的にはGPU性能がやはりGen2の方が高いです。
マジでどんぐりの背くらべとはまさにコレの事で、どっちもほとんど変わらないんですよね。非常にハイレベルな背くらべです。
数万円価格が違うのに、SOCはほとんど変わらないのが賛否が分かれるポイントなんじゃないですかね?前述した本体デザイン部分でも伝えましたが、価格の大部分が本体の質感によるところなんです。
なので、F6 Proのデザインや、そもそも質感はどうでも良い人にとってはより安いF6の方が良いという判断をしているのでしょう。正直その意見も凄くわかります。
ディスプレイ性能
ディスプレイは6.67インチ 120hz 有機ELディスプレイです。解像度は縦2712px 横1220pxで、Proと比べると若干解像度で負けます。またピーク輝度は2400nitで、こちらもPro版の4000nit比べて劣ります。この辺の細かい部分に差があるんですが、正直誤差みたいなレベルではあります。細かい比較は後ほど。
発色輝度ともに素晴らしく、とても見やすいです。屋外での視認性も問題ありません。テュフラインランドによる検査をパスしており、PWM調光にて目に優しいと謳います。
ベゼルは下だけがちょっと長いですが、三辺はすごくキワキワでとても細いです。ガラスにはGORILLAガラス Victusが採用されており、普通にハイエンド帯と比べても劣る部分は無い素晴らしいディスプレイだと思います。
スピーカー性能
スピーカー性能をF6とF6 Proで比べて行きましょう。どちらもステレオスピーカーを搭載しています。先に結論から言うと、スピーカー性能はPro版のほうが明確に良いです。無印版はボリュームは十分ですが、解像度感がよろしくなくゴワゴワした音質です。
Pro版のほうが高音域がスッキリしている印象を受けました。
バッテリー性能
バッテリーは5000mAhです。バッテリー待ちに関しては、今回のレビューの中で特に気になる事は無く、ハイエンドとしてはとても良いと思います。大体1日の終わりに30程度残るかな?という感じです。
忘れてはいけないのは、価格がミドルクラスですが、性能は普通にハイエンド帯な訳で、比較するべきはハイエンド帯かな?と思います。そのものさしで良いという事ですね。
バッテリー周りでは保護機能も充実しており80%でのセーフ充電などのインテリジェント充電ももちろん使えます。
また、90Wの独自急速充電にも対応しており、むちゃくちゃ充電も早いのでバッテリー周りでは不満はないです。
ゲーム性能
ゲーム性能をみていきましょう。前述したAntutu性能から、ほとんど上位グレードと変わらないのでは無いか?という期待値がありますね。F6 無印自体も、Xiaomi WildBoostとなっており、SOC性能を余すことなく使うことが出来ます。
やる前から普通にゲームは余裕で動くだろうという期待値がありますが、実際に原神で見てみました。
ゲーム中の発熱はPOCO F6 Proよりは大人しく、F6 無印の方が優秀に感じます。これはマテリアルによるところが大きく、アルミニウムフレームとプラスチックフレームとでは熱の伝わりが違うのだと思います。
一点、Pro版とは違う挙動として初期でONになっているメモリーエクステンションを有効にした状態だと、なぜか原神でのフレームドロップが頻繁に置きます。40fps台まで落ちる事があり流石にスペックから見ておかしいです。
試しにメモリーエクステンションをOFFにすると60FPSに張り付くようになりました。結構差が大きく、原神をする場合はこれはOFFにするべきだと思いました。
Pro版でもメモリーエクステンションは初期でONのはずですが、このような現象は見られなかったので謎です。
カメラ性能
カメラ性能を見ていきましょう。カメラは二眼で、メインカメラはLYT-600という最新のミドルセンサーを採用します。また、超広角はおなじみ8MPのオマケです。
デザインだけのために無駄なマクロカメラをつけていないのが逆に好印象に感じてしまいます。
一応Pro版とセンサースペック差がありますが、実際の作例で比較していきましょう。
日中
まずは日中です。梅雨に入ってしまいクラウディな日が多く中々撮影がし辛いですね。逆を言うと晴れ間ならばミドル帯のスマホでもしっかり撮れてしまいます。
色の濃い原色に近い物体が入るとかなり彩度がグッと深くなるようですね。Dimensityスマホとは違い、スナドラは寒色よりに補正されるイメージがあります。彩度がやや薄めですね。2倍がとても使いやすいと感じました。画質も良くつかいやすいです。
ポートレート
ポートレートは25mm固定ですが、思ったよりもズイズイと寄れますね。ボケ感も自然で、花の表面のディテールもしっかり残っています。
POCO F6 と F6 Proと比べて
同じ日に、同時にPOCO F6 Proとも撮り比べてみました。Pro版との違いはメインセンサーがよりPro版が上位センサーを使っていますが実際にはどうでしょうか?
「撮り比べて電車」
正直、そこまで大きく差は感じないように思います。もともとF6 Pro自体も、SOCに全振りしたスマホなのでカメラ性能はそこまで追求するモデルではありません。比較してみると、POCO F6 Proのほうが彩度がしっかりとしており、F6無印はやや薄い印象を受けますね。
どちらが好みか?と言われると私はPro版の彩度強めのほうが好みです。
ズーム
ズームは最大でデジタル10倍です。2倍はすごく使いやすいんですが、4倍からはかなりモワっとしてきますね。10倍はおまけです。
夜景
夜景は白飛びの抑えがやや甘い感じを受けます。発光している部分がハイエンドだともう少しきれいに処理されるとは思いますが、その辺はやはり廉価帯でしょう。
カメラまとめ
基本的にカメラ周りが一番コストカットをしているとは思いますが、とはいえ同価格帯のミドルクラスと比べればだいぶ頑張っていると感じます。無印版とPro版では、どちらもある程度コストカットしている感はありますが、やはり僅差でPro版のほうが良いかな?と個人的にかんじました 。
とはいえ、POCOシリーズを買うユーザーにとってカメラうんぬんはそこまでウェイトが大きく無いと思うので、カメラはまぁまぁという評価になるでしょう。
POCO F6 無印とF6 Proはどちらを買うべきだったのか?!
最後に、賛否両論のあったF6とF6 Pro どちらが良いのか?!を個人的な観点から見ていきたいと思います。あくまで結論は個人的な意見という事は前提です。
まず、スペック表で見てPro版の方で明確にスペックが上な部分は赤色にしてみました。こうやって見ると、全体的にはPro版のほうが優れている点がある事がわかります。ただ、この違いの中で明確に体感的に差異を感じるというのは、本体の材質だけなんじゃないか?とも思ったりします。
SOCのスペックについては、本当に差異ぐらいの差でしか無く個々で差別化は難しいです。過去のPOCOシリーズで無印とPROでここまで差が無いのは珍しいとも言えますね。もし、差別化をするのであれば価格なりにもう少し差をつけるべきでしょう。
画面のピーク輝度がPOFO F6 2400nit / F6 Proが4000nitでだいぶ差が大きいように見えますが、大事なのはピーク輝度だという点です。ピーク輝度とは画面を真っ白にして、かつ、画面の一部のみを計測する方法で実用的な数値では無いです。正直2400だろうが4000だろうがマジでわかりません。
一般的な日光下などを表すHBMがまったく一緒なので体感差はほとんど感じる事は無いでしょう。その他もだいたい誤差といえる差で、購入を決定づけるような差は無いといっていいでしょう。
また、一部誤った情報として拡散されてしまったPro版の発熱問題ですが、正直拡散したWebメディアのかなり偏った情報で、性格にはサーマルスロットリングの調整をされていない動作を連続的にやったために負荷が掛かったのが性格な情報で、おそらくどんなにハードな使い方をしてもそんな使い方は絶対にしないだろうという限定された条件で起きた内容です。普通にゲームしてるぐらいでそんな爆熱という事はまったくありませんので、POCO F6 Proは安心して買って良いです。
というわけで結論としても非常に難しいんですが、冒頭でもつたえたように本体の質感や所有感にウェイトが大きい人にはPro版のほうが良いと思います。この価格帯でガラスバック・アルミフレームを採用しており、無印版とはやはり質感の差が大きいです。
一方、本体の質感なんかどうでも良いにとってはPOCO F6無印を買うのがベストといえるでしょう。4万円台で買える事もありながら上位機種のPro版とほとんど変わらないのはマジでコスパがバグっていると思います。
POCO F6 | POCO F6 Pro | |
SCO | Snapdragon 8s Gen 3 Antutu 152万点 | Snapdragon 8 Gen 2 Antutu 159万点 |
メモリ/ストレージ | 8GB + 256GB / 12GB + 512GB LPDDR5X + UFS 4.0 | 12GB + 256GB / 12GB + 512GB LPDDR5X + UFS 4.0 |
ディスプレイ | 6.67インチ 1.5K 解像度 2712 x 1220 1200nit(HBM輝度)、2400nit(ピーク輝度) 120Hz | 6.67インチ WQHD+ 解像度: 3200x1440 1200nit(HBM輝度)、4000nit(ピーク輝度) 120Hz |
バッテリー | 5000mAh 90W ハイパーチャージ対応 | 5000mAh 120W ハイパーチャージ対応 |
カメラ |
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その他 | 物理SIM✕2 おサイフケータイ ✕ プラスチック筐体 | 物理SIM✕2 おサイフケータイ ✕ ガラスバック・アルミフレーム |
POCO F6 まとめ
最後にまとめると、純粋なコスパで言えばPOCO F6のコスパは今期のスマートフォン界隈全体を見ても1番と言っても差し支えないハイコスパスマホにまとまっています。
これが日本で出なかったのはやはり差別化が難しくなるからだと思います。つまりはRedmi Note 13 Pro シリーズと価格がおもいきり被るのにたいして、スペックが倍近く違うため、F6無印を出してしまうと日本での松竹梅が完全に崩れてしまうんですよね。
そう考えると今回のPOCOの日本展開はXiaomi Japan非常に悩んだのではと推察します。
POCO F6 無印に実際に触れてみて、こちらを出さなかった事を残念がる気持ちも凄くよく分かります。このスペックを4万円前半から手に入るのはまさしくコスパが狂っていると言えます。