Xiaomi Watch S1 Proを入手したのでレビューします。
2022年7月のXiaomi発表会にて、Xiaomi MIX Fold2シリーズと同時に発表がされた最新のスマートウォッチです。日本でも発売されているWatch S1のアップデートモデルで、デザインのブラッシュアップとディスプレイの狭額縁化などの変更がされています。
一見、デザインアップデートのみかと思いきや、体温測定などの新機能や、ベースとなる内部OSの動作感も格段にアップデートが入っており、その使い心地はまったくもって別製品といっていいでしょう。
より一層洗練されたスタイルになったXiaomi Watch S1 Proを実際に使ってみて感じた点をレビューしていきたいと思います。
Xiaomi Watch S1 Proのポイント
ざっとXiaomi Watch S1 Proをまとめると、前作同様にサファイアガラスとステンレスケースを使用した高級感のある路線はそのままに、よりデザインが洗練され大人っぽくなりました。また、回転操作に対応したビッククラウンを採用しています。
見た目的なアップデートが大きいんですが、実は内部OSが新世代のものにアップデートされており、無印版とPro版では動作感がまったく違います。
前作までは他メーカーのスマートウォッチと比較してもっさり感や簡素感を感じるOSでしたが、今回から細かい部分でアニメーション効果が強化されており、動作感もヌルヌル感がかなり上がっています。
また、最近のスマートウォッチで実はもっとも重要だと思われるのが急速充電の有無について。これがあるとないとでは、ウェアラブルの使い勝手が大分変わる実は重要な要素です。
メモ
- 耐摩耗性が高いサファイアガラス
- 上品になったステンケース
- 回転操作対応のビッククラウン
- 内部OSが新世代でヌルヌル化
- 急速充電対応
Xiaomi Watch S1 Pro デザインチェック
Xiaomi Watch S1 Proのデザインを見ていきましょう。
デザインに関して真っ先に感じるのは、より洗練されて大人っぽくて上品な印象になったなという点です。ボックスから取り出す瞬間から高級スマートウォッチらしい適度な重量と質感の高さからテンションがあがります。
前作同様にサファイアガラス+ステンケースというマテリアルが使われていますがステンレスケースが前作のポリッシュメタルより、ヘアライン仕上げに変更になった事でぐっと上品さがアップしました。
並べるとデザインの方向性はだいぶ変わりました。前作も高級感があるんですが、ポリッシュなのが結構好みが分かれるところで、安っぽいという意見もちらほら。実際の質感は前作もぜんぜん悪くないんですが、並べて見るとやはりWatch S1 Proのほうが洗練された印象を持ちます。
デザイン上の大きなトピックは回転操作に対応したビッククラウンを搭載した点でしょう。Huawei WatchやAmazfitシリーズのように2時位置に配されています。
クラウンも凝った処理がされており、ピラミッド型のパターンと、ボタン中央がわずかにくぼんでいます。エレガントながらもやや無骨さもある文字通りワンポイントとなっています。
サイドケースはツヤ感の少ないヘアラインになっており落ち着いた印象になりました。また、今回は下ボタンはケースに一体型で、目立たくなりました。形状的に他メーカーのECGセンサーに似ていたので、まさかECGが搭載か?!と思いましたがただのボタンのようです。
ディスプレイも大型化しています。前作が1.43インチだったのに対してPro版では1.47インチとわずかではありますが大型化しています。ただ、実際の眼でみると数字以上に表示が広くなったように感じます。
ディスプレイサイズというより、狭額縁化された事でそう感じるのかもしれませんね。前作はケースの形状もありますが、ベゼルが太く見えるんですが、Pro版は全体的にスッキリとしているので、余計にディスプレイが大きく見えるのかもしれません。
ちなみにもちろんサファイアガラスを採用しています。
最近のスマートウォッチでハイエンドラインはサファイアガラスかどうかも判断基準として大きいですね。
背面の材質も地味にアップデートされています。まず、センサー部分も前作がプラスチックオンリーだったのに対して、サファイアガラスが使われています。意外とセンサー部分は傷が付きやすいのでこれは良いアップデートです。
また、背面がセラミック風の塗装が行われています。要はプラスチックではあるんですが、通常のプラよりも質感が良く、一見ステンのようにも感じなくないぐらいには質感が良いです。
充電も前作同様にワイヤレスチャージャーになります。ただ、本体形状がだいぶ変わったため互換性がありませんね。また、前作がセパレートタイプのチャージャーだったのに対して、今回はケーブル一体型になってしまいました。個人的にコレは微妙な変更点ですね。
今回私はブラックカラーを購入しましたが、ブラックカラーのみベルトがフルオロエラスマーバンドになっています。その他のカラーはレザーストラップなんですが、前作のレザーストラップがかなり微妙だったため、あえてフルオロエラスマーのラバーをチョイスしました。
質感重視ならば、この選択が正解かもしれませんね。しっとり感の強い高品質なバンドだと思います。またラグ部分が直線ではなく、本体形状に添って緩やかにカーブしているので、ケースと一体感があります。細かいんですがこの辺も上品なポイントです。
ストラップ背面はパターンが入っています。また、尾錠は内側に巻き込むタイプのものになっています。
実際に着用するとこんな感じです。普段あまりブラックカラーの時計は選択しないんですが、今回は正解だったと思っています。ディスプレイが大型化したり、デザインが洗練されたのでよりスマートに感じます。
より大人っぽい雰囲気を醸し出していて、上品さに磨きがかかっています。
ウォッチフェイスはカスタマイズ性が上がったものが多数追加
前作はクラシックテイストのウォッチフェイスが多数収録されていたんですが、今回もその路線は継続しています。
また、意外と新規追加が少ないな?とおもいきや、背景や表示ウィジェットをカスタマイズ出来るフェイスが多く追加されているため、実際にはフェイスが充実しています。
前作で寂しかったモーションフェイスも種類が増えていますね。MIUIのデフォルトのライブウォールペーパーを模したアニメーションフェイスもダウンロード可能です。
もちろんながらAODも対応しています。フェイスごとのパターンおよび、AODスケジューラーも対応しているので、目的の時間帯のみAODを使う事もできます。
屋外での視認性
今回、ディスプレイ輝度は標準で600nitとなっています。ピーク輝度とは違う事は注意が必要で、まぁ最近の上位グレードのスマートウォッチでは標準的な値だと思います。
ただ、サファイアガラスだと光の反射が結構強いのは引き続きで、角度を変えると結構反射するので、屋外での視認性はイマイチだったりします。
新世代OSでヌルヌル感とリッチさが向上!
無印版とPro版の違いで大きいのは内部OSによる動作感の差でしょう。この部分に関しては特に公式でも触れられていなかった部分で、しかもスペックシート上はどちらもMIUI Watch 1.0という同じバージョンという事になっています。
ただ、実際に触った感じとしてはベースとなるUI構成はほぼ同じものの、動作感はだいぶ差がありほぼ別物と言っていいでしょう。
細かい部分でアニメーション効果がリッチになっており、ヌルヌルした操作感になっています。
Xiaomi Watch S1 Pro
新OSがどーって昼にあったけど、やっぱサイレントアプデしてるんでは?どう見ても同じでは無いと思う。
ただし、新OSっていう扱いなのかは分からない。でもただのデザイン違いっていうレベルでは無い。ヌルヌル度がダンチ。 pic.twitter.com/phoRyd55S2— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) August 18, 2022
例えば、グリッドメニュー。明らかにスルスル感と滑らかさが上がっていると思います。おそらくアニメーションのフレームレートが上がっているんじゃないかな?と感じます。無印版自体も、特に動作感が悪いということではありませんが、それ以上にPro版の滑らかさが上がっているという事ですね。
Xiaomi Watch S1 Pro 細かいところでアニメーション効果が効いている pic.twitter.com/dFzvMzgHGa
— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) August 25, 2022
初期ペアリング時や、ヘルスケアの目標値達成時などのアニメーションがやけに豪華です。細かいところでいうとワークアウトメニューのアイコンが賑やかに動いていますね。
デジタルリューズもぬるぬる pic.twitter.com/MYfDrbe8GO
— ZAKI LABOガジェットレビュー (@ozakizaki1) August 25, 2022
回転リューズによる操作もなめらかです。小刻みにバイブレーションでフィードバックが入ります。ぱっと見で伝わるかが不明ですが、明らかに使い心地は結構差があります。
無印版がわりといっぱいいっぱいな動作感をしているのに対して、Pro版のUIはかなり余裕がある感じなんです。完全に私の憶測でしかありませんが、アップデートの伸び代がかなりあるように感じます。
バッテリー性能 急速充電に対応
バッテリー持ちについて見ていきましょう。Xiaomi Watch S1 Proは前作の470mAhより大容量の500mAhを搭載しています。
標準14日、ヘビーユース10日、AOD有効で5日というのが公式のデータです。
14日の条件としては
メモ
- 終日の血中酸素検出
- 終日の圧力モニタリング
- 高精度の睡眠モニタリング
これらの3つをOFFにする必要があるようですね。
私が今回使用した環境では、これらも諸々ONにした状態で使っています。条件としてはヘビーユースに近い状態だと思います。
その結果、消費としては1日あたり12~15%ほどは消費をしていきます。3日間使った場合の残量は53%と結構消費をしますね。
ポイント
前作でも常時SpO2と高精度の睡眠モニタリングをONにすると電池持ちは悪かったので、バッテリー持ちを気にする人はこの辺はOFF推奨です!
急速充電対応
昨今のスマートウォッチ界隈においては、バッテリーがどれだけ持つか?という事より急速充電に対応しているかどうかのほうが大事だったりします。
スマートウォッチの高性能化・多機能化すればするほど、バッテリー持ちとトレードオフになるわけですが、その弱点を補うのが急速充電なわけです。
Xiaomi Watch S1 Proの急速充電では約10分の充電で2日ぶんの動作容量を確保します。
朝起きた段階の充電で事足りてしまうわけですね。100%までは約80分ほどで満充電となるようです。まぁそうそう0%まで減らしてから充電はしないと思うので、急速充電があればバッテリー持ちはほぼ気にしなくて良いんじゃないかな?と私は思います。
注意ポイント
ちなみに、急速充電を使うためには、充電アダプターがQC3.0に対応している事も条件となるのは注意が必要です。
新機能 体温測定とボイスレコーダー
デザインとベースOS意外はわりと前作と大きく機能追加は無いんですが、新機能としては体温測定とボイスレコーダーが追加になりました。
体温測定(皮膚温度)
体温測定については皮膚上の温度を計測するものです。正直、皮膚温度計測っていったい何の需要なんだろう?と思ったりもします。
Xixomi Watch S1 Proの皮膚温度は、即時測定ではなく、10分間のキャリブレーションが必要です。そのおかげかわかりませんが、比較的体温計と図る温度と近いようです。
とはいえ、あくまで皮膚温度なんで外気にめちゃくちゃ左右されるため、やはりヘルスケア機能としては一体どこに需要があるのかは分かりません。
ボイスレコーダー
ボイスレコーダーはスマートウォッチをレビューすると結構な確率で質問が来る機能です。
単純にボイスメモだったり、何か色々コンプラ的な世の中になってきたんでそういった需要もあるのかな…とか思ったり…。
そんな邪推は置いといて、新機能のボイスレコーダーなんですが何故か現時点で録音を推しても保存されないバグ?が発生しています。録音ボタンを推しても動いている気配がありません。一応データは残るんですが、空データです。
注意ポイント
色々調べてみましたが原因がわからず。現時点ではバグの可能性が高いです。
Bluetooth通話可能・SOS機能も
アドレス帳が追加になり時計からかけることが出来るようになった
無印版とその兄弟機のアクティブ版では、電話に出る事は出来ても、時計側から特定の人に電話を発信する機能はありませんでした。前作は他のスマートウォッチと比較して電話周りの機能がかなり中途半端だったんですが今回Pro版では、アドレス帳機能が追加になったため、時計側から特定のひとに電話をかける事が出来るようになりました。
ポイント
アドレス帳は、管理アプリより設定可能で任意の連絡先をスマートウォッチ側に登録することができます。
スピーカーも搭載しているので時計側で通話が可能です。
SOS機能も引き続き対応
前作同様にSOS発信にも対応しています。本体の下ボタンを3回プッシュすると、予め設定しておいた連絡先へと自動で電話をかける事が出来ます。もちろんスマホ側とのBluetooth接続は必須です。またアップルウォッチなどの高級機についている転倒を検知するSOSではなく、あくまでボタンを3回プッシュする必要がありますね。
相変わらず寂しい追加アプリ
追加アプリに対応してるのは良いんですが、中々追加されませんね。まず、グローバル版でアプリが少ないのは分かるとして、本国の中国版でもこのアプリの少なさはかなり寂しい印象です。
使えるものといえば電卓ぐらいのもので、後は中国国内向けサービスがほとんどなので、日本で使うぶんにはあまり恩恵を感じないと思います。中々開発者コミュニティが育ってない印象を受けますが、海外のファンユーザーが作成したMod版アプリでは、本体には未実装の、音楽ストレージ機能を自作する猛者などもいるようです。
この辺が公式アプリストアで展開されればまた評価はガラッと変わるんだけどなぁと思います。
ワークアウト
地図が現時点では日本非対応!
ウォーキングのGPS精度を確認したかったんですが、ここで問題が発生しました。今回のXiaomi Watch S1 Proをスマホとペアリングする際、アプリとなるMiFitnessの中国版の最新版を求められます。
注意ポイント
グローバルで配信されているMiFitnessアプリがまだS1 Proに非対応のためです。
で、この中国版Mifinessアプリは、内部の地図がGoogleマップ以外を参照しているようで、ワークアウトでルートを表示する際に、詳細なマップを出すことが出来ませんでした。
MiFitnessアプリはしばらくしてからグローバルに対応したVerが出るので、そちらでは内部マップがGoogleになっているはずですが、中国版限定らしい挙動になってしまいました。
一応、ルートの奇跡は確認する事が出来て、過去と同じルートを歩いているので、見た感じ精度は上位に入る軌跡になっているなとは思うのですが、いかんせん正しくは評価が難しい状態です。
母艦アプリがまだグロ版がない点
基本的に母艦アプリであるMifitnessはしばらくしてからグローバル版を表すiがついたバージョンがリリースされます。
注意ポイント
現時点では中国版しか存在せず、もろもろリージョンによって機能制限がされているので、その関係でバグなどがあります。
以下は現時点で起きる不具合です。おそらくグローバル版アプリで改善するとは思いますが現時点で購入を検討している人に向けて残しておきます。
時刻合わせが上手くいかない件
時計の時間設定は、母艦となるスマートフォンの時間設定に依存しているようなのですが、何故か日本だと時刻がズレてしまいます。
確認したところ、端末側の時間を国名で指定していると、時計側に設定がないためか、デフォルトの中国国内のタイムゾーンを設定しているようですね。
メモ
これを回避するには、端末側の時間設定をGMT+9時間の方法で設定すれば正しく設定されます。一度設定されれば、以降はスマホ側の時間設定を国名指定に戻しても問題ありません。
似たような症状は、Xiaomi Smart Band 7 Proでも起きており、こちらは表示言語が中国語になってしまうというものでした。
天気も同期が出来ない。
天気を同期するためにアプリで、日本を選択するとその後アプリ自体が落ちます。
基本的にリージョンなどで判別し、設定が存在しない場合はデフォルトである中国の設定になってしまうという感じですかね?
このS1 Pro版を現時点で購入する人は、ある程度マニアックだと思うのでこういった設定は慣れてると思いますが注意が必要ですね。
Xiaomi Watch S1 Pro 良い点・イマイチな点
良い点
なんと言ってもデザインがブラッシュアップされ、より上品になったのは大きいです。これまでのXiaomi ウェアラブルの高級路線とは違った大人な雰囲気が強くなりましたね。
また、内部OSの動作感が劇的に向上しているのも注目すべき点で、おそらく今後のウェアラブル、スマートホームなどの核となるようなモノになるのではないでしょうか?
機能的な追加は限定的だったものの、実際に触れてみるとまだまだ動作に余裕を感じます。
これまでのXiaomiウェアラブルはあくまでライトでコストパフォーマンスに全ブリしたようなプロダクトが多かったため、他のメーカーの高級ウェアラブルと張り合えるOSを持ったことがターニングポイントになるのでは思います。
イマイチな点
デザインとUI以外は進化を感じづらかったです。OSのヌルヌル感こそ素晴らしいものの、実際に追加になった機能はボイスレコーダーと皮膚温度のみです。
デザインがリニューアルしたとて、わざわざかいかえる程のインパクトがPro版にはありません。無印版以上のポテンシャルは持っていそうなのに、実際には特に目新しい機能も無いブラッシュアップ版という域は超えません。
また、おそらく今回のはS1 Proは中国国内限定でグローバル版は出ないんじゃないかな?という所です。現時点でグローバル版の噂は聞かないため、期待薄だと思います。ただ、過去にはS1は出さなそうな雰囲気ビンビンでしたが、意表を突きグローバル版、日本版が展開されました。もしかしたらワンチャン…?!と思いたい所ですが、まぁ無いかなと。
まとめると、今回のXiaomi Watch S1 Proに関して言えば完全にファンアイテムで、これを買うのは大分マニアックな方かなと思います。ただ、明らかに無印版よりも動作感が向上しており、見た目も抜群に良いため良いなと思ってる方は凸っても満足感は裏切らないと思います。
次の世代のxiaomi ウェアラブルのブリッジになるようなプロダクトで、今後の展開が期待出来るんじゃないかなと感じました。