今回はGoogleが放つコスパ最強スマートフォン Pixel 7aをレビューします。
Pixelといえば、androidのリファレンス機という立ち位置から、最近はハイエンドや先端技術を先行して採用するパフォーマンス機という側面も持っています。
その中でもaシリーズは、メインストリームであるPixelから、よりコストを突き詰めスペックと機能性を両立した人気のシリーズです。
前作Pixel 6aからさらにスペックアップをはたし、androidだったらこれ買っときゃ間違い無いという鉄板スマホです。また、Googleのブランドというのもかなり大きく、激高か、中華ブランドかの二択に近いandroid界隈において、Googleというブランドは一際輝いています。
世の中的にはiPhoneが締めていますが、それに立ち向かえるのはやはりGoogleというブランドだけでしょう。スペックと価格、そしてブランド力と、全てが優れたPixel 7aは発売した瞬間から大人気となっています。
一方で、ポジティブすぎるレビューがあふれる中で、消費者としてはそれが本当なのか懐疑的にもなるでしょう。
今回は実際にPixel 7aを自費にて購入し、じっくりと使いこんだレビューをお届けします。
Pixel 7a スペック
まずはPixel 7aのスペックアウトラインです。
Pixelといえば、GoogleがSamsungと共同開発している謹製のSoC Google Tensorです。機械学習に重きをおいたプロセッサで、Googleで使われるサービスと親和性を持ち、高いスペックを持ち合わせています。CMで「消しゴムマジック」などがフォーカスされますが、コレを実現しているのがTensorを軸としたソフトウェアという訳ですね。
今回Pixel 7aに搭載されているのは、上位モデルである、Pixel 7 / 7 Proも同等のTensorG2を採用しています。廉価グレードながら核となるSoCはハイエンドと変わらないものが採用されているのがPixel 7aがコスパが爆裂している点でしょう。
メモリとストレージは8GBと128GBで、ラインナップとしてはやや寂しいですね。昨今の基準でいえば128GBは最低容量と言えます。せめて256GBが欲しかったですが、ドライブなどのオンライン環境を重視しているのでしょう。
ディスプレイは6.1インチと比較的コンパクトなサイズで、前作の60hzから90hzにアップグレードしました。さすがに60hzはもう目が受け付けませんが90hzであれば違和感なく使えるでしょう。また、画面内指紋認証のも対応しています。
対応バンドは各キャリアもバッチリで、何とドコモ N79もしっかり対応しています。バッテリーはついにワイヤレス充電に対応しました。使い勝手に直結するためこの進化はかなり大きいです。
カメラは64MPと、前作から画素数が向上していますが、その辺は期待できるでしょうか?Tensorの処理を含めて後ほど見ていきます。
その他、IP67の防水防塵にeSIM含めてのデュアルシム構成、おサイフケータイ、Google OneVPNによる高い匿名性などGoogleらしい付加価値を含めて価格は62700円となっています。大まかなスペックは上位グレードと変わらず細かい部分をデグレードしながらも、普段遣いには過剰とも言えるスペックをしています。Googleという圧倒的なブランド力もあいまって、多くの人が「これでいいじゃん!これがいいじゃん!」となる魅力があります。
Oppo、Xiaomiといった廉価スマホ以上に洗練されているため、まさにAndroidの新鉄板スマホと言っていいでしょう。
仕様 | 値 |
ディスプレイ | 6.1インチOLED 画面内指紋認証 |
プロセッサ | Google Tensor G2 |
バッテリー | 4385mAh ワイヤレス充電対応 |
カメラ | 背面:64MP + 13MP、前面:13MP |
ストレージ | 128GB |
RAM | 8GB |
OS | Android 13 |
価格 | 62,700円(日本) |
Pixel 7a デザインチェック
デザインを見ていきましょう。Pixelらしくポップな雰囲気ながら、上位グレードに近い見た目をしており質感が高いのも魅力です。
今回私が購入したのはスノーホワイトカラー。その他、薄いブルーのSeaカラー、濃いグレーのチャコールカラー、そして、Youtube Premier 1年無料の特典がついた限定カラーCoralレッドの四色展開です。
6.1インチという、昨今の基準で言うならばコンパクトスマホに入るサイズ感で、大きすぎず小さすぎないサイズ感は男女問わず使いやすいサイズ感です。実際に手にとると、普段バカでかいスマホばかり使っている立場から見ると大分新鮮なサイズ感ですね。コンパクトなサイズを使うと何だか自分もスマートになったように感じますがプラシーボ効果すぎるでしょう。
本体は主にリサイクルアルミ、高温で生成された複合素材などが使われており、廉価グレードながら質感が良いのが特徴です。
背面の素材はプラスチックなんですが、特殊な工法によりガラスとしか思えない質感の良さがあります。
サイドフレームからカメラバイザーまではアルミニウムが使われています。サラサラとしていて質感がよいですね。
右サイドにはボタンがあります。電源と音量が一般的なandroidとは逆でまったく慣れません‥。
サイズ的にもった時にちょうど電源ボタンが来る位置に調整されているとは思いますが、逆の方が良かったなと思います。
左サイドにはSimトレーがあります。eSiMとの利用でデュアルシムになっているので、トレーはシングル仕様です。
前作6aも質感は悪くありませんでしたが、今回のPixel 7aは上位グレードにも劣らないです。コンパクトながら重量はそこそこあり、193gです。サイズにしては中々質量がありますね。
6.1インチ 有機ELディスプレイ
ディスプレイは6.1インチ FHD+です。ベゼルが前作よりも大分太くなってしまいましたね‥。前作が細かったわけでは無く、7aが特段太いと感じます。一昔前のスマホのようなベゼルをしています。ちょっとボッテリとしていますが、特に実使用で困る部分ではありませんね。
発色と輝度ともに十分と感じます。屋外での視認性も良いです。
今回リフレッシュレートが60hzから90hzへとスペックアップしました。正直最近の120hz以上の動作になれていると、60hzはめちゃくちゃ違和感を感じます。まさに6aがそれで、スペック自体は悪くないはずなのに、リフレッシュレートのせいで動作が重いように感じてしまいます。
90hzという数値が体感出来るものか?というと思った以上に効果が大きく、初期設定の60hzは我慢出来ませんでしたが、90hzであれば普通に納得行くレベルで運用が可能です。
ディスプレイについて注目したいのは画面内指紋認証に対応していることです。これは前作6aから引き続きですが、本来、コストカットでサイド指紋認証になりがちですが、その辺はケチらずしっかりとしています。
認証の精度はややセンサーが狭いように感じます。この端末はガラスフィルムをつけていますが、その場合ちょっと精度が下がっているようにも感じますね。
また、前作6aでは何故か非対応だった顔認証にも対応しています。速度も良く指紋認証と合わせてあ勝手良く使えています。
Pixel 7a Tensor G2はAntutu74万点
Pixel 7aに搭載されているSoC Google Tensor G2はSAMSUNGと共同開発したSoCです。なので中身はSAMSUNGのexynosに近いとも言われています。
このSoCはPixel 7/ 7 Proと同じもので、廉価グレードながらハイエンドに近いスペックを持っています。
実際にAntutuベンチマークでは74万点をマークします。
このスコアはSnapdragon870 等と同等で一昨年のミドルハイエンド端末で採用されていたものと近いスペックになっています。スペック的に最新のSoCに劣りますが、ミドルハイと言えるレベルにあり、Pixel 7aを選ぶユーザー層にとっては過剰とも言えるスペックと言えますね。
Antutuベンチマーク後は中々に熱くなっています。
超どシンプルなUI は覚悟がいる
PixelシリーズはAndroidのリファレンス機という側面もあり、中身はほぼピュアアンドロイドと言っていいです。
これまで他のメーカーを使っていたユーザーからすると始めは面食らうぐらいにアッサリとしています。 アプリは基本はGoogleのアプリと基本的なもののみで無駄なものは一切ありません。
良くいえばシンプルですが、悪く言うと使い勝手は良くありません。
メーカー製のandroidは実はガッツリとカスタマイズがされており使いやすいようになっているんですね。
たとえばPixelではタスク一覧からアプリを一括でクリアーするボタンは一番左までスクロールしないと表示されません。
ホームアプリはメインの画面を指定する事も出来ません。
android本来の使い方である「自分でアプリでカスタマイズして使う」というのが根幹にあります。
今回のPixel 7aシリーズの好評を聞き、始めてPixelシリーズに触れようとしているユーザーはここは知っておいてほしいポイントです。
Pixel 7aの便利な機能
シンプルなPixelシリーズですが、Googleの先進的な機能を使う事が出来るのもポイントでいくつかご紹介したいと思います。
消しゴムマジック
広告などでもおなじみのAI機能で写真からフワちゃんを消すことが出来る機能です。
写真を撮影後、フォト機能から使う事が出来ます。写真から削除する対象を指で囲うと物体を判断して、違和感なく合成をしてれます。
背景が単調だったり、AIが合成しやすい条件の場合にはとてもマッチします。
一方で、背景が複雑な場合は結構不自然に合成される事も多いです。あまり過信は出来ませんが、フォトレタッチソフトで行うと中々複雑な事もAIで簡単に出来ます。
ちなみに、つい先日開催されたGoogleのイベントにてより高性能なMagic Editorが発表されました。こちらはより進化して、被写体を写真からズラすといったより高度な編集が可能になるようです。コチラも、今年後半にPixelスマートフォンにてリリースされる予定のようです。
Google One VPNでプライバシー保護
Google One VPNというセキュリティ機能もPixelユーザーであれば無料で使う事ができます。
昨今、Webにおいてのプライバシー、セキュリティがより真剣に向き合われています。Webの履歴など、ネットがパーソナリティに直結している昨今、いままでのWebリテラシーのまま使い続けて良いのか?という問題定義も行われています。
Google One VPNを有効にした場合、Googleのサーバーを使って各種通信のIPをマスクする事が出来ます。アクセスのログに残るIPアドレスを自分のものとは異なるものに出来るという事ですね。
かなりリテラシーの高い機能で、正直一般的な使い方をする用途においては使い勝手が分からないかもしれませんが、例えば公衆wifiにおける通信などをよりセキュアにしたりなどが考えられます。その他、こういった高いセキュリティを確保する必要がある職種など、かなり高度な機能と言えますね。
こういった非常に高度な機能すらも、生活の中に落とし込む事が出来るのがGoogleの圧倒的な部分でしょう。
ゲーミング性能
Pixel 7aのゲーミング性能を見ていきましょう。ポップな見た目の裏腹に、SoCはGoogle Tensor G2を搭載しており高い処理性能を誇ります。Antutu70万台は、多くのゲームタイトルで十分な性能を誇るでしょう。
一方、重いゲームの代名詞 原神においてはどうでしょうか? 現世代のフラッグシップ Snapdragonとはやや差も感じるスペックでどこまでプレイする事が出来るでしょうか?
実際プレイしてみた結果は、最新のスペックと比べると大分差を感じます。設定は最高画質+60フレームですが、何かしら動かすと大体40フレーム前後まで下がります。
アクションが多くなると30フレームから20フレーム台にも下がります。実際にカウンターでの計測値は平均フレームレート35fpsという結果になりました。
発熱のほうも中々でそうそうに熱くなっていき、快適とは言えないプレイ環境だと思います。同等のスペックのSnapdragon 870ではもう少しフレームレートが安定していたため、Exnosベース特有の最適化不足といった感じでしょうか。
Antutu70万点後半というスペック値に反して実際のゲームプレイはやや控えめです。
カメラ性能は微妙か?
カメラ性能を見ていきましょう。スマホでコストカットするならばまっさきに行われる部分で、Pixel 7aもあまりカメラのハード性能をプッシュしている端末ではありません。
ぱっと見は前作Pixel 7の50MPから、64MPへと画素数がアップしていますが、イコールカメラ性能がPixel 7aの方が性能が良いという事ではないので注意したいです。Pixel 7に採用されているセンサーはIsocel GN1で、Pixel 7aはIMX787となっています。センサーサイズはGN1の方が大きいため差がありそうです。
ただ、Pixelに関してはハード面よりもGoogleのチューニングするソフトウェア面が優秀で、TensorG2のAI処理にも期待が出来ます。また、廉価グレードながらOISにも対応しています。実際の作例で見ていきましょう。
まず、最小の印象としては6.2万のスマホカメラながらやはり補正がうまく、グレード以上の撮影が出来るということです。
彩度の補彩が強めに入ります。緑や赤についてはかなり増幅されているように見えます。
超広角とメインは結構差がありますね。超広角は画角と広めですが、あまり色調整がが良いとは思えません。
ズーム性能に関しては最大でデジタル8倍です。
さすがにここはハイエンドと比べると雲泥の差があります。荒い写真を、AI補正で塗りつぶしているので、油絵のような絵面になってしまいますね。
夜景に関しては、ちょっと場所が悪かったな…と思います。かなり暗かったです。
プレビューで見ている時はかなり不安になります。ノイズだらけやんけ!!って。ただ、シャッターを押した後に、しっかり光を集めAIが補正することで以下のようにきれいにとれます。
もうちょっと明るい町中で撮れれば評価は変わったかもしれませんが、個人的には今一つでした。
カメラに関しては、良くも悪くも無いっていうのが正直なところでしょうか?前作6aも、やけにカメラが良いと言われていましたが、正直使った感じとしては普通という‥
ただ、この価格帯であればもっと削ってもおかしくないなかで、Tensorによる高いソフトウェア技術も合わせて、ここまでのクオリティが撮れるのであれば、納得でしょうか?
少なくともターゲットとなる層には必要十分な性能だと思います。
コスパがやばい。iPhoneに対抗できる唯一のandroid?
Pixel 7aをまとめると、コスパという言葉でしか表現が出来ないでしょう。コスパという言葉は曲者で、もちろんこのPixel 7aより高性能で、安い端末も存在します。ですが、そういった端末の多くはXiaomiなどの中華スマートフォンで、日本では発売すらされていないものも多いです。
私の観点から言うと「日本での入手のしやすさ」と「ブランド力」もそのプロダクトを判断する重要なファクターです。
日本で安心して買う事が出来る、Googleのストアで買えば3日ぐらいでちゃんと届く。保証もしっかり。当たり前のことですが、こんな当たり前が重要なんです。
その信頼感があった上で、質感の良い筐体、多くの人にとって過剰とも言えるスペックと、Googleの先進的な機能などなど、選ばれる要素だけで構成されています。
6万2千円という価値はスペックだけでなく、そういった安心のブランドも含まれていると考えると見方がガラッと変わります。日本ではiPhoneというブランドはとても強く、覆すことなんて出来ないぐらい国民的普及機であるiPhone SEという存在は大きいでしょう。
唯一、これに対抗出来るかも?と思えるのが今回のPixel 7aです。
「おすすめのスマホある?」と聞かれたらiPhone SEかPixel 7aという大きな二分ができたように感じますね。
多くの人に本当にPixel 7aはおすすめなのか?
今回Pixel 7aは有名Youtuberなどもこぞってレビューしています。評価としてはコスパ最強!絶対におすすめ!といった評価がほとんどです。実際、私自身もそう表現するでしょう。ただ、ここはあえてキツめの掘り下げをおこなってみたいと思います。
まず、これだけの好評であれば多くの人がPixel 7aをほしいと感じるでしょう。申し分ないスペック、お財布機能、アップデート保証、程よい価格とそう思うだけの説得力で構成されています。
しかし、Pixelシリーズはピュアアンドロイドに近く、その使い心地は一体どうなのか?というのはあまりフォーカスされません。先に行った通り、本当にどシンプルなUIなので、これと向き合うにはそれなりにライフスタイルをあわせる必要があるとも感じます。
今回のPixelシリーズはキャリアでも取り扱われるのもあり、かなり広い範囲の手に渡るのでは?と思います。そういったユーザーたちがこのPixel 7aを手にしたときに感じるのは
感動なのか?それともこんなもんか?なのか。
Pixelシリーズの評価の熱量と、実際のユーザー体験には乖離があるのでは?とも感じます。こんな事を言うと、ただの逆張りのようにも受け止められるかもしれませんがPixelを人に対して手放しでおすすめする事は私は難しいと思います。