今回はAmazfit GTS4を入手したのでレビューしたいと思います。
10月にGTR4シリーズと同時に発表され、私もGTR4のレビューを先に行っていますが
それからしばらく間があいてのレビューとなります。基本的にGTRとGTSシリーズはAmazfitのメインストリームというポジションであり、ラウンド型とスクエア型という形状的な違いを除き、基本的なスペックは同等です。
ZeppOS2.0をベースとした事で同様に高い機能性を持ちつつも、GTR4よりもよりシンプルでスマートな印象を持っているのがGTS4になります。その後、ZeppOS側の開発状況も進んだことでミニアプリ等も非常に充実してきています。
ポイント
今回はGTS4をGTR4とも比較しつつ、ソフトウェア側の進化点なども合わせて確認していきたいと思います。
Amazfit GTS4 アウトライン
まずはGTS4のアウトラインです。GTR4がよりクラシック路線に回帰したのに対して、GTS4はスマートとシンプルな路線を引き続き継承しています。OSは同様にZeppOS2.0を採用し、最新のヘルスケアセンサー BioTracker™ 4.0を搭載しています。
GTSシリーズ伝統としては、スリムボディを実現するため、GTRシリーズよりも若干バッテリー容量が犠牲となっています。軽量・シンプル・スマートというAmazfitらしいセンスをより体現しているのはGTSシリーズといえるでしょう。
Amazfit GTS4 デザインチェック
GTS4のデザインを見ていきましょう。デザイン的変更の大きかったGTR4とは対照的にこれまでのシンプルでスマートな印象をそのまま引き継いでいます。削ぎ落とされたデザインはどこかモード的な雰囲気も漂わせており、シンプルでスマート、シックな印象です。
ディスプレイサイズは前作と変わらないのですが、ミドルフレームが流線型になった事で視線が縦に流れるせいが縦長になった印象をうけます。フレームはアルミニウムが使われており、鈍い質感がシックさを強調しますね。デザイン的特徴は、前作よりも大型になったクラウンで材質もここだけステンレスが使われています。Amazftiのブランドロゴが入り、ディテールが凝っていますね。回転操作に対応しますが機械的なフィードバックは無いスルスルとして操作感です。
ディスプレイサイズは1.75インチと前作GTS3より変わりありません。引き続き高精細な有機ELディスプレイが採用されています。
裏面は光沢感のあるプラスチックとなっています。個人的にはこの塗装感の方が高級感があるので好きですね。最新のBiotrackerセンサーが並びます。充電方法は引き続きマグネットの接点式となっています。
今回はブラックカラーを提供頂きましたが、ベルトの質感がこれまでのGTSシリーズよりも大分良くなっています。過去のシリーズだと軽量さを優先し、軽量なシリコンバンドが採用されていましたが、正直価格に釣り合わない質感でした。そもそも本体が軽量なので余計にチープに感じましたね。
今回はやや厚手で固めの材質になっており、表面もコーティングが施されており質感が良いです。やはり時計の質感を左右するのはバンドですね。尾錠も内側に巻き込むタイプで邪魔になりません。
ただ、質感が上がったのは良いとしてやや硬さを感じますね。芯の方が硬い?印象でフルオロエラストマーの柔らかさがあまりありません。なので着脱の際はちょっとやり辛いなと感じました。
着用した感じはこんな感じです。デカすぎず大きすぎずで丁度良いサイズ感だと思います。やはりちょっとバンドが固めに感じますね。内側に巻き込むタイプなので余計に感じるのかも。
デザインは本当にシックでスマートな印象で、GTR4がどちらかというとゴテゴテしたデザインなのでそれと良い対比になっていると思います。様々な年齢、性別に受け入れられるデザインでしょう。
一点デザインで大きく気になるのが、ワンポイントであるクラウンで、腕を曲げたりした時に高い確率で当たります。例えば自転車などを運転している時にやや前のめりに重心がなるとクラウンに当たってしまいます。クラウンの長押しは電源操作になるのでやや鬱陶しいです。ロードバイクなどで、前傾姿勢になると当たりやすいかもしれませんね。
これは私の腕だからなのかは分かりませんが、比較的手首周りが華奢な私でもそうなります。太めの人ならば結構なるんじゃないかな?と思います。
ウォッチフェイス
ウォッチフェイスを見ていきましょう。ウォッチフェイスは比較的数の大い150種類となっています。GTR4が200種類ほどあったため、その辺はGTR4の方が優遇されていますね。150種類でも数は多いですが、これまでのGTSシリーズの物も多く、新作のフェイスはそこまで数が多くありません。せっかくのスクエアデザインなのだからもう少し力を入れて欲しかったなと感じますね。
機能のアウトライン
Amazfit GTS4 はブランド内でもメインストリームに位置するため、機能性としてはGTR4と差はありません。簡単にまとめると以下の機能に対応しています。
ヘルスケア | 心拍・ストレス・睡眠・SpO2自動測定 |
GPS | ○ 対応 ルートインポート対応 |
BT通話 | ○ 対応 |
音楽ストレージ | ○ 対応 |
音声アシスト | ○ アレクサ対応 |
独自アプリ追加 | ○ 対応 |
LINE・通話着信 返信 | ○ Androidのみ対応 |
他にも細かくチェックしていけばもっと書き出せるのですが、細分化されすぎるので大まかなものだけピックアップしています。見た目はシンプルなんですが、これだけの機能が詰め込まれています。
ワークアウト Adidas ランニングとの連携も
ワークアウトについてまずご紹介したいのが、Zeppアプリとデータを共有出来るアプリにAdidas Runningが追加されました。これまでもGoogle Fltや、Stravaと連携出来る事が強みでありましたが、アディダスと連携が可能になったのはグローバル展開の強みでしょう。
ランニング関連では使用者の多いアディダスランニングと連携が可能になった事でよりワークアウトに重視したスマートウォッチとなるでしょう。
アディダスランニングとの連携は、Zepp、adidas双方から可能です。adidasランニングアプリ側で、接続するスマートウォッチにZeppを指定出来るようになっていました。
話がちょっとズレますが、Amazfitはグローバル展開においては他のスマートウォッチメーカーよりも一歩抜きん出ているように感じますね。XiaomiやHuaweiといったウェアラブルブランドは、基本的には中国でのサービス展開がベースとしてあり、それをグローバルに展開しているわけですがAmazfitのように最初からグローバル展開をベースに開発やブランディングを行った結果、アディダスのような世界的なブランドと連携も可能になったのかな?と思います。
後述しますが、Amazfitはソフトウェア側で他と差別化を行おうとしているんだろうなというのがよく分かる事例です。
GPS測位がやたら早い
いつものように、高い建物が多いルートにてウォーキングで検証してみました。まず、一番に感じたのが、GPSの即位がやたら早かった事。大体のスマートウォッチは、ワークアウトを洗濯後、10秒ほどインターバルが発生しますがAmazfit GTS4の場合は、選択後すぐにGPSを掴んでいました。たまたま好条件が重なったのかもしれませんが、初代シリーズより、なぜか、GTSシリーズの方がGPS性能が良いという謎のお約束があったりもします。
ルートバック機能搭載
TREX Pro シリーズより追加されたルートバック機能がGTR4/GTS4 双方で対応しています。これはOTAで追加された機能で、確かGTR4をレビューしたタイミングでは未実装でした。その後しっかりと対応したようですね。ワークアウト中に自分のルートをスマートウォッチ上でプロットが可能で、折返し地点よりルートバックを選択すると来た道を戻るルートが描画されます。ルートから外れた場合のアラートなども対応しています。
また、ルートの保存とエクスポートもOTAで対応しましたね。ルートバック時に保存したルートを呼び出して使うといった事も可能です。
過去のデータと比較し、GPSのプロットはTRex2 / GTS4 / GTR4 の順で優れているようです。GTR4もシリーズとしてはかなり改善したんですが、それでもやはり何故かGTSシリーズと差があるんですよね…。
バッテリー性能について
GTS4は300mAhのバッテリーを搭載しており、GTR4の475mAhと比較してややミニマムになっています。以下簡単にまとめるとおおよそ倍ぐらいの差があると公式ではうたっています。
GTS4 | GTR4 | |
ハードユース | 4日間 | 7日間 |
通常仕様 | 8日間 | 14日間 |
ただ、ZeppOS2.0になってから機能の取捨選択を細かく設定できるため、正直この公称値はあてにならないです。私が今回GTS4を検証するにあたっての設定は以下の通り。
参考
- AOD無し 画面輝度自動
- リストウェイクアップ有効 感度高い
- 心拍モニタ 10分感覚
- 睡眠モニタ 有効
- 呼吸モニタ 有効
- ストレスモニタ 有効
- SpO2モニタ 有効
以上の環境で使用しました。使用条件としては通常使用の環境に近いです。この場合、5日経過した時点でバッテリー残量は60%、8日経過した時点でも45%残っていました。公称値よりも大分長く利用できますね。
もちろん、ワークアウトや通話等の機能を使えば消費は激しくなっていくため、多様的な使い方を考えている人はハードユース4日という数値を参考にしましょう。
ミニアプリがかなり充実してきた
昨年はHuawei や Xiaomiといった独自OS系スマートウォッチが独自のアプリストアで拡張性を高めた事がポイントでした。
一方で、やはりWearOSと違い圧倒的に開発者が少なすぎるためかこういった独自アプリストアについては正直、各社持て余しているのが現状です。そういった状況はZepp OSも同様だったわけですが、ここに来て急にZeppOSはアプリの拡張に力を入れてきました。
現時点でミニアプリの数は100を超えています。いつの間にこんなに充実したんでしょうか?おそらく独自OS系のアプリストアとしては、Huawei、Xiaomiを抑えてぶっちぎりで充実しているでしょう。この点に関しては、グローバル展開を重視しているかどうかの差だと思います。
ポイント
アプリに関しては、Zepp謹製のモノが多いため、ユーザーによるアプリ開発が盛んなわけではありませんが公式ゆえにアプリのクオリティがとても高く、ニッチながらも需要のありそうなアプリも多くあります。
現時点のアプリストアの充実度も含めるならば、独自OS系ではもっとも多機能なスマートウォッチなのがAmazfitでは無いですかね?
いくつか気になったアプリを紹介します。
ストレッチアプリ
デスクワークなどで凝り固まった体をストレッチできるアプリです。画面の指示にある通りの運動を時間と回数分行います。普段私は完全にデスクワーカーなのでこういったアプリはかなりありがたいです。実際に時間をかけてしっかりやることで大分体調が変わってくるので、ヘルスケア重視ならではのアプリです。
ビジネスカードアプリ
アプリにて事前に名前やアドレスなどをQRコードとして登録する事が出来ます。さっと名刺代わりに使えるので、実際のイベントなどでURLを提示する必要がある場合など色々活用の幅がありそうです。
ユニットコンバーター
数字の単位を変換してくれるアプリです。例えばデータ量などを基準となる単位に数値を入れると、他の単位でいくらになるかを計算してくれます。
GTS4とGTR4 結局どちらがいいのか?
GTS4とGTR4どちらを買うのがいいか?というのはとても悩ましいです。機能性はほぼ同じで、形が四角か丸形かの違いぐらいしかありません。正直な事を言うと、GTR4のほうがデザイン的満足感は高いと思います。クラシックテイストに寄せたお陰で単純に見栄えが良いです。
一方で、Amazfit本来のイズムを感じるのはGTS4だと言えるでしょう。軽量で、シンプルで、スマートで。これこそがAmazfitが求める良さなんだと思います。
「考え抜かれた削ぎ落とされたシンプルさ」を選ぶ
という事なのかな?とちょっと深くかんがえてみたり。まぁシンプルにGTR4だとゴテゴテしているという層もいるでしょうね。
GTS4とGTR4についてはどちらが勝っているという点がほとんど無いため、自分のライフスタイルや好みで選んで良いと思います。
ソフトウェアで一歩抜きん出たAmazift
今回のGTS・GTR4シリーズよりソフトウェア側の強化が本当に拡充されたと感じます。ソフトウェア面で言うならば、HuaweiやXiaomiのウェアラブルを超えているでしょう。それら2つが中国のサービスをベースとしている一方、Amazfitは当初よりグローバル展開がベースとしているため競合になるのが、GarminやFitbitといったブランドを強く意識しているといえるでしょう。
それらスポーツウェアラブルを愛用している層を取り込むのがAmazfitの当面の戦略なのかな?と今回触れていて感じたところです。
現状GarminやFitbit製品はAmazfit製品よりも高額ですが、それよりも低価格でありながら多機能化を果たしています。まだAmazfit製品を触れた事が無いウェアラブルユーザーにこそ触れてほしいと感じますね。