今回はSAMSUNGの最新フラッグシップスマートフォン Galaxy S22 Ultraをレビューしたいと思います。
S22 UltraはこれまでNoteシリーズとして展開されていた格納式Sペンを継承したモデルになっており、最新のSOC Snapdragon 8Gen1を搭載したまさにSAMSUNG渾身のハイエンドフラッグシップスマートフォンです。
今回は実際に1週間ほど使用して感じた良い点・悪い点などをお伝えします。
Galaxyスマートフォンの魅力は圧倒的な万能さにあるわけですが、ゆえに幅が広すぎてなかなか伝えきれないかもしれませんが、2022年度最強Androidの本当の使い心地を頑張ってお伝えしたいと思います!
Samsung Galaxy S22 Ultra レビュー 間違いなく今年最強のスマートフォンだが買い替えは待つべき?
Galaxy S22 Ultra スペックアウトライン
まずはGalaxy S22 Ultraのスペックアウトラインから。
SOC | Snapdragon 8gen1 |
メモリ | 12GB(拡張RAMで最大+8GB) |
ストレージ | 256GB UFS3.1(512GBと1TB版もあり) |
OS | Android12 OneUI4 |
ディスプレイ | 6.8インチ WQHD+ 1Hz〜120Hz可変リフレッシュレート対応 ピーク時1750nitの高輝度AMOLEDディスプレイ |
カメラ | 108MP 広角メイン 12MP 超広角 10MP 望遠 10MP ペリスコープ望遠 |
バッテリー | 5000mAh 45Wの急速充電対応 |
その他 | Sペン内蔵・IP68・etc… |
S22 Ultraお値段: 約16万
まさにKing Of Androidといったスペックで、紛れもなくハイエンドフラッグシップモデルです。
また、これまでNoteシリーズの特徴だった内蔵スタイラスペンを引き継いだ初めてのSシリーズになります。
最高水準のスマートフォンと言えますが、それに伴い価格も超ハイエンド帯に突入しました。昨今の半導体不足などからも価格は高騰傾向にあります。
Galaxy S22 Ultra デザインチェック
Galaxy S22 Ultraのデザインを見ていきましょう。特徴としてはやはりカメラユニット周り。無印とプラスに関しては前作のデザインテイストを引き継いでいますが
Ultraのみ、カメラ周りが埋め込まれた一体感のあるデザインに変更になりました。カラーは今回ブラックをチョイスしましたがその他もグリーン、バーガンディーといった落ち着いた雰囲気のカラー展開です。ちなみにホワイトやレッドといった地域限定のカラーもあるようです。
背面はサラサラとした手触りのフロストガラスになっています。パット見アルミにも見えなくないですね。擦り傷とかが目立ちそうな素材になっています。
一応海外の耐久度を検証する動画で鉄っぽい材質で引っ掻いていましたが一応耐摩耗性はあるようですね。いずれにしても値段が値段なんで大切に扱っていきたいところです。
カメラユニットです。前作の鬼のようなバンプよりだいぶスッキリとしました。
上から12MP超広角・108MPメイン・10MPペリスコ・10MPの望遠という構成です。カメラについてはまた別項目で。
- 12MP 超広角
- 108MP 広角メイン
- 10MP ペリスコープ望遠
- 10MP 望遠
本体側面は電源ボタンと音量のみで、Glaxy史上最強のアルミフレームとの事で。側面は割と強めにカーブしています。全体的に角張ったフォルムなんですが
握った感じは側面のカーブのおかげて収まりは良いと思います。
角ばって見えるのは上下がフラットになっているからでしょう。かなりスッキリとした感じで高級感があります。
ボトム面はUSB-Cとスピーカー、それとSIMトレイになっています。前作で不評だったSIMトレイ穴とマイク穴が近い設計は引き続きです。これはマジで気をつけましょう。最悪マイクを破壊しかねないです。
S22 Ultra最大の特徴はSペンを内蔵している事です。実質的にNoteシリーズの系譜ですね。ペン自体にバネが仕込んであり、押すとカチッと飛び出します。
ディスプレイはGorilla Glass Victusを使用しています。エッジ感はゆるめですがカーブしたディスプレイになっています。ちなみに初期フィルム貼ってありません。
購入する際はフィルム購入を忘れずにしましょう!
手に持った瞬間に感じるのは、S21Ultraより大分軽くなったな!という印象。ただ、実際の重さは1gしか違わないんです。ペンを内蔵しながらも重量はほぼ同じです。
S21 Ultraは特徴的なカメラユニットゆえにバランスが悪く、余計に重く感じましたが、S22 Ultraは比較的フラットなデザインなので全体的な重量バランスが良いと感じます。軽く感じるのはそのためだと思います。
S21 Ultraと比べて軽く感じるのであって実際は6.8インチで重さは230gに近い重量級のモデルです。
S22Ultra | S21Ultra | |
縦 | 77.9mm | 76mm |
横 | 163.3mm | 165mm |
厚み | 8.9mm | 8.9mm |
重さ | 229g | 228g |
まさにフラッグシップスマートフォンという感じで高級感の塊ですね。デザインがシンプルでスマートなのもいいですね。最高峰の端末を所有しているという悦にひたれます。
Sペン イラストツールにも使える低遅延スタイラスペン
S22 Ultra最大の特徴であるスタイラスペンについて。今回私は実質Noteシリーズは初めてだったのでかなり新鮮です。今回のSペンではレイテンシが大幅に小さくなっており、Note20の9ミリ秒から2.8ミリ秒まで短縮された事で、超低遅延で動作します。
スタイラスを本体から抜く事で、独自のランチャーが起動し、OneNoteなどのスタイラスアプリにアクセスする事が出来ます。
また設定で、ペンを引き抜いてすぐにモノクロのメモが残せる機能も使う事が出来ます。さっとメモを残したい場合には良さそうです。
カメラアプリではシャッターやズームなどをジェスチャーで操作する事も可能です。
クリップスタジオでの動作感も素晴らしい
人気のイラストツール クリップスタジオでの動作もとても良いです。遅延が少なく線の追従性がとても高いため、本格的なイラストニーズであってもこなすレベルだと私は感じました。本体のサイズもあると思いますが、描き心地はXiaomi Pad5やXiaoxin Padといった専用スタイラスペンを用いたものより良いと私は感じました。
超高輝度1750nitを誇る高精細ディスプレイ
SAMSUNGスマホといえばディスプレイの品質の高さも特徴でしょう。
ガラスに強度の高いGorilla Glass Victusを採用し、トップクラスのディスプレイは最大で1750nitという輝度を誇ります。
前作S21Ultraが1500nitという事で屋外で見た場合にS22 Ultraがワントーン勝っている印象です。S21 Ultra自体も超高品質なのは間違いありませんが、それを上回るディスプレイパネルを採用しているという事ですね。
輝度は設定画面から「自動調整」をOFFにした上で「明るさを増大」にチェックを入れると最大輝度を発揮します。ただし、バッテリー少消費も大きくなります。
ちなみにこれはディスプレイではなくOneUI4の新機能ですが「明るさをさらに下げる」というオプションも追加されました。これは最低輝度の基準を引き下げてくれるオプションです。S21Ultraを使っていて思ったのは自動調光機能を使っていても、基準値が高いので夜などは眩しいと感じていました。屋内などではバッテリー消費も考えもう少し抑えたいと感じていたのでこれは良いオプションです。
1Hz~120Hzの可変リフレッシュレート
リフレッシュレートは前作同様に最大120Hzですが、コンテンツによって1Hzまで下げる事でバッテリー消費を抑える工夫がされています。
この仕様に関しては若干注意が必要で、一般的に知られているAndroidの開発者オプションから確認できるリフレッシュレートカウンターでは、正確なレートを計測出来ないそうです。これはAndroid側の仕様によるところで、実際はパネル側で可変リフレッシュレートが利いていても、それを検知する術が無いという事のようです。
リフレッシュレートの確認は開発オプションからの方法が広く浸透していますので、ちょっとこれは誤解を招きそうですね。
画面内指紋認証も好調
記事用 S22 Ultra 指紋認証制度&スピード
過去作は悪かったけど、今作は高い基準にあると思う。 pic.twitter.com/uHKEW4gk54— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) March 9, 2022
Galaxyといえば、画面内指紋認証の速度と精度が気になるところですが、今回S22 Ultraにおいて指紋認証については特にアピールされていませんでしたが実際にしばらく使った感想としては初期状態から大分精度と速度は良いなと感じました。
今回購入時に別途おまけで頂いたフィルムの性能が良いのかわかりませんがストレスなく使えています。初期フィルムが付いていないので、サード製のフィルムで指紋認証の精度にどれだけ差が出るかは気になるところです。
最新のSnapdragon 8Gen1を採用 Antutuはギリギリ100万に届かず!
SoCには最新のSnapdragon 8Gen1を採用しています。SAMSUNGの謹製Exynos版も存在しますが、おそらく今後日本でも展開されるのはスナドラ版でしょう。
とりあえずおなじみAntutuベンチマークを回して見たところ結果としては93万点という結果になりました。今年のスーパーハイエンドのボーダーである100万点には一歩及ばず…といったところでしょうか。
Andoroidの王者たるGalaxyで100万という大台を拝めなかったのはちょっと悲しいですが、実際のところ90万前後という数値は今期スマートフォンのハイエンドモデルのスコアなのは間違いありません。
ただ、前作S21 Ultra自体も79万点ほどのスコアは誇るので、そこからの進化は体感的には感じづらいと思います。
実際にしばらく使った感想としては、写真を撮った時の保存が気持ち早いかな?ぐらいのものです。もともと高いハードルなため、それを超えていようが凄さが伝わらないのが悲しいところです。
カメラ性能 補正周りがより丁寧な仕上がりに
カメラについては以下のような構成です。
12MP | 超広角 IMX563 |
108MP | 広角メイン HM3 |
10MP | ペリスコープ望遠 IMX754 |
10MP | 望遠 IMX754 |
カメラのセンサーなどの仕様に関しては前作S21Ultraと変わらないのでちょっとインパクトが弱いのですが、今回はSOCに最新のSnapdragon 8Gen1を搭載しているので、ISPで差が出るかと思います。実際にいくつか作例を見ながら見ていきましょう。
望遠性能
前作に引き続き最大100倍の望遠ズームに対応しています。以下はそれぞれのズーム倍率で撮影した結果です。
- 0.6超広角
- 等倍
- 3倍
- 10倍
- 30倍
- S22Ultra 100倍
10倍から30倍までの仕上がりの良さに驚きます。普通にこの倍率は写真として耐えるレベルだと思います。
- S21Ultra 100倍
- S22Ultra 100倍
100倍に関してはS21Ultraとの差が大きく出たので比較したいと思います。100倍ズームに関してはISPの差が大きく、S22Ultraのほうがシャープさが強くよりくっきりした印象を持ちます。もちろん作例としてはS22Ultraのほうが良いと私は感じます。
S22UltraとS21Ultraを撮り比べて感じるのは色味や白飛びといった部分の補正がより自然で美しく処理されていると感じます。彩度に関して前作では補正がちょっと強めで良く言えば見栄えのある仕上がり・悪く言うとわざとらしく彩度が上がっているという印象でした。
S22Ultraの補正に関しては全体的なバランスがより自然になるように調整されています。
解像度感
108MPモードで撮影した結果です。双方ともにさすがGalaxyと言わんばかりの解像度感です。


拡大してみると差が大きく出ており、S22Ultraでは植物の葉がくっきりとしているのに対してS21Ultraでは周りが若干ボケてディティールが潰れてしまっています。この辺もISPによる仕上がり補正部分で差が出ています。
動画 手ブレ補正
動画は通常の手ブレ補正とスーパー手ブレ補正の2種類で見てみましょう。撮影サイズはUHD+60FPSで撮影しました。
OISでかなりブレは抑えられています。割と気にせずズカズカ歩いたわけですがここまで抑えられていたのは驚きです。
次はスーパー手ブレ補正をONにした状態です。こちらをONにすると画質はFHD+60FPSが最大となります。
ミドル帯のスマホなどで手ブレ補正を使用して撮影すると映像に歪みなどが発生しますが、S22Ultraに関してはとても自然にしっかりと補正を聞かせてくれます。
この動画ではかなりわざとらしく大きく揺れながら撮影していたわけですが、それを感じさせない映像に仕上がっていると思います。
夜景


最後に夜景についてです。今回の検証で一番細かく差が出たのは夜景についてでしょう。
空の色を見るとS22Ultraの作例がワントーン明るくなっていると思います。
ギリギリノイズが発生しないレベルで明るさがプラスされてよりクリアな印象を持ちます。
白飛びの抑えがとても強力で、シャッターを切った後にしっかりとフレアやゴーストが除去されています。
処理が早い
細かい部分ですが、処理がS21Ultraと比較しワンテンポ早いです。この辺はSnapdragon 8Gen1の処理性能の高さによるところでしょうか。カメラの操作にストレスを感じないのもポイントです。
ISPの仕上げ処理が向上!
S22Ultraのカメラで一番感じるのは仕上がりの良さでしょう。ハード的な部分の進化はありませんがソフトウェア側の処理で、より美しく仕上がるようになりました。
もとよりS21Ultraもカメラ性能は高いわけですが、今回のS22Ultraではより補正面でブラッシュアップをしてきましたね。
ゲーム性能 GOS問題
ゲーム性能についてはちょっとネガティブな事を伝えなくてはなりません。
今回のS22を含め、過去のシリーズにもシステムアプリとしてGame Optimization Service(以下GOS)というプロセスがプリインされています。
ゲームにおいて本体のパフォーマンスを最適化するのが本来の目的ですが、このプロセスによってゲーム性能が著しく低下していることが判明しました。
バッテリー寿命の保護といった側面から性能にリミットをかけていたようですが、ゲーム以外にもおよそ10,000個にもおよぶアプリがこのプロセスによって本来のパフォーマンスを発揮できない状態になっています。
また、このGOSの対象から各種ベンチマークアプリは除外されており、表面上はスペック低下がわかりづらくなっていたのも騒がれている要因です。
コミュニティやメディアでも騒がれはじめたため、SAMSUNGでも正式に認識し、調査を開始しました。今後このGOSに関しては何かしら対応が行われるようです。
実際に原神で見てみた
現時点でGOSが影響しているというのを確認するため原神でフレームレートなどを確認してみました。
- 開発者オプションより
- FPSカウンターなどを表示出来る
開発者オプションより専用のGPUWatchという測定機能が使えます。純正機能なので外部の測定アプリなどよりも正確にトラッキングしてくれます。
Snapdragon 8Gen1ほどのスペックがあれば最高設定+60FPSでの動作は余裕でこなしそうですが実際は45FPS前後までしかフレームレートは上がりませんでした。何かしらアクションを起こす場面ではそれよりさらにドロップを起こします。
GOSという存在を認知しているから余計に感じるのかもしれませんが、最新のフラッグシップスマートフォンの動作感としては確かにイマイチ。もしGOSが発覚していなければゲーム側の最適化が出来ていないと判断される動作感でしょう。
15万近い高級帯フラッグシップスマホ、ましては天下のSAMSUNGのスマートフォンとしてこの結果はあまりにもおそまつだと思います。
今回の件には、Note7問題ばりにシリーズの信頼感を落とす結果に繋がりかねないため、早急な対応をSAMSUNGにはしてほしいです。
バッテリー性能と45W急速充電について
S22 UltraのバッテリーはS21Ultraと比較して良くなっていると思います。というのも私S21Ultraは60hzで運用していたんですが、S22Ultraは120hzで運用してなおバッテリー消費が優れているからです。
大体一日中Twitterを見て、バックグラウンドYoutubeを流しっぱなど、比較的ハードな使い方をしていると思います。Galaxyはバッテリー使用の学習も後々進むのでもう少し良くなると思います。体感的にはS21 Ultraより1割ほどバッテリー持ちが良いです。また待機時の省電力さが明確に上がっています。
ただ、あくまでS21Ultraと比較しての話なので、基本的にGalaxy S22 Ultraは高燃費と言えるバッテリー性能ではないと思います。あまり過度な期待は持たない方が良いです。
45Wの急速充電が帰ってきた!
S22 Ultraでは45Wの急速充電が帰ってきました。S20Ultraでは45Wの充電に対応していたのですが、その後何故かS21シリーズでは25Wまでデグレード。昨今120Wだとか250Wのとんでもスピードを中華メーカーが展開する傍ら、ハイエンドモデルであるGalaxyが25Wまでとはなんとも貧相でした。
普段使いには25Wでも事足りるかもしれませんが、私のように動画撮影などでヘビーに使う場合は25Wの充電速度は明確に不満でした。今回45Wに戻った事で、中華メーカーには負けますが、一応速さの恩恵を受けれるレベルにはなったと思います。
ちなみに前作より充電器は環境配慮という名目で付属していません。中華メーカーが太っ腹に急速チャージャーをつけているのに対してこの辺もユーザーとしては微妙な所。また、GalaxyはPPSに対応したチャージャーでないと急速充電は使用できないので別途チャージャーを購入する際はPPSでの出力も確認し購入しましょう。私のオススメは以下。PPSに対応した他ポートチャージャーです。
過去シリーズからの買い替える魅力はあるか?
私はS20Ultra・S21Ultraと乗り換えてきましたが、その目線から見て今回のS22Ultraはそれら過去シリーズより買い換えるほどの魅力があるか?と問われたら
答えはNo(ノー)です。理由としては出す価格に対しての進化を感じづらいからです。
特にS21Ultraからの乗り換えに関しては、SOCの底上げとSペンが内蔵になった事が大きな変更点で、そこ以外に関して正直私は進化を感じる事が出来ませんでした。
Snapdragon888と8Gen1の性能差を体感で感じる事は難しく、Sペンという存在に価値を見出す事が出来なければ、15万近い対価をなげうって乗り換える価値は薄いと思います。
間違いなく2022年を代表するフラッグシップモデル
買い替えに関してはネガティブな事を言ってしまいましたが、新規で購入する場合で言えば、この上無い極上のAndroidスマートフォンと言ってもいいでしょう。
間違いなく2022年を代表するフラッグシップモデルです。Galaxyのフラッグシップは、広いユーザーに最高の体験をもたらすスマートフォンだと思います。
徹底的に考え抜かれたソフトウェアと、最高水準のハードウェアが見事に融合したマスターピースと言っていいでしょう。その代わりお値段もぶっ飛んでいますが、それだけの価値があるスマートフォンです。