今回は、発売されるやいなや、スマートウォッチとしては驚異的な人気の高さを誇るNOTHINGのサブブランド CMF Watch Proをレビューします。
ポイント
正直、11000円以上出して買うのはおすすめしないプロダクトなんで値段が落ち着くのを待ちましょう。
NOTHINGといえば、日本でも背面が光るスマートフォンで有名ですが、元はOnePlusの元創業メンバー カールペイ氏が立ち上げたブランドです。Androidらしからぬデザイン性はどちらかというと、Appleなどと親和性が高くそういった"デザイン性"を全面に押し出したブランドです。
そのブランドのサブブランドがCMFであり、優れたデザインをより手軽に身近にというコンセプトを元に展開をしています。
そんなCMFブランドの第一号として発売されたのが今回のCMF Watch Proで、独創的デザイン性でスマートウォッチファン以上に、ファッション性を求めたいわゆる「おしゃれガジェット層」が飛びつきました。
各ストアでは売り切れが続出しており、無駄に高い値段になってしまっていますが、本来は11,000円とスマートウォッチとして見てもかなり安い部類に入るプロダクトです。
ポイント
様々なメディアやレビュワーがこぞって盛り上げる評価をしていますが、そこはイチスマートウォッチレビュワーとしてギークな目線でズバリ切り込んで行きたいと思います。
ちなみに今回のレビューでは、ユーザーが多いiPhoneで検証しています。androidとのペアリングは未検証です。
CMF Watch Pro デザインチェック
まずは何と言ってもデザインでしょう。CMF Watchの9割はデザインと言ってしまっても良いかもしれませんね。
今回私が購入したのは、メタリックグレーというカラーで、この本体のみケースがポリッシュされたものになっています。他のカラーはマットになっていますね。おそらく人気なのはこのカラーでしょう。
ポリッシュされたケース、実はメッキでは無く、アルミニウムで金属ケースになっています。
独特のフラットケースは、スマートウォッチとしては珍しくぱっと見はiPhoneシリーズのように角張ったデザインです。このデザイン人気の理由でしょうね。
ケースは左側にこれまで珍しい丸っこいデザインのボタンがついており、また通話用のスピーカーもついています。この辺は形状もデザインされていますね。
ディスプレイガラスは、微妙にカーブしたガラスとなっており、カクカクなケースと、ツルンとしたディスプレイがユニークです。
ベルトは、メタリックグレーのみ鮮やかなオレンジのベルトになります。かなり派手派手ですが絶妙なオレンジでファッションアイテムとして際立つようです。
全体的にデザインは70年代の時計のようなレトロフューチャー感を感じますね。モダンなんだけどどこかクラシカル。独創的なんだけど何か懐かしい感じもする。そんなデザインだなと個人的には思います。
本体サイズに関しては、かなり大きめだと思います。縦は47mmほどあり、厚みも13mm近いので、ミニマムなデザインの割にサイズはかなり大きめです。
縦 | 46.9mm |
横 | 39.87mm |
厚み | 12.89 mm |
重さ | 47 g |
ベルトについて
多くの人が気になるであらう、ベルトの質感に関しては私の基準で言うと60点です。
見た感じはしなやさでシルキーなappleWatchやPixelWatchの高品質なフルオロエラストマーバンドに見えますが
触った感じとしては「うーーーん‥!」という感じです。決して安っぽいベルトでは無いにせよ、かと言って高級感があるわけでもない。凄く半端なベルトです。値段から考えたら、フルオロバンドは難しいのはわかっていましたが、やっぱりな‥という感じです。
なので、ベルトの質感は思ったよりも良くないというのは注意したいです。正直、これは良いベルトでは無く、価格なりだと思います。
ちなみに内側に巻き込むタイプですが、微妙にシリコンのグリップ感が強いのでサッと着用がし辛いのも気になります。
ディスプレイ
ディスプレイは1.96インチと実はかなり大きめなディスプレイです。スペック的には横410px 縦502px とめちゃくちゃ高密度な解像度になっています。実際に見るとディスプレイのくっきり感は他のスマートウォッチと比べても高く、かなりディスプレイにコストをかけているなと思いました。基本的にUIがかなり統一されていて、黒・赤・オレンジ・白ぐらいしか使われていないので色味云々は判断しづらいですが、フォントのくっきり感はかなり良いです。
輝度もこの価格帯としては比較的まともな600nitなのがポイント高いです。ただし輝度の自動調整には対応しておらず、5段階から選択するタイプです。また、画面のタップ起動には対応していないのも気になる点です。
パネル | 有機EL |
画面サイズ | 1.96インチ (4.98 cm) |
解像度 | 410 x 502 |
輝度 | 600nits |
リフレッシュレート | 50hz |
ウォッチフェイス
ウォッチフェイスもデザイン性が出る大きなポイントでしょう。フェイスは大体40個ほど配信されており、そこまで多くはありません。こちらもNOTHINGデザインらしくシンプルでモダンなデザインです。
デザインは黒・赤・オレンジ・白・グレーのみで構成されており統一感があります。現代アート的なアーティスティックなものも多いです。写実的なウォッチフェイスは一個も無いですね。
デザインのベクトルがそれぞれ多彩で、好き嫌いは分かれる漢字がします。個人的には、色々と情報が整理されて表示されているフェイスが好みですが、アート的なのは苦手ですね。何か金持ちオシャレが部屋に飾ってそうな絵って思ってしまうのもたくさんあります。
また、ローコストなため保持出来るダウンロードフェイスは1つのみです。こういった細かい所で安物感が見え隠れします。
AODにも対応
AODにも対応しています。AODは固定の8種類から選択可能です。元のウォッチフェイスもAODのようなシンプルさがあるのでAODを使っても違和感ないのが良いですね。
NOTHINGデザインで凝りまくったUIデザイン
CMF Watchの特徴としては、UI周りがめちゃくちゃ凝っている事でしょう。NOTHING独特なドットデザインをアクセントに、とてもシンプルでミニマムながら高いデザイン性を持っています。
UI周りのデザイン性は、その他のウェアラブルと一線を画しており、独創的という言葉が一番似合うでしょう。削ぎ落とされたデザインという感じです。
フォントはおそらく中華フォントっぽく、一部漢字が違和感がありますが、細めのフォントで、ディスプレイの解像度もあって綺麗だと思います。
日本語で使ってもよいですが、デザイン性を優先するならば英語で使ってもカッコいいと思います。
意外にNOTHINGの特徴であるドットのアイコンやフォントはそこまで多く無いです。ちょっとしたアイコンに使われているかな?ぐらいの感じです。まぁあのフォントを全体的に使ってたら見づらくてしょうがないと思います。デザインのアクセント程度に使っているのは評価できます。
めちゃくちゃ細かい事言うと、ショートカットや通知のためのスワイプダウン・アップのときに中途半端にフェードイン効果がかかってるのが安っぽいですね。これ気になるのは私だけですかね?他のUIはすこぶる凝ってるのに、なぜ個々だけ安物の中華製品みたいな挙動を残したのかが謎です。
通知周りについて
通知ももちろん日本語で表示しれくれます。フォントが見やすいのでわかりやすいのは良いですね。ただ、LINEなどアイコンは表示されないのと、絵文字はもれなく□に変換されて表示されてしまいます。
また、最近流行りなLINEなどの返信にも非対応のようですね。どのアプリからの通知かも分からないので、非常に分かりづらいです。
動作感は中の上ぐらい
動作感に関しては、正直10000円なりだなと感じます。リフレッシュレートは50Hzと半端ではありますが、よくある30Hz駆動で無いのは良い所ですが、かと言ってヌルヌルとしているか?というとそうとも言えません。まぁ1万円以下の中華スマートウォッチだなと言ってしまえばその程度だという事です。CMF Watchはそういった部分を超えるぐらい、優れたデザインを全面的に推しているという感じでしょうか?
ポイント
悪く言ってしまうと、安い中華スマートウォッチの表面をNOTHINGのデザイン性でコーディングしたという感じです。
かなり辛口目に言っていますが、世の中で祭り上げられてるいるほど、素晴らしい動作感という感じでも無いです。
ヘルスケア周り
ヘルスケアのスペックは、心拍数とSpO2の24時間の自動測定に対応しています。それぞれ自動測定のON/OFFは設定可能です。この辺のヘルスケアの挙動は至って普通というか、特に可もなく不可もなく…という感じです。
その他ストレスに関して30分ごとに自動測定です
睡眠ログも至ってシンプル。睡眠分布のみです。
個々最近発売されているスマートウォッチでは、こういったヘルスケア情報にどういった付加価値をつけるか?という事にやっきになっています。というのも、機能性に差がほとんどなくなってきているからです。
CMF Watch Proのヘルスケアは、機能としては2~3年前の基準かな?と思います。それぞれ自動取得はしっかりと取れてるし、値の振れ幅が大きかったりというような事もなくと、シンプルです。
しいて言えば、アプリやUIでヘルスケア画面でNOTHINGらしいデザイン性で表示される事ぐらいかな…と。もうそれはヘルスケア関係無いんですが。
ワークアウト
ワークアウトは110種類から選択する事ができ、GPSも搭載しています。GPS搭載ウォッチとして1万円というのは結構コスパは良いですが、精度はどうでしょうか?ウォーキングで使ってみました。
測位と精度がかなり不安定
まず、私がよく使う、高い建物で囲まれたルートで使ってみました。このルートは精度が悪いスマートウォッチだと途端に測位が不安定になります。実際にCMF Watch Proで使ってみた所、残念ながら測位不可でした。
まさかそんな事ある?と15分ぐらいあれこれ再起動したりなんなりを繰り返したんですが、駄目でした。5分ほど止まっていたのに測位しないって初めての経験です。
その後、場所を変えまったく建物が無い開けた所で取得するも、何故か測位せず…。さすがに初期不良を思いだしたんですが、5分ほどして測位し、その後はすぐに測位をするようになりました。
ちょっと不安定すぎませんか?これまで見てきたスマートウォッチの中でも、初代OnePlus Watchを彷彿とするGPS精度の悪さです。
その他の機能一覧
この価格ながら通話をサポートしています。連絡先機能もありアプリからよく使う連絡先を登録する事ができます。
ストップウォッチはNOTHINGフォントが使われていてカッコいいです。カウントアップの仕方がレトロフューチャー感があって良いですね。
タイマーは1分~2時間と設定が可能です。また時間は手動で設定可能です。
音声アシストとあるので、まさかのAI搭載かと思いきやスマートフォン側のAIアシスタントの呼び出し機能ですね。iPhoneの場合はSiriが起動します。返答自体はスマートウォッチのスピーカーを通して返してくるので意外と使いやすいです。
アラームは時間と繰り返す曜日を時計単体で設定することができます。
バッテリー性能
バッテリー持ちは公式で13日としています。ここに関してはAODを使ったり、ワークアウトメインだったりで大きく変動しそうです。私の条件としてはAODは無し、心拍とSpO2の自動測定をON夜間の睡眠ログも利用といった環境でした。
その日によって使用率が異なるんですが、大体到着時100%から1周間フルで使った場合に、残量は50%ほど残っていました。
独自OSのスマートウォッチとしてはこれぐらいかな?と思います。バッテリーは340mAhとサイズからするとおとなしめですが、画面の表示が基本的に黒なのが多く有機ELと相性が良いのかもしれませんね。
iOSユーザーからするとappleWatchよりも遥かに持ちは良いので、通知メインな人にはとてもロングバッテリーにうつるでしょう。
微妙だと思う点
iPhoneと接続していると忘れた頃に解除されてる
これはiOSだけかもしれませんが、気づいた頃に何故か接続が切れている事があります。その度CMFアプリから再接続が必要です。androidだと起動アプリを固定出来るので大丈夫だと思うですが、iOSは固定ができないのでどのタイミングで切れているのかがわかりませんね。iOSユーザーからするといきなり通知が来なくなるので、せっかくデザインで興味を持ってくれたのに、「やっぱ安物は駄目だな~appleWatchにしよ」ってなるのが目に見えてますね。
しばらく外していると切断される感じですかね?
アップデート=初期化
これは最近のスマートウォッチでは驚いたんですが、アップデートはペアリングが初期化されてしまいました。普通は接続状況は保ったまま更新するでしょ‥!とつっこんでしまいました。
また。ややこしいのがアプリ側と本体のBT情報は残ってしまうので、そのままだとうまくペアリングが出来ないです。
もろもろ消してもう一度ペアリングをする必要のは落とし穴だと思います。
謎の初期化
これは海外サイトなどでも報告されている事例ですが、謎にペアリングが初期化されます。前述したアプリとの接続ではなく、完全にペアリングから外れてしまいます。アップデート云々を抜いて、まったくもっての突然の初期化です。
流石にこれまでのスマートウォッチでこの挙動は見たことが無いんですよね…。この場合、再度アプリでペアリングをしようとしてもエラーが出ます。正解は、一度スマホ側のBT設定からWatch Proを削除して改めてペアリングする必要があります。
あくまでも1万円のスマートウォッチである
CMF Watch Proをまとめると、あくまでも1万円の安価なスマートウォッチであるという事は前提としてあります。前述したようにNOTHINGのデザインセンスでコーティングされた中華スマートウォッチという評価が一番正しいと個人的に思います。
否定的に聞こえるかもしれませんが、CMFブランド自体がNOTHINGのデザインとクオリティを手軽に、そして広く手に取られるようにというコンセプトの元展開しています。実際1万円のスマートウォッチでここまでデザイン性に特出したプロダクトは未だかつてありませんでした。
iOSユーザーからも注目度が高かったのは、このデザイン性のおかげとも言えます。AppleWatchのように高価でなく、通知さえきてくれればそれでいい。なおかつデザインが良いという選択肢は、iOSユーザーからすればとても貴重な存在かもしれません。
ポイント
個人的に、世の中のオシャレさん達がこのスマートウォッチを神だなんだともてはやすのに違和感を感じています。だって中身自体は大したスマートウォッチでは無いからです。機能性だけで言えば、1万円で買えるXiaomiやHuaweiのほうが精度もクオリティも上でしょう。
注意ポイント
実際、ソフトウェア周りの不安定さがここ最近見てきたスマートウォッチの中でもワーストと言ってもいいぐらいに微妙です。これはソフトウェアアップデートを早急にしない事には、NOTHINGブランドにも泥を塗ってしまうのでは無いでしょうか?
これはあくまで私の予想ですが、CMF Watch Proは、realmeと同じ系列で作られているんじゃないかな?と予想しています。同じ起源がOppo繋がりな事、オウガグループとしてOppo、realme、NOTHINGは水面下で繋がっている所のでそう勘ぐっています。realmeのウェアラブルも、パッと身は良いんですが随所で見られる安っぽさが気になるんですが、CMF Watch Proでもそれを感じました。
realmeクオリティにNOTHINGのデザイン性を加えたという感じかな?と思います。
まとめると、めちゃくちゃハードルが上がってるようにも思えるので、改めて1万円のスマートウォッチだという事は前提としてあるべきでしょう。1万円として考えれば異常なほどにUIに凝りまくっているのは確かです。
ただこのスマートウォッチを神とか最高!とか言ってしまうと絶対に嘘ですし、それ意外のコスパに優れたスマートウォッチもあるじゃん!というのが私のようなオタクからの意見でした。
とりあえず、CMF というサブブランドでこれだけ注目を受けたので、今度はNOTHINGブランドで本気のウェアラブルを作る番でしょうか?その場合は、ベースとなるのはOppoウェアラブルだと思います。Oppo Watchであれば品質もピカイチなのでぜひともNOTHING Watchの方をよろしくお願いします。