今回はLenovoのゲーミングブランド Legion Y70をレビューします。
日本では、ゲーミングPCなどで有名なLegionブランドですが、本家中国ではスマートフォンも扱います。今回紹介するLegion Y70もゲーミングスマホとして展開されているんですが、驚くべきはそのスペックとコスパ。おそらくスマートフォン市場を全体的に見てもそのコスパは1~2を争うといってもいいかもしれません。Snapdragon 8+ Gen1を搭載し、ゲーミンググレードのハードを持ちながらも価格は脅威の4万円前半。セールでは3.7万で投げ売りもされている恐るべきスマホです。冷静に考えて8+ Gen1を搭載したスマホが4万前半っておかしいですよね。そんな異世界のコスパをやってしまうのが中国の恐るべきところでしょう。もちろん、中国版しか存在しないかなりマニアックな端末ではあるんですが、ガジェットファンもこのコスパに気が付き始めて人気が高まっています。
今回はしばらく使った感想、良い点、悪い点などを見ていきます。
Aliexpressでも価格に若干のゆらぎあります!安いところを見つけて買いましょう!
Legion Y70 スペックアウトライン
まずは、スペックを見ていきましょう。前述したように4万円前半でSoCにSnapdragon 8+ Gen1 採用というのが恐るべきスマートフォンです。そろそろ型落ちになってきたとはいえ、まだまだハイエンドといえる性能でゲーミングをらくらくとこなしながら、高い省電力性と安定性も兼ね備えたSoCです。
ディスプレイは6.67インチの有機EL FHD+で、リフレッシュレートは144Hz、タッチサンプリングレートは1500Hzとゲーミングらしいグレードになっています。バッテリーは大容量の5100mAhで最大68Wの急速充電に対応し、ゲーミングらしくバッテリーを介さずダイレクト給電が可能です。また、超大型のVCを搭載し効率よく冷却する機構を備え、ゲーミングソフトウェアも整えられたゲーミングスマホという側面も強く持ちます。
全体的にオーソドックスなゲーミングスマホという印象ですが、もし日本でこのスペックを出したらば倍以上の価格になってしまう所ですが、投げ売りもあいまった4万前半で買えてしまうこと、セールを狙えば3.7万円という信じられない価格で入手する事も可能です。
また、比較的ROM焼きが容易というアドバンテージもあり、カスタムROMを焼いて使うという需要もあるようで、割りとコアなスマホファンが楽しんでいます。
SoC | Snapdragon 8+ Gen 1 |
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メモリ/ストレージ | 8GB / 128GB (DDR5 / USF3.1) |
ディスプレイ | 6.67 インチ 有機ELディスプレイ 2400 ピクセル * 1080 ピクセル FHD+ 144hz リフレッシュレート1000Nit |
バッテリー | 5,100mAh 68W急速充電 ダイレクト給電対応 |
カメラ | 50MP (1/1.55) OIS + EIS 13MP 超広角 2MP マクロ |
その他 | ゲーミングソフトウェア 5047mm² 超大型VC |
価格 約45,000円(セール時 37,000円)
Legion Y70 デザインチェック
Legion Y70デザインを見ていきましょう。まず、開封して感じる第一印象は本当に4万台のスマホか?という圧倒的な高級感です。15万円台などの超ハイエンド端末達と並ぶような質感をしており、持った瞬間にこれはちょっと別格だな…と驚愕します。
Legionはゲーミングブランドではあるんですが、ASUSやBlackShark、POCOなどのゲーミングモデルのようないかにもガンダムかのようなデザインでは無く、とてもシンプルなデザインながら前述した質感の良さで圧倒的な高級感を出しています。本体したにはやや大きめにLegionのロゴが入るものの、それ意外はかなりオーソドックスなデザインです。
背面はフロスト処理がされたガラスになっています。今回私が購入したグレーカラーでは金属のようにも見えますね。カメラユニットはアルミニウムの台座に収まっています。ガンメタリックで鈍い表面処理がされているのと、エッジは磨かれているのでいかにも金属!というインパクトがあります。台座は2段になっておりそこそこバンプがあります。
サイドフレームアルミニウムが使われており、これまた高級感があります。フラット形状で、表面はヘアライン処理がされているのでめちゃくちゃ質感が高いです。右側面に、音量ボタンと、電源を兼ねた指紋認証ボタンがあります。
左側は一見何もありませんが、マイクの穴があります。なぜこんな位置に?と思いますが、ゲーム中に持った場合にもマイクを塞がないようにという配慮だと思います。ボイチャがゲームにおいては大分重要なのでその辺はゲーミングブランドらしいです。
本体上側も、マイク意外は特になにもありません。ボトム面はスピーカー、USB-C、SIMトレイと並びます。スピーカーは画面側の通話スピーカーも兼ねています。
ディスプレイ面は完全にフラット形状で、余計に角ばった印象を受けます。ベゼルは細めで、四辺ともに均一になっていてバランスが良いです。
実際に手にもつと、かなり大柄なのとその重量から取り回しが良い端末では決してありません。重量が209gでサイドがフラットもなのもあってめちゃくちゃ角ばっていて手に収まりがいいとは言えません。ただ、圧倒的な質感と高級感はうっとりとします。
専用のクリアケースが付属します。ちょっとだけスモークがかかっていますね。デザインと質感に関しては、今年一番の感動だったかもしれません。こんな高品質なものが4万円前半なんだと驚嘆します。
144Hzの高精細 有機ELディスプレイ
ディスプレイは6.67インチ 縦2400px 横1080px FHD+ 有機ELディスプレイを採用しています。ゲーミングモデルらしく、144Hzのハイリフレッシュレートに対応しています。
彩度感高めでくっきりとした表示をしてくれますが、気になったのは輝度。スペックでは1000nitという事で別に低いわけでは無いんですが、屋外で表示するともう少し明るさが欲しく感じますね。明らかに見ずらいです。
屋内で見る分にはまったく問題無いんですが、他のモデルと比べても明確にそこは差を感じる部分でした。
Antutu 100万超えを4万円前半で
Legion Y70の最大のポイントは、優秀なSoC SnapDragon 8+ Gen 1 を搭載しているという所でしょう。
SnapDragon 8+ Gen 1は一応全世代のハイエンドSoCではあるんですが処理性能、発熱、電池持ちトータルでかなり優れた性能を持ちます。ほぼハイエンドながらコスパの高い端末で良く採用されています。実際にAntutu性能はV10基準で約130万点で、まだまだハイエンドと言っていいレベルでしょう。
そして何と言っても4万円という価格でこの性能を実現しているのだから、価格設定がバグってるとしか思えませんね。本体のクオリティもあれだけありつつ、全体的に妥協が無いはずなのに、どうやってこのプライスを実現しているのでしょうか。日本で4万円のスマホって何がありますか?Snapdragon695とかになっちゃうと思います。中華スマホの中でも、かなり上位でコスパが良いと言えるでしょう。
CN版はZUI 日本語対応無し
今回購入したのは、CN版になります。Googleは自分で入れる必要がありますし、日本語もUIには入っていません。安さには安いんですが日本語が入ってないという大きな弊害があるため、マニアックな端末と言えるでしょう。
ただ、Google自体はapkで簡単に入ります。インストール後は、端末側でGoogleのサービスappを有効化するというトグルスイッチをONにするだけで問題なく使えます。
UIはLenovoのZUI14となっています。良くある中華独自OSですね。独特な部分も多いですが、基本的にはシンプルなUIでCN版でも普通に使えます。
UIのデザインも美しく洗練されているので、余計に日本語がある状態で使いたくなりますね。
ゲーミングモデルだからと言ってぶりぶりしたアイコンやUIじゃないのも良いです。ちなみに、ブリブリした壁紙などは一応プリインされています。
あと、何のキャラクターか分かりませんがゲームキャラっぽいエッチなおねいさんの壁紙とAoDが入っています。何かのゲームのタイアップですかね?
ジェスチャー機能も
端末を降ったり、ひねったり、叩いたりすることで設定した機能を起動するジェスチャー機能も使えます。
二回降ってライトをつけたり、本体をひねって決済アプリを起動したりなど、反応も良く面白い機能です。
画面を三本指でタッチすると画面分割を簡単に出来ます。
ゲーミング性能
ゲーミングソフトウェア
ゲーミングスマホらしく、ユーティリティソフトが充実しています。ゲーム中 左側のプルタブをスワイプするとメニューを表示する事ができます。
様々な便利機能がありますが、別途入れるのがなかなかめんどくさいFPSカウンターを標準で装備していたり、ショートクリップを作成するShdow レコードはSNSと親和性の良いツールでしょう。
原神での動作感
原神での動作感を見ていきましょう。先に結論から言うとゲーミングソフトウェア側でパフォーマンスをターボモードにすることで本来のスペックを活かす事が出来ます。
まず、バランスモードで30分程プレイした結果です。平均フレームレートは43fpsと、SnapDragon 8+ Gen 1 を搭載したスマホとしてはかなりフレームレートが低いです。これに関してはバランスモードが意図的に処理性能を落とし、発熱を抑えた動作をするからだと思います。実際に本体側の発熱はそこそこに抑えられて安定動作します。
次にターボモードをONにした状態で30程プレイした結果です。結果は平均53fpsとハイエンドらしいフレームレートが出せました。体感としてもONにしてプレイした場合の方が圧倒的に動作感が良いと感じますね。
ただ、通常モードでは抑えられていた本体側の熱が一気に上がります。熱いというより「チンチン」と表現した方が良いでしょう。
チンチンになったとしても性能が落ちる事は無く常時高いレートを維持しながらプレイできます。
これに関しては、本体のフレームと、カメラユニットが金属素材のため余計に熱く感じますね。放熱性が良く働いているから熱く感じるという事だと思うのですが、実際に持つ部分がチンチンになるため少し気になります。
ターボモードのON/OFFでここまで如実に変わるのは分かりやすくて良いと思います。ユーザーにその辺のコントロールを委ねられており、自分にとっての快適なプレイを出来るでしょう。
バッテリー性能
Snapdragon 8+ Gen 1はバッテリー消費も優秀なSoCなので、ハイエンドモデルに近いながらも普段使いのバッテリー持ちは良いほうです。ただ、ゲーミング用途だとゴリゴリと減っていくので、どちらかというと充電周りのほうが重要だと思います。Legin Y70は68W 急速充電対応に対応しています。68Wもあれば充電速度は十分だと思います。
また、ゲーミングモデルらしく、ゲーム中にバッテリーを介さず給電が可能なモードもあり、ながら充電を避ける事ができ安心してゲームをプレイする事ができます。
さすがにこの価格でワイヤレス充電まで搭載するのは難しかったようで非対応です。
カメラ性能
カメラ性能を見ていきます。カメラはメインが50MPでオムニビジョンのセンサーが使われています。正直、このセンサーがメインで使われていてカメラ性能が高い事はあまりないですね。
ゲーミングスマホは、カメラ以外の部分にコストをかけるため必然とも言えるでしょう。ただ、イメージ性能は定評のあるSnapdragonなので、この組み合わせがどういった結果になるでしょうか?
昼間
かなり濃く調整されるため、これは面白い撮れ方だな?!と思ったのもつかの間、良く見るとディスプレイのカラーキャリブレーションによるものでした。
実際の写真をPCに転送して見ると、色味薄めのやや寂しい結果に。
本体側の彩度ブーストが強力すぎてさすがに実際の写真との差が大きすぎると感じますね。
写真としては、くっきり撮れているもののハイエンドカメラと比べるとやはり劣っているなと感じますね。ホワイトバランスが悪く、白けて見えます。
Snapdragonのイメージ性能はあまりプラスに影響していないようです。
夜間
夜景に関しては明確に微妙ですね。妙に白くなるのと、暖色系がかなり強く出てしまいおかしな絵面になります。
特に空が分かりやすく、かなりクラウディに写っているかと思いますが、この日は雲はあまりありませんでした。完全に処理でむりやり明るくされています。空の判定をしてその部分は補正を抑えるというようなAI補正は効いていないようです。また、ノイズもかなり乗っていますね。暖色傾向もキツく、正直、こんな茶色じゃないです。
夜景に関しては、ここ最近見た中でも大分弱いなと感じました。
Legion Y70 まとめ
Legion Y70をまとめると、CN版で日本語が入っていないという圧倒的にネガティブな要素はあるものの、SnapDragon 8+ Gen 1による高い処理性能や、ゲーミング性能の高さ、惚れ惚れする質感とプラスな要素が大きく、そして何よりも4万半ばで買えるのがバグっていて良いです。
海外スマホに慣れてるコアなユーザーであればこのコスパには飛びつきたくなるはずです。
まあ、ROM焼き需要もあるようで、カスタムROMを焼いて運用するというユーザーも少なくないようです。文鎮化しても初期ROMに簡単に戻せるのもマニアックで良いですね。
圧倒的にマニアックな目線で「オススメ!」と言ってるので、広くオススメできるわけではありませんが、4.5万という価格で得られる体験では無いという事はお伝えしたいです。
Aliexpressでも価格に若干のゆらぎあります!安いところを見つけて買いましょう!