今回はG-SHOCK スマートウォッチこと、G-SQUAD DW-H5600をレビューします。
耐衝撃デジタルウォッチとして、世界的なブランドになったG-SHOCK そんなG-SHOCKにスマートウォッチ的なエッセンスを取り入れたのが今回のDW-H5600シリーズです。おなじみの耐衝撃構造に、心拍、加速度センサーを搭載しヘルスケア機能がプラスされています。
また、新型のMIP液晶は、低消費ながらこれまでよりも解像度が上がり、ラインやメールといった通知を見る事ができるようになりました。
G-SHOCKスマートウォッチはこれまでもWearOSで発売されていましたが、消費電力も大きく使いにくかったんですが、今回はあくまでG-SHOCKをベースとしたスマートウォッチに仕上がっており、G-SHOCKファンが待ち望んでいたスマートウォッチとなっています。
今回は実際に使って感じた良い点と悪い点をしっかりとお伝えしたいと思います。
デザインチェック
まずはデザインを見ていきましょう。デザインのベースはG-SHOCKのオリジンとも言える5000シリーズです。パッと正面から見ると普通のソーラーモデルと変わらないんですが、ユニット部分が分厚くなっています。
今回私が購入したのは、ベゼルがIP処理されたメタル素材になっています。鈍いマットな本体の中でキラリと輝くベゼルが高級感を感じさせますね。
ディスプレイは最近のカシオで採用されているMIP液晶です。かなり解像度が上がっており、バッテリーやBTのマークなど普段のG-SHOCKでは見慣れないアイコンが並びます。
サイドにはそれぞれおなじみのボタンが付いています。押した感じは結構重めですね。メニューボタンのみカッパーカラーになっています。
横から見ると厚みがわかると思います。背面はステンレスバックになっており質感が高いです。
背面は各種ヘルスケアセンサーと、充電用の接点が付いており、まさにスマートウォッチといった見た目になっています。
ベルトラグはワンタッチ式では無く工具が必須です。ちなみに限定モデルでは変えのベゼルとバンドも付属しています。
ベルト自体はこれまで同様のウレタンバンドです。やや固めの素材で、着脱の際は遊環がちょっと引っかかりますね。
手に持った印象としてはベゼルと背面が金属なこともあり、結構質量はありますね。とはいえ基本的にはコンパクトなオリジンシリーズなので軽量です。
実際に着用するとこんな感じです。手首周り18cmです。縦横はやはりコンパクトですが、厚みがそこそこありますね。
ただ、やはりメタルベゼルの輝きと本体の鈍さがラギットなイメージを強く出してくれます。G-SHOCKファンであればこのムダの無いデザイン性に惚れ惚れとするでしょう。カジュアルな服装に合わせたいです。
MIP液晶
G-SHOCKといえばモノクロのSTN液晶というイメージがありますが、最近のプロダクトではMIP液晶を採用するモデルが増えています。
これまでのモノクロ液晶と比較して、解像度が高くなり、より細かく描画ができるようになっています。
MIP液晶とはメモリインピクセル液晶の略で、画面を構成する画素自体にメモリ機能が備わっています。つまり、一度描画を行えばその後は電力を流さずとも画面を保持します。G-SHOCKのようなデジタル表示とはとても相性が良く、非常に省電力に動かす事が出来るようです。
ポイント
ソーラー駆動のG-SHOCKとはとても相性が良いディスプレイです。
「視認性」
視認性については結構好みが分かれると思います。というのも解像度がぐっと上がった関係上、表示がかなり細かくなりました。このサイズながら通知の本文が漢字で読めるぐらいに解像度があるため、たくさんの情報を表示する事が出来る一方で、見づらいとも言えますね。特に高齢者など、目にハンディがあると余計にそれを感じると思います。
本体の右上のボタンはバックライトになってます。マイルドな発光で視認性は良いと思います。
ウォッチフェイスは3種類
ウォッチフェイスは3種類から選ぶ事が出来ます。
一般的なデジタル表示、リアルタイムの心拍数と秒数、統計がグラフ化されるフェイスという内容です。正直数としてはちょっと寂しく、もう少しG-SHOCKらしいデザイン性あふれるものがあっても良かったかな?と思います。
UIと操作感
UIと操作感は、スマートウォッチというよりかは、あくまでG-SHOCKにウェアラブルを付けたと表現した方が良いでしょう。オリジンシリーズおなじみの四隅のボタンで全てを操作します。それぞれ左上からA/B/C/Dと割り振られています。
Aボタンは決定とワークアウト設定になっています。
Bボタンは通知など、その他機能の一覧
Cボタンは戻る、Dボタンはバックライトというような配置になっています。
G-SHOCK伝統的な操作感だとは思いますが、正直、スマートウォッチとして見ればかなり操作性は良くないと思います。
特にこのボタン配置は実際に使ってみると不便だと感じる事が多いです。これが反転に出来れば左腕の位置を入れ替える事無く操作が出来るのに残念ながら反転には対応していません。
時計を装着する腕を設定出来るのに、反転設定には非対応なのはウェアラブルとしてはイマイチな点でしょう。
UIデザインに関しては、解像度の上がった液晶のお陰でアイコンなど見やすく、またG-SHOCKらしいデザイン性でかっこよいと思います。
意外な事に専用アプリのカスタマイズ性が高く細かく設定が出来ます。Bボタンを押した際に標準されるウィジェットの順番は標準を並べかえる事もできます。
バックライトの動作や通知の設定、DNDなど本体で設定する項目のほとんどがアプリから変更することが出来ます。基本的に本体の操作性はあまり良くないので、設定のアレコレはアプリ側で行う事になります。
スマートフォンの通知が見れる
今回一番注目したいのは、やはり通知機能でしょう。G-SHOCKをつけながらスマートフォンの通知を見ることが出来ます。多くのG-SHOCKファンが待ち望んでいた機能でしょう。
ちなみに、G-SHOCKスマートウォッチはすでにWearOSのちゃんとしたスマートウォッチもあります。今回のDW-H5600のポイントは、ベースがWearOSでは無くG-SHOCKだという点です。
「G-SHOCKで通知が見れる」というのは過去にもスマートコネクト対応G-SHOCKなど、盤面で通知が分かるものなどありましたが、いまいちソレじゃない感が強かったんですよね。
ポイント
シンプルに、G-SHOCK上で通知の表示と振動がされる。これが一番のポイントです。
通知はスマートフォンに届いた通知が表示されます。スマートウォッチで良くある、通知するアプリの選択は出来ません。良くも悪くもすべての通知が行われます。
通知は、振動と音で知らせてくれます。画面に通知のアウトラインがウインドウ形式で表示されます。一覧ではタイトル、さらにAボタンで本文を見ることが出来ます。モノクロ液晶ながら解像度が高いためしっかり文字を読む事が出来ますね。
ただ、やはり文字は小さめなので、年配の方などは読み辛いと感じるかもしれませんね。もちろんながら、最近のスマートウォッチの流行りの返信機能はついていません。あくまで表示するだけの機能となっています。
機能性紹介
ストップウォッチ/タイマー/ワールドタイム
G-SHOCKおなじみのストップウォッチ、タイマーはもちろん搭載しています。
タイマーに関しては、アプリ側で時間を設定することができます。
ワールドタイムもアプリでどの国に設定するかを選択できます。
暦機能 日の出/日の入り
日の出/日の入りをみることが出来る暦機能もあります。ちょっと見方がよくわかっていませんが、上についているのはムーンフェーズでしょうか?
バッテリー周り
バッテリーについては、時計部分はこれまで通りのソーラーバッテリーを使い、ヘルスケアなどのスマートウォッチ機能は充電式のバッテリーを搭載しています。
スマートウォッチ側のバッテリーが切れてしまっても、時計自体の表示は出来るのが評価出来るポイントでしょう。スマートウォッチ側のバッテリーはおおよそ1週間程度のバッテリー持ちを歌います。
実際に通して使ってみたんですが、バッテリーの残量が実際いくらなのかがわかりません。ディスプレイ上のメモリで見る限り2日で1.5メモリほど消費しているので、それだと5日程度なんでしょうが、アプリで実際に何%なのかがわかりませんでした。
バッテリーは専用のケーブルで充電をします。このケーブルがまたG-SHOCKらしく、とてもスマートウォッチの充電機とは思えないクリップ式の大型ケーブルです。
正直、単純にポゴピンタイプの接点でもっとコンパクトに出来たでしょうが、その辺はG-SHOCK。世界観も大事です。ブースターケーブルかの如きデザインで、充電している姿すらもG-SHOCKというこだわりを感じますね。
バッテリーは約3時間で満充電となります。正直最近のスマートウォッチの基準で言うならめちゃくちゃ充電が遅いです。早いものだと40分ぐらいで満充電になるスマートウォッチもある中での3時間です。どれだけ長いかがわかると思います。
ヘルスケアで使ってみて
ヘルスケアを見ていきましょう。背面にはヘルスケアセンサーを備えているのが特徴です。また、ヘルスケアアルゴリズムはフィットネストラッカーで有名なPOLARから提供されており、実は本気のフィットネススマートウォッチです。
心拍測定が基本
ベースとなるのは心拍数測定です、その他手動ですが血中酸素濃度や、呼吸トレーニングといった機能が使えます。心拍数は、常時測定かワークアウト中のみかを選択することが出来ます。また、手動で測定することもできます。モードボタンからハートレートモニターを選択すると現在の心拍数が表示されます。
この画面でモードボタンを押すと過去4時間の心拍数のグラフを表示することができます。
SPO2 血中酸素濃度測定
スマートウォッチといえばこの機能というぐらいにおなじみのSpO2です。コロナ禍で流行った機能ではありますが、その他のスポーツ等でも指標となります。モードボタンで選択後、10秒ほど静止した状態で測定をします。
呼吸トレーニング
こちらもスマートウォッチではおなじみの呼吸トレーニングです。時計に表示されるタイミングを元に呼吸を整えましょう。最終的に呼吸の質がどうだったかのリザルトを表示してくれます。
Lifeログ(歩数カウンター)
歩数のログを見ることができます。アプリで設定した目標歩数と実際の歩数と比較した円グラフで確認することができます。モードボタンを押すと、1週間のログもグラフで見ることができます。
Nighty Recharge 睡眠でどれだけ回復したかを知る
睡眠ログを取ることもできます。装着して就寝することで、体が睡眠を取ることでどれだけ回復したかを見るユニークな機能です。スマートウォッチでは人気のボディバッテリーにも似た機能です。前日と比べて比較する必要があるので最低でも2日装着して就寝する必要があります。
ワークアウト機能
本体Aボタンを押すと各種ワークアウトメニューが表示されます。ランニング、ウォーキング、ジムトレーニング、インターバルタイムの4つから選択することが出来ます。
それぞれ取得できるデータに違いがあります。ここで取得したデータをもとにトレーニング解析ではより詳細な情報を見ることが出来ます。アクティビティログでは過去のアクティビティの履歴を見ることが出来ます。
ポラールアルゴリズムによる解析
アクティビティログからより詳細な解析データを見ることが出来ます。解析データにはフィットネストラッカーで有名なポラールのものが使われています。
解析で知る事が出来るデータは以下の通り
- カーディオ負荷 ワークアウトで心配に掛かった負荷
- 消費エネルギー解析 脂肪タンパク質炭水化物の比率を解析
- Vo2Max ランニング時の最大酸素摂取量
- カーディオステータス 過去の負荷情報からの現在のステータス
等の情報を見ることがが出来ます。さすがにポラールアルゴリズムという事で、これまで使ってきたウェアラブルよりもユニークなデータが取れるようです。
各メーカー ワークアウトで様々な差別化を行いますが、本当にフィットネスで必要とされるデータに厳選されているようです。
アップデートはそこそこかかる
ペアリング後、まっさきにアップデートする必要があります。このペアリングが結構時間がかかります。画面には30分ほどかかると表示されます。実際にはそれよりも早いんですが、それでも15分〜20分はかかります。中々画面のプログレスバーも伸びないので失敗してるのかが分かりづらいです。しかも結構な頻度で失敗もします。
注意点 ファクトリーリセットは激長
一点注意点として、ファクトリーリセットが鬼のように長いことをお伝えしたいと思います。
本機を別のスマートフォンに繋ぐ場合は、リセットでは無くサイペアリングで問題ありません。なのでファクトリーリセットは何かしらおかしい場合の最終手段だと思って行いましょう。
そして、ファクトリーリセットは本当に時間がかかります。モノクロの簡素な表示なのですぐ終わるかと思いきや、一時間経過してもまったく終わる気配がありません。その後数時間放置しましたが、リセット表示が戻りません。
「やらかした!ソフトブリックさせてしまった!」と思いました。
その日はそのまま就寝したのですが、その後翌日にやっとこさ初期化が完了していました。いやいやいや、長すぎない?!絶対壊れたと思ったよ!と大分焦りましたね。購入した場合、何かしらファクトリーリセットをする必要がある場合には、本当に長い時間がかかるので気をつけましょう。
DW-H5600 まとめ スマートウォッチとして見るべからず
DW-H5600をまとめていくと、スマートウォッチとして見るとかなり期待を裏切られると思います。その理由は、その操作性の悪さが一番の理由でしょう。
操作するボタンはG-SHOCKとおなじみの四隅に配されたボタンのみで、様々な機能性が付与されたにもかかわらず、これらを全てボタンのみで操作する必要があります。何度も癖で画面をタップ、スワイプをしてしまいましたが、もちろんうんともすんとも言いません。
ボタンも重く、ぐっと押し込む感覚で押す必要があります。装着したままでは押しづらいボタンも有ることから、ハッキリ行って操作感の悪さはスマートウォッチとしては不合格でしょう。
G-SHOCKとして見るべき
ここまではっきり断じてしまうと、イマイチなプロダクトだと思われてしまいそうですが、本機はスマートウォッチとして評価するとそうなりますが、これはG-SHOCKです。
堅牢でソーラーで動き、ヘビーデューティーなタフネスデザイン。この機能性とデザインこそがG-SHOCKなわけです。
ファッションとしてG-SHOCKを身に着けたい日。そんな日は私はウェアラブルを諦めてG-SHOCKを身に着けます。それはG-SHOCKに変わるものがないからです。それ以外に、例えばタフな仕事をしている方。現場の方。そんな方はG-SHOCKで無いと絶対にいけないという人もいるでしょう。
そんなG-SHOCKじゃなきゃいけないという需要に、通知やヘルスケアといった付加価値が付いているという見方をすれば、評価がガラッと変わります。スマートウォッチというものが欲しいのであればAppleWatchやWearOS、その他独自OSウォッチを買い求めるべきでしょう。G-SQUAD DW-H5600はG-SHOCKにスマートさをプラスしたプロダクト。これこそがこのDW-H5600の正しい評価だと言えるでしょう。
最先端のG-SHOCK 刺さる人にはめちゃくちゃ刺さるスマートウォッチ
総評として、スマートウォッチを欲しいという人には向きませんが、G-SHOCKであることの優先度が高い場合は唯一無二な存在と言えるでしょう。私個人的には、G-SHOCKのファッションアイテムとしてのウェイトが大きいため、それにプラスして通知やフィットネスという付加価値が付いているという見方をしています。
G-SHOCKとはやはりブランドだなと改めて感じますね。その証拠にタフネス系スマートウォッチのほとんどは「G-SHOCKのような」という言葉が使われます。私も過去のレビューで何度も口にした言葉です。それぐらいタフネスという領域で意識されるのがG-SHOCKという事でしょう。価格がやや高めに設定されてしまっており、もう5000円安かったら納得だったなとは思いますが、欲しい人はその値段でも買う魅力がG-SHOCKにはあるなと思います。