今回はOppoの最新ミドルレンジスマートフォン Reno 10 Pro 5Gをレビューします。
まず、一番の話題はソフトバンクにて発売日初日から投げ売りが実施されたことでしょう。定価8万円ながら、一括購入で2.6万円、MNPなら4980円というバグった投げ売りを行ったことで、コアなスマホファンが飛びつきました。私もその価格につられて一括2.6万円で購入してきました。
Oppoに関しては、日本でReno 9Aという特級呪物を放ったことでかなり総スカンを食らったイメージがありますが、その汚名を返上するかの如く、Reno 10 Pro 5Gを投入しました。正直、定価の8万円は微妙な価格ですが、2.6万もしくは4980円で買えるスマートフォンでは絶対に無いスペックをしており中々のお祭り端末になっています。
Oppo Reno 10 Pro 5G(Amazon SIMフリー版)
Oppo Reno 10 Pro 5G スペックアウトライン
Reno 10 Pro 5Gのスペックを見ていきましょう。まずは一番大事なSoCですがQualcomm Snapdragon 778Gを採用しています。778G自体は2021年に発表されたSoCなので若干古いスペックではありますが、ミドルグレードを若干なり超える程よいスペックをしており、多くのミドルコスパスマホで採用された優秀なSoCです。具体的にはXiaomi Mi11 Lite等で搭載されており、Antutuはだいたい50万~60万程のミドルスペックとなっています。
また、カメラスペックが割と高く、メインセンサーはSONYのIMX 890を採用しています。これはOnePlus 11と同じセンサーを使っており、実はカメラがハイエンドに近い構成になっているのも特徴です。
ディスプレイは6.7インチ 有機ELで、120hz駆動をサポートしています。前述したSoCのスペックと相まって動作感は期待ができます。
バッテリーは4600mAhで80Wの独自急速充電 SUPERVOOCチャージをサポートしています。その他 Felica搭載でおサイフケータイにもしっかり対応しています。
防水等級がIP54と若干低いのが気になるポイントですが、日本市場においてはまさに「売れるミドルスマホ」といった内容になっています。
ポイント
正直、定価の8万円の価値は無いと思いますが、その真価は2.6万円の一括価格か、4980円のMNP価格にあるでしょう。
OPPOのメインターゲットとしては"ナガモッティ"というスマホはある程度のスペックであれば良いという層に対して、ワンモアグレードを付与するのが得意なんで、そういった層からするとこのスペックはかなりオーバーグレードと言えます。
また、スマホオタク的な目線で見ても、メインカメラにIMX890を使っているというのがかなり興味を引きます。
ソフトバンク版ながら、docomo、auともにバンドはしっかり対応し、デュアルSIMとeSIMにまで対応する豪華さでほぼSIMフリー端末と言っていいです。
SOC | Snapdragon 778G |
メモリ | 8GB RAM (LPDDR4x) 仮想RAMで16GB |
ストレージ | 256GB ROM (UFS2.2) |
OS | ColorOS13(Android 13) |
ディスプレイ | 約6.7インチ FHD+ (2412×1080) 最大120Hz 最大輝度: 950nit |
バッテリー | 4600mAh 80W SUPERVOOCチャージ対応 |
カメラ | メイン IMX890 約5000万画素(F値:1.8) OIS 望遠 IMX709 約3200万画素 光学2倍ズーム対応 超広角約800万画素(F値:2.2)、画角112° |
その他 | ディスプレイ内指紋認証 物理デュアルSIM + eSIM IP54 モノラルスピーカー |
ポイント
- 26,000円の一括購入 or 4,980円MNP価格
- メインカメラにIMX890採用
- 3キャリアバッチリ ほぼSIMフリー端末
Oppo Reno 10 Pro 5G デザインチェック
本体の方を見てきましょう。Oppo Reno10 Pro 5Gの特徴としては、所有感にも割りとウェイトを重く振られている点でしょう。質感とデザインの良さはハイエンド級に匹敵すると思います。2.6万以下の基準で見ているからというのもありますが、定価は8万でミドルハイクラスの端末ではあるんで当たり前ですが。
Oppoがターゲットとする「ライトユーザーが、憧れのハイエンドグレードのデザインを所有する」という戦略は個人的にはすごく肯定的に受けます。全体的に綺羅びやかでありながら、ベースはシックなカラーが使われており広い層に刺さるデザインだと思います。つまり、所有感の良さは長く持ち続ける条件だと思います。
今回購入したのはシルバーグレーカラーで、このカラーのみ背面ガラスがOppoGlow仕様になっておりシルキーな手触りになっています。
特徴的なのはカメラユニットで、まるでハイエンド端末のような豪華さがあります。金属の質感が良く、あらゆる表面処理を織り交ぜたかなり情報量が多いユニットになっています。メインセンサーはかなり大型に見えますが、実際IMX890というハイエンドセンサーを搭載しています。その下には超広角と望遠が並びます。
ミドルフレームはポリッシュ感の強い素材になっており、これまた綺羅びやかな見た目にプラスとなっています。材質はメタルでは無くプラスチックのようにも感じますが質感は悪くありません。
サイドフレームはとても細くカーブしています。Oppo端末にしては珍しく右サイドに電源と音量ボタンが集約されています。電源ボタンにはOppoグリーンのワンポイントが入ります。
本体上部にはIRブラスターとマイクが装備されています。残念ながらイヤホンジャックはありません。
本体下部はスピーカーとType-C、SIMトレイがあります。SIMトレイはキャリア版ながらデュアルSIMに対応していました。スピーカーは残念ながらモノラルと所々コストカットが見られます。
ディスプレイは6.7インチと大型ですが、緩やかにカーブしておりベゼルも薄く細長く感じます。また厚みも7.9mmと大分薄く手への収まりはかなり良いです。
実際に手に持ってみても、2.6万円とは思えない質感とデザインの良さがあります。
一応、純正のシリコンケースが付属していますが、めちゃくちゃセンスの無い単色のシリコンケースになっています。なぜここまで本体デザインが良いのにクリアーケースを付属させなかったのかが理解に苦しみます。着用するとせっかくのデザインがまるで台無しです。
縦 | 163mm |
横幅 | 75mm |
厚み | 7.9mm |
重さ | 約185g |
Snapdragon778GのAntutu性能
SoCにはSnapdragon778Gを採用しています。ちょっと古いSoCになりますが、Antutu V10では50万点~60万点程を出します。ちょっと前の基準ではミドルハイとも言えましたが、最近だときっちりミドルという感じでしょうか。
ただ、進化が鈍化している昨今においては、この程度の処理性能があればある程度のことはこなすので、ターゲットとしている層には少し良いスペックを感じれるでしょう。定価が8万という状態だったらば、かなり閑古鳥が鳴いていたでしょうが、2.6万円or4,980円という価格であればまた見方が変わります。その価格であればかなりコスパは良いと言えるでしょう。
「Antutu」
実際の計測値としてはVer10で、パフォーマンスモードを設定して62万程度、通常モードでは55万点程度に収まりました。CPU性能はまずまずですが、GPU周りがやや弱いですね。
ほとんどの作業はこなしますが、ゲームにはちょっと足りないスペックという感じでしょうか。
シンプルなColorOS13とその動作感
OSはAndroid13をベースにしたColorOS13となっています。中華OSの中では比較的シンプルなUI周りをしているのでわりとライト層に良いと思います。前述したSnapdragon 778Gは120Hz駆動もすんなりこなすスペックではあるので、動作感の良さはミドル機以上のグレードに感じることができるでしょう。
地味なんですが、大画面を快適に使うための機能が優れており、ホームで画面端からスワイプアップするとアイコンが手元に集まってくれたり
アイコンは一括で上下に分配出来たりします。丁度iPhone15をレビューしていますが、こういった細かい挙動の親切さはやはりandroidには勝てませんしColorOSが得意とする分野でしょう。
高精細な有機ELディスプレイ
ディスプレイは6.7インチのFHD+で比較的大型な部類になりますが、本体の薄さ軽さもあいまって細長くスリムに感じますね。
ディスプレイは前述した通り有機ELで120Hz駆動にも対応します。SoCのパワーが丁度このリフレッシュレートにも耐えうるスペックをしています。
発色輝度ともに良いですが、日光下での最大輝度800nit 、ピーク輝度は950nitとおとなしめで、屋外での表示に若干弱い傾向があります。
生体認証は顔と指紋に対応
指紋と顔認証に対応しています。指紋はしっかり画面内指紋認証になっています。地味にコストのかかる機能なんでコスパ機ではサイド指紋になったりしますが、Reno 10 Proは一応8万のミドルハイ価格なんでその辺もしっかりしています。
指紋の速度も申し分無く、また、顔認証も早いので使い心地はハイエンド帯となんら変わりません。
80Wの急速充電対応 28分で満充電
バッテリーは4,600mAhで、Oppo独自のバッテリー管理技術により、4年の使用においてもバッテリー健康度は80%を維持するとうたいます。この辺のアピールはヘビーユーザー的にはあまりピンとこないんですが、スマホを買い替えるスパンが長いユーザーにとっては魅力的なポイントなのかもしれません。
Oppoの販売戦略的に、すでに日本でのハイエンド市場を諦めており、「ライトユーザーにとってちょっと良いものを」という戦略なんだろうというのがこういった部分からも読み取れます。
実際のバッテリー持ちも778Gのお陰で悪くなく、1.5日以上は普通に持ってくれます。
また、28分で満充電可能な独自の充電規格SUPERVOOCチャージに対応し、80Wの専用チャージャーが付属します。いわゆるソフトバンクの神ジューデンシリーズで、約10分の充電でも半分近く充電できるので朝の支度時間などで充電サイクルを回すことが出来ます。
ワイヤレス充電に非対応
意外なことにワイヤレス充電に非対応です。定価8万ですよね?と言いたくなりますが、ここはコストカット部分です。急速充電も大事ではあるんですが…普段遣いとしての利便性はワイヤレス充電の有無にまさる部分はないのでコレは残念なポイントです。
スピーカーは微妙
スピーカーは定価8万円という価格ながらモノラルスピーカーとなっています。音量はパワフルですが、やはりモノラルなので籠もったように聞こえますし、音質は良いとは言えません。
2.6万もしくは4,980円ならば納得ではあるんですが、何度も言う通り定価は8万円です。ミドルハイに近い価格帯でありながらこのスピーカーはお粗末だなと思います。そもそもOppoとしてもキャリアの投げ売りを前提としていたんだろうなと勘ぐってしまう部分です。
ゲーミング性能 原神
このスマホを買うターゲット層がゲーム目的で買うとは思えませんが、一応原神での動作間を見ていきます。
条件は最高+60FPSで、フィールドは砂漠を元にしばらく野良敵とも戦いながら散策をしてみました。
結果としては、まぁ予想していた通り大分厳しいです。敵と遭遇していない軽いフィールドだと40FPSを切る感じで、ちょっと複雑な地形に入ると30FPS台まで下がります。
さらに敵と遭遇し、戦闘まで入れると20FPS前後まで落ちますね。まぁそらそうだろう。という感じではありますね。
注意点として、大手メディアなどで「778Gであればゲームもこなせるだろう」などの記述を見ますが、実際は大分厳しいです。ポケモンGOとかスリープといったゲームだったらまだしも、動きが激しい3Dゲームは778Gも力不足になっています。
ゲーム目的ならもうちょっと出せば、まともな選択肢もいくつかありますのでReno 10 Proに快適なプレイを求めるのはやめましょう。
近い価格帯であればMotorola Edge 40も良い選択肢だと思います。
参考motorola edge 40 レビュー スペックとコスパ良し 投げ売りで4万以下 Pixel 7aキラー
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カメラ性能
カメラ性能を見ていきましょう。今回のReno 10 Pro 5Gはカメラユニットがとても目立ちます。これは伊達では無く、メインカメラにはSONYのIMX890センサーを採用しています。1/1.56型のイメージセンサーで50MP 光学手ブレ補正にも対応する優秀なセンサーです。このセンサーはハイエンド端末のOnePlus11などでもメインで使われています。
ポートレートレンズにはソニー IMX709を採用し、明るく使いやすい2倍レンズになっています。
超広角には8MPという内容で、カメラ周りにかなりウェイトを降った構成になっています。実際、紹介ページでもわざわざセンサー名称を分かりやすく書いていたり、ハイエンド志向なことをアピールしているようです。
ギラギラのカメラユニットは実際にワングレード上のスペックとなっており、ガジェットファンが飛びついたのはこのスペックが投げ売りになっていたからというのも大きいです。
ハード面は非常に強力ですが、それを扱うSoCも気になる点で、Snapdragon778Gという若干古いチップで、これらハードから得られる情報をうまく処理できるのか?も気になる点です。実際の作例で見ていきましょう。
通常撮影
彩度は良く、光量があればクッキリと撮れます。
通常モードの2倍で撮影しています。解像度感も良くクッキリと撮れています。
2.6万円(or4,980円)という価格で考えれば、これぐらい撮れれば良いのかな?とも思いますがIMX890ってこんなもんなのか?とも思ってしまいます。後述しますが、Snapdragon778Gが足をひっぱってますね。
ポートレート
ポートレートモードは思った以上にくっきりと撮れていました。背景のボケ感も良く、手軽に印象的な撮影が出来ますね。
ナイトモード
ナイトモードで撮影をしてみました。まず、思ったのはシャッターが遅いこと。光を集めている処理が終わってシャッターが下りたあとのプロセッシングタイムがめちゃくちゃ長いです。なので、さっとした瞬間を夜景で撮るのが難しいです。この辺は778Gの非力さでしょうか。
カメラまとめ
処理が遅いので瞬間的なものに弱い(鈍い魚もこの通り)
カメラをまとめると、やはりSnapdragon778Gというのが足を引っ張っている感が強く、せっかくのハイエンドハードがうまく活かされていないと感じました。シャッターが遅いので動きに弱く対象物が動いている場合はうまく捉えることが出来ないのも問題でしょう。OnePlus11でも使われているIMX890センサーという事で、もう少し意外性を感じさせてくれるかと思いきや、SOCの性能が低すぎて全然うまく処理出来ていないですね。
たぶん対象としているユーザーにはポートレートの楽しさとか、ライトに楽しむ事ができるんでしょうが、カメラ性能を期待して買うスマートフォンでは無いかな?と感じました。
だとすると、今回のReno 10 Proのアピールポイントの半分はインパクトが弱くなってしまうなというのが正直な所でしょう。
Oppo Reno 10 Pro 5G まとめ
Oppo Reno 10 Pro 5Gをまとめると、定価8万円という価格に関しては論外ですが、本当の真価は一括2.6万かMNP特化4,980円にあると思います。
8万円の価値で見た場合は、スピーカーやワイヤレス充電、微妙に足りないSoCと不満点が目立ち、この価格を出すのであればもっと良い選択肢はたくさんあると思います。つまり、8万円で絶対買うべきではないスマートフォンと言い切って良いでしょう。
2.6万or4,980円となった場合、その評価はガラッと変わります。その価格帯で買えるスマホでOppo Reno 10 Pro 5Gにまさるスペックを持つのは国内ではまず無いでしょう。そもそものターゲット層がライトユーザーなのもあり、その層からすればOppo Reno 10 Proは長く使うためにちょうどよいスペックだと言えるでしょう。そもそもOppo自体も今回のプロダクトに関してはキャリアで投げ売りを前提としていると思いました。
んで、気になったのはこのスマホを先に定価で買ってしまったユーザーですね。発売日翌日には店舗で8万が6万近い値引きを行われたわけですから、ふざけるなと言いたくなるでしょう。
今回の投げ売りに私自身も群がっておきながらなんですが、Oppoの今回の売り方は果たしてマーケティング的に大丈夫なのかな?と不安になります。ただでさえ買い替えがサイクルが鈍化しシビアになっている市場において、今回のような鬼値引きを最初からするようなメーカーというレッテルが貼られないかが心配になります。
Oppoのシェアを巻き返すためのバラマキ端末なのか?はたまたキャリアと組むことで販売リスクを劇的に下げられるので、目先の利益的なプロダクトなのか?ここ最近のOppoの日本での動き方的に、完全にハイエンド市場は諦めている感が漂っています。今回のReno10 Proを足がかりにまた、FINDシリーズなどを展開する足がかりになってほしいなと思いました。
端末の話というよりもOppoのブランドとしての話にそれてしまいましたが、つまる所Reno 10 Proは特化で買うならばおすすめ、定価で買うのは辞めておけというシンプルな答えに落ち着きそうです。