今回はZTEのブランド Nubiaの最新のフラッグシップモデル Z60 Ultraをレビューします。
突如日本でも、実験的に投入されたハイエンドモデルです。というのも、正式な流通では無く、グローバル版を日本でも公式から手軽購入ができるようになっています。なので、正式な日本版というわけでは無いんですが、Nubiaが日本の市場を知るために投入したと言われています。今現在も、RedMagicのゲーミングブランドは、日本でも正式に展開していますが、通常のフラッグシップモデルは今回が初だと思います。古くはZTEブランドでAxonブランドを展開していましたが、今回の試験販売の結果では、日本展開も視野に入ると公式がうたいます。
普段であればマニアックな中華端末で終わりそうなんですが、驚くべきはコスパ。10万を切りながら、最新のフラッグシップSOCを搭載する他、強力なカメラも搭載したまさにハイエンドモデルとなっています。
流石にその 値段は何かのバグだろうと思ってしまうほど、価格設定がバグっています。
今回はしばらく使った感想をお伝えしたいと思います。
※「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」にて申請を行って検証を行っています。
Nubia Z60 Ultra スペック
まずはスペックを見ていきます。SOCに最新のフラッグシップ SnapDragon 8 Gen 3を採用します。Antutu性能では200万点を超えるスペックで、現時点において最高の性能を持ちます。
メモリは8GB/12GB、ストレージは256/512GBがそれぞれラインナップされており、LPDDR5/USF4.0と最新の環境で動作します。最近のハイエンドとしては8GBがあるのもユニークです。
また、今回一番の特徴はカメラ周りでしょう。見た目から分かるようにメインにはIMX800を作用し、望遠、超広角すべてのレンズでOISに対応します。SOCだけか豪華なスペック番長では無く、カメラもハイエンド仕様です。
ディスプレイは6.8インチでZTEお得意のUDCで、フロントカメラはまったく目立たなくフラットなディスプレイになっています。
バッテリーも6000mAhと、ハイエンドスマホの中でもひときわ容量が大きいです。
また、今回技適の関係で試せませんが、対応バンドも日本と相性が良く、3キャリとも合致します。
これだけのスペックを持ちながら、最小構成の8GBでは10万を切る価格設定がされています。普通に考えて最新のSnapDragon 8 Gen 3を搭載したカメラハイエンドモデルがその価格というのはコスパがぶっ壊れてますね。
日本でも公式サイトから手軽に入手出来るハイエンドとしては現時点でどのメーカーよりもコスパが高いと言えます。
もちろん、技適うんぬんを度外視しているのと正式には日本の正式ルートを持ったわけでは無く、そういった公式サポート的な部分が薄いのでこの価格を実現できていると言えますね。
今回、Nubiaとしても日本での試験販売というスタンスですが、RedMagicのようにゲーミングブランドでは無いハイエンドのため、Z60 Ultraが正式に流通すれば結構日本のファンが付くと私は思います。
Nubiaブランドはわりとコアなスマホファンからしてもユニークなブランドのためとっつきにくいと思われるかもしれませんが、グローバル版はシンプルになっており、普通にAndroid端末として癖が無いのも評価出来ます。
SOC | Snapdragon 8 Gen 3 |
メモリ | 8GB/12GB/16GB (DDR5X) |
ストレージ | 256GB/512GB (UFS 4.0) |
OS | NUBIA MyOS 14 (Andorid 14) |
ディスプレイ | 6.8インチAMOLED ( 縦2480px 横1116px) アンダーディスプレイカメラ ピーク輝度 1500Nit |
バッテリー | 6000mAh |
カメラ | ・35mm メインカメラ 50MP IMX800 f/1.59 OIS ・18mm 広角カメラ 50MP OV50E f/1.8 AF OIS ・85mm 望遠レンズ 64MP OV64B OIS |
その他 | IP68 |
Z60 Ultra 本体チェック
本体を見ていきましょう。今回、購入した人は、この独特でユニークすぎるデザインにビビッと来たのではないでしょうか?
それぞれのカメラが独立し共存しているこれまで見たことのないデザインです。
メインカメラにはnibiaのブランドカラーである赤色のリングパーツが使われおり、ペリスコープは独立したユニットに収まっています。また、上側には超広角レンズが、フラットに埋め込まれています。
全体的に、厳ついデザインですが、以外とクラシックな雰囲気もあります。おそらく昔のクラシックカメラにインスピレーションを受けていると思われます。
ここ最近のカメラハイエンドは、巨大な丸形ユニットにこれみよがしにカメラをアピールするようなデザインが多いですが、Z60 Ultraのようなデザインはかなり新鮮です。
背面はサラサラとしたガラスになっており細かくフレーク的な塗装がされています。角度によってはマットに見えたり、キラキラしていたりと華やかです。
サイドはアルミニウムで完全にフラットになっておりカクカクとしています。右側面には、音量ボタンと電源ボタン、また追加のアシストスイッチが並びます。Nubiaのキーカラーのアルマイト処理されたアルミボタンがワンポイントです。
アシストスイッチはスライド式になっています。細かく凹凸のはいった質感の良いスイッチで、ONにすると赤色の差し色が入ります。
本体上部にはIRブラスターでしょうか?ボトム面はUSC-CとSIMトレイ、スピーカーとなっています。
ディスプレイはZTEはお得意のアンダーディスプレカメラになっており、パンチホールはほぼ分かりません。
初期のケースはポリカーボネート素材のハードケース。ケースとはいえ、サイドがガッツリ開いているため防御力はほぼ無いといっていいでしょう。さすがにこの厳つい本体をケースなしで使うのは怖いですね。
かなりズッシリとしており、重量は246gと、Androidハイエンド帯の中でもひときわ重たいです。
一方で、その奇抜な見た目に反して、背面はフラットになっているので持ったときのバランス簡単なは良いです。
Antutu性能 SnapDragon 8 Gen3搭載
SOCは今季最高のスペックを誇るSnapDragon 8 Gen 3を搭載しています。各メーカーもフラッグシップで採用をしており、メインストリームになると思います。驚くべきはそのスペックで、冷却などの特殊なことをせずともAntutuで200万点を超えてきます。
全世代のSnapDragon 8 Gen 2でさえ、手に余るようなスペックなのにかかわらずそれを遥かに超えてくるあたりに進化のスピードを感じますね。
ここ最近、スマホの進化は頭打ちなので、これ以上のスペックは何の意味があるのか?
というような意見を持つ人も多いと思いますが、スマホで扱うコンテンツは日に日に大きくなっています。
わかりやすく言えばゲームは、最新の世代の、最新の環境を前提にしたコンテンツも珍しくありません。映像コンテンツであれば、そろそろ解像度は4Kが当たり前になっています。さらに言うと、Webブラウジングも扱うデータの大きさや、スクリプトでは処理性能も求められています。
全体的に、コンテンツが日に日に重くなっているので、これ以上のスペックは無駄という意見も、基準の底上げが必要だと思います。
話がそれてしまいましたが、そんな最高峰のスペックが10万を切る価格で実現していることに驚きます。
以外と普通なMyOS14
今回初めてのnubiaでどんなインターフェースなのか不安だったんですが、以外とシンプルなAndroidという印象です。素のAndroidよりはかなり手が入っているんですが、癖が無くすんなりと使えました。
初期アプリも、無駄なものはほとんどありませんでした。おそらく、中国版のMyOSとは大分差があるのかな?と感じますね。
まず、テーマ機能もグローバル版ではストア機能がオミットされているようです。アイコンや待受など細かく設定ができそうですが、実際にはあまり選択肢はありません。
その他、基本的に標準で不満のないカスタマイズがされていますが、ここまでシンプルだと逆にびっくりしました。癖が強すぎるUIなんかより全然良いですが。
nubiaという珍しいブランドなのでさぞ使いにくいだろうと思いきや、思ったよりもシンプルで、細かいところまで配慮されたUIのため、使いやすいと感じました。
ただ、調べながら使って思ったのは、想像以上に情報が少ない事です。グローバル版MyOSの情報が少なすぎるんです。そういった意味ではとっつきにくいとも感じますね。
スライドスイッチのカスタマイズ
本体左側にあるスライドスイッチは、機能を編集する事が出来ます。
ただ、割り当てられる機能はかなり限られており7通りしか設定できません。独自のアプリを設定するなどは出来ないので注意が必要です。
わざわざハード的にも凝ったものを搭載しているのであれば、もう少し自由度が高くても良かったです。
- ストリートショットモード
- ライトのON/OFF
- フラッシュ
- ボイスレコーダー
- サウンドモード
ディスプレイ性能 UDCでフラット
ディスプレイは6.8インチで解像度は横1116px 縦2480px ピーク輝度は1500nitの有機ELディスプレイです。
また、ZTEお得意のディスプレイ下にフロントカメラを収めるアンダーディスプレイカメラを採用し、じっくり見てもカメラがあるようには全然見えません。
過去のUDCではちょっと角度を変えるだけでカメラ部分が違和感ありましたが、かなり強い光を当てるなどしない限り本当に目立たないです。
ディスプレイはフラットで、本体のデザインと合わせて角張った印象を持ちます。輝度や彩度ともにハイエンドらしいディスプレイが使われていますね。
ただ、フロントカメラの画質はその分犠牲になっており、だいぶ移りが悪いです。安い中華スマホのインカメラぐらい画質は終わってるので、セルフィーを気にする人は気をつけましょう。
ゲーム性能
ゲーム性能を見ていきましょう。最新のSOC SnapDragon 8 Gen 3を搭載しているため、基本スペックはかなり高めです。
それに加えて、RedMagic譲りなゲーミングファンクションも備えます。ゲーム起動後に画面端からスワイプするとファンクションメニューを表示する事が出来ます。
フレームレートカウンターの表示や、パフォーマンスの調整などもメニューから切り替える事が出来ます。
充電分離
ゲーミンググレードに搭載される、バッテリーを通さず直接給電する「充電分離」機能を搭載しています。
いわゆる「ながら充電」はかなりバッテリーを傷めると言われています。ゲームを中心だとよりハードになるでしょう。バッテリーを介さない事でこの問題を回避することが出来ます。
原神での動作感
実際に原神で見ていきましょう。さすがに最新のSOCなので60fpsに近いフレームレートをきっちりと維持します。
スメールやフォンティーヌといった最新のエリアにおいても高いレートを出します。
余談ですが、最新のエリアでは、そこそこSOCの性能が必要になってきます。例えば2世代前のSnapDragon 8+ Gen 1等では、安定時は60fpsを出しますが、アクションシーンではフレームレートの低下が目立つようになってきました。
優等生的な性能だった8+Gen1でさえ、最新のコンテンツにはスペックが足りなくなっているということですね。
スマホ性能の頭打ちと言われる中で、コンテンツ自体は最新の性能をフルに使うため、つねにスペックの向上は求められていると、ゲームをすると強く感じますね。話がそれましたが、Z60 Ultraのゲーミング性能は現時点で他のハイエンドスマホに劣らない高いプレイ感です。
バッテリー性能
バッテリーは6000mAhと、ハイエンド端末の中でもひときわ大容量です。また、80Wの急速充電にも対応します。
ゲームやカメラを使っていればゴリゴリと減っていきますが、待機が多いとやはり消費のスピードはかなり緩やかで、他のハイエンドと体感的比べ1割ほど良いと感じます。
一点残念なのは無線充電に非対応な事です。さすがに低価格を実現するためにコストカットされる部分です。普段使いするにあたって、無線充電の有無は結構重要なので個人的にはちょっと気になりますね。
スピーカー性能
スピーカーはステレオを搭載しますが、今回のレビューで一番残念だったポイントかなと思います。
全体的に籠もったように聞こえ、クリアさがかなり悪いです。
カメラ性能
カメラ性能を見ていきましょう。その見た目通りカメラに特化しています。
メインカメラは50MPのIMX800を搭載しています。F値1.59の明るい35mmレンズになっています。その他、超広角は64MP 18mm 、ペリスコープは64MP 85mm で、全てのレンズで光学手ブレ補正を搭載しています。焦点距離が独特で、他のスマホと比べて倍率が大きくなっています。
当初、シャッター後の処理が異様に遅かったんですが、最新のアップデートては改善したようですね。
見た目も性能もユニークなカメラ周りですが、実際に作例で見ていきましょう。
日中
空の補正が結構強力に入ります。これは設定からAuto Sky enhancementという設定がONになり、自動で補正がされていました。
この機能を使うと、不自然と感じる場面も多いです。空だけで無く絵全体が明る、彩度が高い場面だったらキマんでしょうが、空だけ違和感出る事が多いです。
雲だけが妙にHDR加工をしたようにくっきりと陰影が出てしまうのもちょっと不自然ですね。ちなみにOFFにしてもあんまり差が無く、基本的に空色は手が入ってしまいます。
夕焼けの写真がわかりやすく、とても幻想的な色合いに勝手になっています。個人的にAIでゴリゴリ補正が入る系のカメラは嫌いでは無いんですが、スカイエンハンサーが通常モードでここまで効いてしまうのはちょっと好みが分かれると思います。
ズーム性能は最大デジタル30倍です。5倍まではしっかりと撮れますが、10倍からややボケて、30倍はあまり使う場面は無さそうです。
夜景
Z60 Ultraが本領を発揮するのはナイトモードのようです。夜景の仕上がりの良さはここ最近のカメラハイエンドと比べてもかなり上位に入ると個人的に感じますね。
色味やコントラストの付け方が、非現実的とも言えるんですが、見栄えという観点で言うなら素晴らしいと思います。
空はノイズがほとんど出ていないですが、このへんは強力や補正が入っていると思います。色合いも日中同様に強めの補正が入っていますね。
見たままを写すという価値観を大事にする人にとってはちょっと受け入れがたいカメラかもしれませんが
オートで簡単に雰囲気良く撮るという価値観で見ればこの夜景モードは素晴らしいです。
私個人的には後者の意見なので、好みは分かれるとは思います。
ストリートショット(番地)
カメラ周りで誤訳されているのがストリートモードで、番地モードと表記されています。nubiaやRedMagicは誤訳が多いと聞いていましたが、今んとこ気になる誤訳は番地モードだけですね。
この番地モードが一体何なのかが正確に説明が無いんですが、おそらく実際のオールドカメラの雰囲気や簡単に印象的な撮影するためのモードだと思います。
ノイズをあえて乗せたり、色味をレトロにしたりとたくさんのフィルターが試せます。
ナイトショットと相性が良く、コントラストをクッキリとした上で、雰囲気良く仕上げてくれます。
この作例がオートで撮っているのは驚きです。簡単の印象的な撮影ができますね。
明るい昼間だとちょっと扱いが難しいですが、夜景モードや、ちょっと暗めの雰囲気ある場面で、より効果的に使う事ができると思います。
今回Z60 ultraのカメラを試していて、一番楽しかったのは番地モードでしょう。
スライダースイッチに番地モードが初期設定なのも、このユニークなカメラをより手軽に使うためという意図を感じますね。
画質がとーのこーのというより、「雰囲気ある撮影をする」という事に全振りしていると思います。
nubia Z60 Ultra 良い点/悪い点
良い点、悪い点をそれぞれ上げていきたいと思います。
良い点
まず、良い点として、SnapDragon 8 Gen 3を採用した圧倒的なスペックでしょう。技適という問題がありますが、日本の公式サイトから正式に入手出来るハイエンドとして、SnapDragon 8 Gen 3が選べるのは貴重です。
また、nubiaというクセが強そうなブランドながらUI周りはグローバル版はかなりシンプルで、人を選ばないのも評価出来ます。
ZTEが先に展開しているRedMagicブランドはUI含めてゴリゴリにゲーミングなので、人を選ぶんですよね。そういった意味で、多くの人が選びやすくなったのは評価出来ます。
また、カメラもいい意味でユニークなハイエンドで、楽しく撮れるという点においては他のメーカーには無い独特な魅了で溢れています。
そして、最後に何と言っても、安いということ。このスペックと完成度で10万を切っているのは 貴重な存在と言えるでしょう。
- 素晴らしいスペック
- シンプルなUI
- ユニークなカメラ
- 安い
悪い点
あまり悪い点は無いんですが、重箱の隅的な観点で上げれば
前述したシンプルなUIは、見た目の厳つさに反して拍子抜けをしてしまいました。ハイエンドならばもう少しリッチな機能があっても良かったんじゃないかな?と感じます。
また、無線充電に対応していないのも、ハイエンドとしては寂しいところです。普段使いをするのであれば、無線充電はほしいです。
無線が無いだけで、廉価版的な雰囲気が強くなってしまいます。
- もう少しカスタマイズがほしいUI
- 無線充電非対応
nubia Z60 Ultra まとめ
最後にまとめると、今回の試験販売はNubiaブランドの今後の展開の参考にするようです。
ツイッターでの購入報告を見ると、結構な人がこのマニアック端末にチャレンジしたようですが、実際の使い心地はどう感じたでしょうか?
私個人的な意見としては、シンプルな構成、ハイエンドスペック、価格も手頃と、とても満足感が高いです。
先に展開しているRedMagicシリーズはゲーミングですが、正直、ゲーミングスマホってちょっと下火な気がしています。
そんな中で、ZTEとして次のターゲットはnubiaハイエンドを準備しているということでしょうか?
もし日本で発売されたなら、ちょうどぽっかりと空席になっているポジションにうまくはまれると思うんですよね。Felicaとかいらないので、普通に技適を取って発売をお願いします。