今回はGoogleの最新のスマートウォッチ Google Pixel Watch 2をレビューします。
WearOSのリファレンス機とも言えるスマートウォッチで、Google謹製のウェアラブルで最新のWearOSをベースにしています。
今回は、先に同時に発売されたPixel 8 Proを購入すると5万円分のクーポンを貰うことができ、明らかにこのPixel Watch 2を買ってくださいというキャンペーンのようでした。今回私もそれを利用して購入しています。
前作Pixel WatchではGoogle初のスマートウォッチという事で注目をされたものの、バッテリー持ちの悪さや、価格設定などであまり良い評価は得られなかったと記憶しています。
今回のPixel Watch 2ではその辺をしっかりと改善されているのか?がユーザーには気になる所だと思います。
Google Pixel Watch 2 公式サイトはこちら
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Pixel Watch2 何が変わった? スペック確認
Pixel Watch 2のスペックアウトラインです。正直な所、我々レビューでも一体どこが変わったんだ?と精査しないといけないぐらいに、ほとんど変化はありません。ブラッシュアップがメインで、大きく進化している点は無いようですね。
一応、CPUがSnapdrgon W5100という最新のものになっているのと、背面センサーが増えた事、また、バッテリー持ちが前作と比べて良くなったことなどが公式の情報としてありますが、正直触ってる感じあまり変化は感じないのが正直な所でしょう。
バッテリーに関しては前作の290mAhから306mAhと僅かに容量が増えたのと、充電方式が接点式になったためか、前作が45分50%という速さだったのに対して、30分で50%と充電速度が上がっています。
バッテリーも常時表示で24時間持つとしていて、前作の一番のダメポイントを改善してきていますね。ここはもっとも大事なポイントなので後ほど検証していましょう。
ほとんど変化は無いとしましたが、一点大きく違う点がありました。それは価格。
注意ポイント
前作PixelWatchが39800円だったのに対して、今回は52800円と1万円近い値上げをしています。
正直、この値段を出して買う人って我々のようはレビュワー以外でいますか?私もPixel 8 Proの5万クレジットがなければ絶対に手を出していないです。そもそもクレジットで買う前提のアイテムなのか?と疑ってしまう価格ですね。
今期WearOSは全体的に高く、GalaxyWatchやTicWatchなども価格が上がっているにせよ、これはだいぶ手が出しづらいですね
Pixel Watch 2本体チェック
Pixel Watch 2のデザインを見ていきましょう。Pixel Watchといえば、ポップながらラグジュアリーな雰囲気を全面に出した独特なデザイン性が魅力です。
今回もつるんとした本体と、金属の輝き、そして優しいトーンの質感の良いベルトで、デザインはすごく良いです。
私が購入したのはヘイズルカラーで、このカラーのみ本体の金属部分が薄いゴールドになっています。前作のゴールドよりも大分薄い色味になっており、シャンパンゴールドといったほうが正しいかもしれませんね。
Pixel Watch 2では本体の材質が変更され、ステンレスからアルミニウムへ変更されています。質感が悪くならないから心配でしたが、ポリッシュされたアルミニウムはほぼ前作と見た目の代わりは無く、質感も悪くありません。本当に気持ち軽くなったかな?ぐらいのものです。
本当に微々たる違いですが、独特のズッシリ感は前作のほうが良かったとも思います。
特徴的なベルトは公式からたくさんの種類がリリースされています。前作と同じでリリースボタンを押して簡単に外す事ができます。
ベルトは長いものと短いものの2つが付属しており、腕が太い人も細い人も大丈夫でしょう。ちなみに私の手首周り16cmで、短い方のバンドで6個ぐらい空きがあります。
今回一番変化が大きかったのは背面のセンサーでしょう。新型センサーになった事で形状が変わったのと、充電がワイヤレスでは無く接点方式になったため端子がついています。
直径さ41mmで、かなりコンパクトなサイズで男女ともに使えるでしょう。
正直、見た目は前作からまったくと言っていいほど変化は無いと言い切ってしまって良いでしょう。
実際PixelWatchの特徴はほぼこのデザイン性と私は思っています。
ケースサイズ | 41mm |
ケース厚さ | 12.3 mm |
重量 | 31 g(バンドを除く) |
ディスプレイ
ディスプレイに関しても前作とほぼ代わり無いと思います。Gorilla Glass 5を採用し、ツルンとした見た目はとても良いですが、全面がガラスなんで傷とかは気をつけたい所です。
また、表示領域も狭く、黒系のフェイスでごまかされていますが、ベゼルはめちゃくちゃ太いので表示できる情報量は少ないです。
最大輝度は1000nitという事で高すぎもなく、低すぎるという事も無く…というレベルかな?と思います。GalaxyWatch6の屋外視認性の良さと比較してしまうと一歩足りない感じもします。
シンプルだけどPixelらしいウォッチフェイス
ウォッチフェイスは、そのベゼルを隠すために全てが黒背景のものになっています。徹底してますね。
デザインの系統的にはPixelらしいポップでアイコニック的なエッセンスで溢れています。
好みがめちゃくちゃ別れる印象はあって、正直、私個人的な趣味で言うとあまり好まないんですが、本体のデザインとセットで考えるとこのデザインは必然的にそうなるのかな?と思います。
つまり、フェイスのデザインだけでなく、本体のデザイン込みでデザインされているという感じでしょうか?
フェイスに関して多数並んでいますが、それぞれのフェイスは針やメモリデザイン、色合いを変えることができ、そのパターンが並んでいます。なので実際のベースデザインは26種類程度で、そこまで多くありません。
とはいえ、カスタマイズ性が高く、カスタマイズによってはガラッと印象が変わります。
Pixel Watch2の動作感など
CPUにSnapdragonW5100を採用しています。これはGalaxyWatch6などにも採用されている最新のCPUです。
前作もサクサクとしていましたが、今回はよりスルスル感が良くなったように思います。リューズを回した時の反応の良さは触っていて気持ちが良いです。
UI周りはWearOSのリファレンスらしくシンプルな構成です。
上スワイプでショートカットメニューが表示されます。残念ながらこの項目をカスタマイズする機能はありませんね。
下スワイプは通知です。WearOSのためLINEに標準対応しているのも強みでしょう。
左右はショートカットタイルです。ここに関してはアプリで標準する内容をカスタマイズできます。
ヘルスケア周り
Pixel Watch2では新しいセンサーを採用しています。実は背面が前作とは全く違うものになっていますね。公式では40%の読み取り精度向上をうたいます。
ポイント
また、新型の心拍センサーと、皮膚温度、そしてストレス検知センサーが新しく追加になっています。
色々進化をしているようですが、正直パッと思いつく範疇ではないので進化がわかりづらいです。
fitbitプレミアは入る必要あるか?
様々なスマートウォッチを使っていて、PixelWatchが特殊だなと思うのはヘルスケア周りにサブスクがあることでしょう。ベースとなっているのはfitbitのサービスです。
月額650円で基本的な項目以外のユニークなサービスを使えます。
ポイント
払わなくても基本的なヘルスケア項目は使えますが、今回購入特権として6か月無料でfitbitプレミアを使う事が出来ます。
プレミアではエクササイズなどの効率的な運動を動画で見れたり、データの分析結果などを見ることができます。
前作の時に試して見ましたが、正直入る必要性を感じなかったですね。650円は割高で出来る事が少ないです。これぐらいは無料で使わせてくれないと他のメーカーと差別化出来ないなと思います。
ストレスマネジメント
今回面白いと思ったのはストレスマネジメント機能です。ストレス機能はどのスマートウォッチにもあるんですが、自分の身体状況の変化を検知し、ストレスレベルに変化があった場合に通知してくれて、その時の感情を記録する事が出来ます。
そのタイミングで自分で感情を選んで記録し続ける必要がありますが、一日の感情と、検知したデータを照らして日々のストレスを見ていくことができます。
Pixel Watch2で追加になった身体反応精度いいね。この瞬間マジで会社でイラッとした事あったタイミングだったんよ。
ちょっとビビった。流石に感情は手動登録なんだけど
時計が「どしたん?聞こか?」みたいにアラートが上がった。心拍数の変化だと思うけど面白い機能だ。 pic.twitter.com/QIGXnH20C7— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) October 24, 2023
実際に日常生活の中でこのストレスマネジメントがアラートを上げてくれるんですが、マジで仕事でちょっと苛ついてる時とかに上がってくるんで、その精度にびっくりします。
個人的にこの機能は凄く意味がある機能だなと評価しています。実際に体調を崩したことがある経験のある方はわかるかと思いますが、こういった日々の感情と体調ってリンクしていて
それをデータとして定量的に見れることって大事だと思います。私も本職のほうで上手く回らず、体調を崩したことがありますが、その時にこの機能で自分を客観的に見れればまた違った解決法があったかも?と思い返しています。
病は気からという言葉がありますが、たぶん生活が上手く回って無い人がつけると想像以上にアラートを挙げられるんじゃないかな?と思います。今回のPixel Watch2でもっとも関心したポイントです。
睡眠ログ
睡眠ログを実際に取得してみました。測定データ自体は、シンプルな睡眠分布がメインです。
また、同年代の睡眠スコアと比較してくれるベンチマーク機能も面白いですね。
その他、fitbitプレミアでは睡眠時の心拍数や、寝返り回数などをみることができるようですね。
ワークアウト
ワークアウト自体はとてもシンプルなもので大きく扱うようなものでは無いです。おそらくfitbitプレミアで、フィットネスを通じたトータルでの分析は出来るんでしょうが、650円を出さなければ最低限です。
試しにウォーキングで利用してみました。GPSが内蔵されてるのは良いんですが、高い建物が多いところだと測位に結構時間を要します。大体30秒以上は使う感じです。
GPSの精度も良いとは思いますが、特出した何かがあるわけでも無い、オーソドックスなワークアウト機能だと思います。
緊急情報
転倒を検知した通報など、SOS機能も充実しています。転倒検知では自動的に通報し現在地の情報を伝えるという機能もあります。
昨今、事故等に巻き込まれた時に、スマートウォッチにこの機能があってまじで助かった!というような情報を見るため、それに備えて設定しておきたい機能です。
安全確認
散歩や移動といったカテゴリーを設定し、特定の時間を過ぎたら安否確認のSMSを自動で送信する事が出来る機能です。
時間経過後は、アラームの停止、SMSで位置情報の送信、110番への通報を選ぶことが出来ます。アラームがなって60秒以内に反応が無い場合は自動でSMSで送信されます。
高齢者や、子供などが外に出るときに開始させれば安全に移動出来ているか?などがわかります。
ただ、着用者が自分で確認を開始しないと始まらないので、自分には助けが必要であるという自覚がある人でないとこの機能はあまり意味が無いかな?とも思いました。
バッテリー検証
今回のPixelWatch2のレビューでもっとも重要なのはバッテリー持ちについてでしょう。初代ではそのバッテリー持ちの悪さから総スカンを喰らいましたが、PixelWatch2ではその辺も改善を加えているとしています。
公称ではAODを使って24時間のバッテリー持ちを実現しているのと、充電速度が前作よりも上がっているようです。
ここまでの検証でほとんど前作と変わった感が薄いのですが、バッテリー持ちは本当に改善しているのでしょうか?
CPUが電池食いなイメージのあるExynosより高効率なSnapdrgon W5100を採用している点は期待が出来ますが実際にいくつかのパターンで消費を検証してみました。
AOD無しで普通に使用
Pixel Watch 2 朝7時→夜7時 12H
AOD無し 36%減少。まぁ相変わらず電池ヘリは早いけどギリ二日目の夜まで持つかね。 pic.twitter.com/DeRH30ShlT— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) October 19, 2023
まず、私が実際に使う場合の条件、AODを無しにして、夜間は外して昼間の12時間で使った場合です。その他のヘルスケア設定などは基本的に何もいじっていません。その条件では12時間で約34%の消費となりました。相変わらず電池消費は高いんですが、一応二日目の夜までは持ってくれそうな消費になっています。
これぐらいの消費であればまぁ普段使いのウェアラブルとしては使っていけそうです。
AOD有りで使用
Pixel Watch 2 AOD 25時間経過
ちなみに夜間は着用していない。
まぁ‥確かにちょっとまともになってるかも‥(使いにくいサイクルなのは変わり無い) pic.twitter.com/94n8Fut787— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) October 20, 2023
次はAODをONにして12時間程使った結果で、日中はやはりゴリゴリと減っていきますね。夜7時の時点で残量55%と、ギリギリ半分を超える容量が残っています。
そのまま翌朝の7時の状態です。着用はせず待機状態でしたが、朝の時点で30%以上は残っています。一応、ウリであるAODで24時間というのは嘘では無いようです。
もちろん、ワークアウトや睡眠ログなどの消費が高い機能は使わない前提であるのは注意点です。
充電速度が強化の代わりにワイヤレスじゃなくなる
約30分。結構早いかも。 pic.twitter.com/DHp8dQnDHJ
— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) October 20, 2023
今回充電速度が前作よりも改善しているのは良いポイントです。30分の充電で50%程まで回復するので、朝の支度時間で1日分はまかなえます。
一方、ワイヤレス充電から接点方式へと変更になりました。これは改悪かと思いきや、前作は純正以外の充電器に非対応だったため、ワイヤレス意味なかったんですよね。
かっちりハマり、速度も早い充電器になったとポジティブに感じます。ただユーザー的には普通にワイヤレスチャージャーで充電できた方が有り難いに決まってます。2日に渡る外出時などはわざわざ充電器を持ち歩かないといけないのは普通に使いづらいです。
ポイント バッテリー周りに関しては、基本的には消費が早いのは代わりありませんが、前作と比べて充電速度や待機時の効率が上がっており使いやすくなったと感じますね。
Feilca搭載 SUICA定期利用は不可
ひきつづきFelica搭載で決済等に使うことが出来ます。
ただ、毎度毎度みなさんが気になるのは定期券利用が出来るのか?という点ですが、今回のPixel Watch2ももれなく定期利用は不可です。
これに後述しますが、現時点でAppleWatch以外での定期利用は大分遠いです。
というか、もし定期利用をWearOSで使えるようになったらもっとデカいニュースになるでしょうね。なので定期利用を期待していたユーザーは残念ながら利用出来ません。
WearOSの進化はPixelWatchにかかっている。
今回のPixelWatch2に関して、個人的にはあまり良い評価とは言えないなというのが本音です。
ただ、今後のWearOSの進化はPixelWatchにかかっているかも?という観点で話してみたいと思います。
比較対象として出したGalaxyWatch6は、日本でFelica搭載を果たしたのが大きなニュースでした。
このGalaxyWatch6で搭載されたFelica技術に関しては先に展開されていた初代PixelWatchの仕組みが流用されているとも言われています。この辺はやはり開発元のGoogleという事でPixelWatchがWearOSのリファレンス機的な位置にあるのだと思います。
つまり、WearOSで大きな新機能はまずPixelWatchが実装してから他メーカーも対応するという構図にあると考えます。
ここで思いつくのはやはりSuicaの定期利用でしょうか?PixelWatch、GalaxyWatchともにFelicaは搭載すれど、定期利用は非対応です。Suicaの定期利用は都会の方ではかなり需要があり、現時点で対応しているのはapplewatchのみです。
Suicaの定期利用については、メーカーが搭載を頑張るというよりは、JR東が開発を担っています。
参考 これは実際にJR東に問い合わせた内容ですが、現時点でWearOSの定期利用については、改札側の機器改修も必要なため対応の予定は無い
という回答をもらいました。わざわざJR東がWearOSユーザーの事を考えてこれらの開発と対応を行うでしょうか?かなり望み薄だと思います。
つまり、日本の交通インフラに対して重い腰を上げさせる存在が必要ということです。
現時点でそれの提言が出来るのと進めるための要素を持っているのはGoogleしか他にないと私は思います。WearOSとして対応する事が出来れば、他のメーカーもその機能を使い展開が出来るはずです。
これはSuicaだけで無く、他の全てに当てはまるでしょう。という訳で、WearOSが今後進化していくためには絶対にPixelWatchという存在は必須で、世論としてGoogleに訴えていく事が大事なのかな?と個人的に思います。
Pixel Watch2 まとめ 値段相応では無い
まとめると、5万円という価格の価値はやはり薄いと感じます。前作からの目新しい進化は無く1万円の値上げしたことは正直高いという言葉しか思い浮かびません。
Pixel 8 Proのおまけクレジットで買えた事が一番のポイントで、これが無かったらおそらく私自身は買っていなかったでしょう。
値段のほとんどはデザインに対して魅力的だと感じるか?という部分に集中します。
デザイン性の高さは間違いなく、このデザインセンスに惚れたのならばその価値はあります。
ただ、高機能で使いやすいWearOSを欲しいのであればGalaxy Watch6という存在がありますし、前作のユーザーが乗り換える必要はもちろんありません。
かなり辛辣な意見を言ってると私自身思いますが、5万円という価格で見たときにその意見は揺るがないでしょう。