今回はHuawei Watch GT Cyberを入手したのでレビューしたいと思います。
マニアックなスマートウォッチファンなら、すでにチェックずみだと思いますが、Huaweiが放った世にも珍しい着せ替えスマートウォッチです。
スマートウォッチと言えばウォッチバンドを自分好みにカスタマイズすることが多いですが、今回のHuawei Watch GT Cyberは、バンドどころか、アウターケースごと変えてしまう事ができます。
ポイント
ケースごと変えることで基本モジュールはそのままで外観をラクジュアリー、スポーツ、アウトドア、レディース向けとまったく異なったデザイン、テイストに変える事が出来る異色のスマートウォッチです。
今回は実際に中国版を入手し、しばらく使ってみた感想をお届けしたいと思います。
Huawei Watch GT Cyberデザインチェック
まずはHuawei Watch GT Cyberのデザインチェックです。というか今回のレビューのメインはほぼデザインチェックがメインかもしれません。基本的なモジュールは先に発売されたGT3と同等になります。
まず私が今回購入したのは、GT Cyberの中でも一番厳ついデザインのアーバンパイオニアというカラーです。
かなりクセの強いデザインで、中華成金的なブラックとゴールドカラーがインパクトありまくりです。
金属部分はサージカルステンを採用しており質感はとても良いです。四隅には飾りのビス止めがされており、ケースは肉抜きがされています。
何かしらの有名ウォッチをオマージュしたデザインでしょうか?新興系のラグジュアリーブランドなどの時計からインスパイアされたデザインなのかな?と感じました。詳しい方がいれば、このデザインモチーフが何なのかをコメントで教えてください。
ベゼルはカラーの切り替えが入っており、しっかりと高さがあります。
厚みは約10mmとまずまずありますが、これは外装ケースによるところもあります。今回私が購入したアーバンパイオニアというカラーはかなり大型なケースと言えるでしょう。
ベルトはコーティングが施されたラバーです。材質的にはフルオロエラストマーのバンドよりも若干柔らかい印象です。
ベルトはケースと一体化しており変更する事は出来ませんでした。一応ネジで止まっている独自規格のため、今後の展開によってはベルトだけ発売?も望めるのかなという感じですね。
サイドは回転操作に対応した、リューズボタンがつきます。他のGT3シリーズと違いワンボタン仕様になっています。ちなみに、このリューズは先端のみ専用工具で外す事が出来ます。
現状発売されているケースでは外さなくても付け替え出来ますが、今後の展開を考えてつけられたギミックかもしれません。
バックケースは光沢感のあるプラスチックとなっています。みた感じ、GT3無印と共通だと思います。また、しっかりとワイヤレス充電器にも対応しています。
本体重量は約78gです。全体的にステンレスが使われていますが、そこまで重いと感じず取り回しはいいなと感じますね。
黒金という悪羅悪羅カラーではありますが、独特の雰囲気があってカッコいいです。FOSSILやディーゼルといったファッションブランドのスマートウォッチではこういった派手なデザインはありましたが、Huaweiなどテック系企業の出すプロダクトとしてはかなり奇抜な存在だなと感じますね。
肝心の着せ替えギミックについて見ていきましょう。モジュールの着脱は簡単で、押し出すだけです。そこそこ力がいるのと、画面を押すのでちょっと割れそうで怖いです。
中国本国の記事等では、「スマートムーブメント」という新しい言葉で紹介されていましたね。アナログ時計のムーブメントとウェアラブルのスマートという事でしょうか?
なかなかおもしろいネーミングだなと思いますね。モジュールをケースから外すと懐中時計のような見た目になります。ふと思いましたがナースウォッチのようなケースが出ても面白いですね。モジュール自体もステンレスケースが使われています。
装着する際も、ケースにギュッと押し込むだけです。ケースとモジュール双方が金属素材なんで傷が怖いんですが、そこは大丈夫なように設計されています。
ケース内側の四隅にはバンパーのようなシリコン素材が付いています。そのおかげで直接金属が触れ合うことはありません。パチっとハマるので外れる心配も無さそうです。四隅には何かしらのセンサーが埋め込まれているようで、装着時には、画面にエフェクトが発生します。
ホントは他のデザインのケースも試したい所なんですが、残念ながら私が購入するタイミングでは日本から購入が出来なかったです。今現在はジンドンにて普通に購入可能ですね。なので公式の画像を見ながら話したいと思います。
文字通り着せ替えとなっており、ケースが違うだけでガラッと印象が変わりますね。ラバーケースは懐かしのHonor Watch GS Proの系譜を引き継いでいるようにも感じますね。
また、ケース直径が一回り小さなケースも存在します。コチラは同じくラバーですが、ベゼルが金属材質となっており、比較的女性向けだったり、ラグジュアリーベクトルのケースとなっていますね。
それぞれケースは、私のアーバンパイオニアが日本円で8000円程、その他は4000円ほどといった価格設定です。比較的安価なため買いやすく、ガラッと印象を変えられるので本当に面白いプロダクトだなと感じますね。
また、すでにHuawei公式のケース意外に、サードパーティ製のカスタムケースが出回っているようですね。流石中国なのでこういったのはすこぶる動きが早いですw
今のところ、パネライを模したケースやオリジナルのデザインのものなどを確認しました。まだまだ数は少ないですが、今後、高級時計のパロディケースがあふれかえるんだろうな〜と思います。
ウォッチフェイス
ウォッチフェイスを見ていきましょう。ウォッチフェイスの方は意外な事にGT Cyber専用のものはそこまで多くなく、過去のGT3シリーズのものなどがダウンロード可能でした。
フリーのフェイスが落とせないバグ?中国版アカウントで解決
当初は日本国内のHuaweiアカウントで利用をしていました。中国版ながら最初から日本語が入っていますし、日本のアカウントであっても普通にペアリングする事が出来ました。その後も至って普通に使えていたんですが、一点だけ不具合を見つけました。
アプリの画面ではフリーの特集ページがあるんですが、何故か今回のGT Cyberをペアリングしていると、フリーの特殊ページを表示させる事が出来ませんでした。一応、検索窓からfreeなど入力すれざタグ付けされているフリーのフェイスはダウンロード可能なんですが、この方法だと一番品質の良い、Huawei 公式のフリーフェイスがダウンロード出来ないんですよね。元々収録されているフェイスデザインが少ないのもあって、これは致命的です。
注意ポイント
回避策としては、別途リージョン設定を中国にしたHuaweiアカウントでログインする事で無事フリーの特集ページが表示されました。中国リージョンであっても、普通にアプリと時計操法で日本語は使えるので、特に問題は無いかと思います。このHuawei Watch GT Cyberに突撃購入するマニアックな方はこういったリージョン違いの差異には慣れているとは思いますが、注意したいポイントですね。
テーマ機能
Huawei Watch GT Cyberはスマートウォッチながら、テーマ機能もあります。なんでそんな機能があるのか?と思いましたが、着せ替えスマートウォッチでしたね。
外観だけでなく、UI周りもしっかり変えられるようになっているんですね。無駄なこだわりこそが高品質の証だと私は思います。
テーマを切り替えると、アイコンとウォッチフェイスが切り替わります。前述したように、ケースによってラグジュアリー、スポーツ、カジュアルと雰囲気が変わるため、それに合わせたデザインになります。
テーマといっても基本的にはアイコンが変わる程度ではありますが、それでも印象は大分変わりますね。アイコンのデザインはEMUIのテーマでも使われていたデザインが流用されており、元Huawei信者だった私としてはちょっと震えましたね。遊び心が効いており良いです。
Light OS版 HarmonyOS 3.0採用
内部OSはその他のGTシリーズ同様にLiteOSをベースとしてHarmonyOSとなっています。なのである程度アニメ効果がオミットされた、サクサク感の強い動作となっています。
ふと思いましたが、Watch3で展開したAndroidをベースとしたHarmonyOSのスマートウォッチは展開しないんですかね?
脱線しますが、andoidベースのHarmonyOSを搭載したWatch3ですが、その後のアプデの中で、かなりバッテリー持ちが改善しており、普通に一週間程度は電池が持ちます。
機能性
機能性については無印のGT3とほとんど同じと言っていいでしょう。一つ見慣れないのは「高地でのモニタリング」という機能です。
これは、2500m以上の高地にいる場合にSpO2測定が通常よりも頻繁に自動測定されるというモードのようですね。登山といったマウンテンスポーツに向けての機能のようですね。
その他、GT3シリーズ同様にルートバック機能もついています。
その他ざっとメインの機能を紹介すると
スピーカーがついているので音楽再生やBT通話も可能です。
ヘルスケア周りも心拍数・SpO2・睡眠・ストレスと一通り対応しています。また、これは中国アカウントでのみ有効に出来ますが、心臓の健康というHuawei公式アプリと連動する事が出来ます。残念ながら中国語のみなのと、別途アクティベートが必要なので残念ながら試す事が出来ませんでした。
また、これも中国アカウント限定のようですが、HuaweiのIoTプラットフォーム 「AI Lifeリンク」との連携も可能なようです。ただ、これに関してはちょっと意味がわからなくて
「熟睡を検知すると、睡眠アシスタントを無効化します」
という説明書きがされていました。残念ながらちょっと意味が良くわからない機能です。
独自のミニアプリ追加も対応していますが、LiteOS版のアプリはまったく数が増えませんね。現時点で実用性があるアプリは少ないです。
バッテリーは比較的おとなしめ
バッテリーついては公式でロングユースで7日、ヘビーユースで4日と比較的おとなしめとなっています。GT3無印やPro版は大体14日程度をうたっていたので、約半分です。
バッテリー容量は非公式ソースでは約290mAhとなっているようで、無印版等が400mAhを超えているので実際に容量は控えめです。
これはおそらくモジュールが取り外せる構造になった事で内部のスペースが限られているためかなと思います。
ヘルスケア機能も、他のGT3と違い、心拍数以外がデフォルトでOFFとなっていました。
すべての機能をONにした状態で使用すると、おおよそ1日あたり10%程度は減っているような感じですね。
ポイント
他のHUAWEIウェアラブルと比較して明確にちょっと減りが早いかな?と体感出来るレベルだと思います。ただ、私の使い方でも7日程度は余裕で持ってくれそうなのでそこまで気にするポイントでも無いのかな?と感じました。
HUAWEI Watch GT Cyber まとめ ウェアラブルの今後を変えそうな重要なプロダクト
ざっとまとめると、ケースに着脱という他のどのメーカーも手を出していないユニークな機構と、これまでのHuawei Watchらしい高い機能性をあわせもつスマートウォッチでした。
ただ、Huawei Watch GT3シリーズと大きく差も無いため機能的な新しさは正直ありませんね。
今回のWatch GT Cyberってわりと大胆な事をしているなと思いました。前述したように機能性については多くのスマートウォッチで差がなくなっている昨今デザインという要素が差別化するポイントになっています。
今回のGT Cyberのようにモジュール化する事でスマートムーブメントとケースをそれぞれ展開するといった事も可能で、これまで無かったマーケティングを作る事が出来ると思います。
その一方で、従来のウェアラブルプロダクトを自ら潰しているような事にはならないのだろうか?とも考えたりします。この売り方をしたら既存のGTシリーズの存在意義って薄くない?とも思ったり。
また、諸々半導体や原材料が高騰している昨今と、進化がすでに行き詰まっているウェアラブルにおいて「新製品」を出す意義が薄くなっているのかも?と深掘りしてみたり。
実際に、GT3 Proは価格がかなり上がっているので、買い控えも起きていると思います。
「高いし、機能性も得に変わっていないなら買い換えなくて良い」
という市場の飽和が起きていると思います。
ポイント
機能性向上が頭打ちになっている状況で「これ以上の進化は必要ない」という割り切りを行う事で、デザインだけを別売りするというかなり市場戦略的にはかなり考えられたプロダクトなのでは?と考察をします。
単純に色物かと思いきや、昨今のウェアラブル界隈の飽和を打破するためのとても重要な試みなのかもしれませんね。
今回のGT Cyberに関してはグローバル展開するかどうかは分かりませんが、世界的にスマートフォンを作れなくなっているHUAWEIにとって、ウェアラブルは重要な商品です。
日本市場においてもウェアラブルがほとんどだと思うので、そういった意味では今後の展開も期待出来るのかな?と思います。