今回は格安端末でおなじみのBlackviewからまさかの折りたたみスマホ Blackview HERO 10をレビューします。
まさか中華格安ブランドからフリップスマホが出るとは誰も思っていなかったので、界隈からはとても驚かれたスマートフォンです。有名メーカーのフリップスマホが軽く10万を超える中で、5万円台という価格で出しているのもユニークで、さすが中国スマホ界隈はやることが面白いです。
折りたたみ機能だけでなく、SOCはローエンド帯で大人気のHelio G99を搭載し、メインカメラには108MPの高画素センサー、さらには背面ディスプレイなどなど、かなり多機能な構成になっており、本当に中華中堅メーカーがこのレベルを作れるようになったのかと驚きます。
今回はしばらく使ってみた感想をお伝えしたいと思います。
提供:Blackview
2024年6月16日よりセールスタート!
Blackview HERO 10 (Aliexpresss)
BlackView Hero 10 本体チェック
本体の方を見ていきます。まず最初に手にとって思うのは、本当に低価格プロダクトなのか?と思うぐらいに質感が良いです。普通にサムスンなどの先行してフリップ端末を出していた一流メーカーと並べる筐体品質だと感じました。
背面はレザー風のテクスチャーになっておりグリップ感のある質感で、最近のハイエンドでよくある、レザー風バックのようで質感が悪くありません、むしろ良いです。
カメラは2眼で、またサブディスプレイもしっかりと搭載しています。
本体フレームは質感的にはアルミニウムが使われていると思います。本体サイドには電源ボタン兼物理指紋認証になるボタンと音量ボタンが並びます。
本体上はマイク、下側にはスピーカーとUSB-C、SIMトレイが並びます。
ヒンジ部分にはBlaciviewのロゴが入ります。
折り曲げ機構はウォータードロップヒンジになっており、コの字の中でやや丸く折りたたむ事で折り目がつきにくくなっています。
ヒンジはかなりしっかりとしており、公式では30度~150度の角度で保持ができるとしていますが、おおよそ120度ぐらいの角度ならばしっかりと保持が出来ます。折りたたむさいは割と勢いがありますがソフトな感じで開閉が出来ます。閉じるときも静かにパフッという感じです。
折りたたみ端末は強度が気になる所ですが、25万回の折りたたみ耐久テストもクリアしているようで耐久性もアピールしています。実際に安っぽい感じは受けず、サムスンなどの一流メーカーにも負けていないと感じます。
ディスプレイは6.9インチとかなり大型で、やはりフリップ端末だと物理的に画面を大きくできますね。実際にはそこまで大きくは感じませんが、やや縦長で頭一つ分長い感じがします。折りたたみ機構のためそこそこベゼルはありますが、幅もきれいに揃えられておりしっかりとしています。
折りたたみ端末の宿か、中央部はやはりややボコっとしています。まぁこの辺はハイエンド帯でも似たような感じですね。
本体厚みは開いたときで約8mmでかなり薄型に感じます。折りたたんでも約16mmになり野暮ったい感じは全然しませんね。
セパレートタイプのハードケースも付属します。シンプルですがハーフマットな感じで質感は悪くありません。内側に両面テープがついており、がっちりハマるというよりソフトに被せる感じですね。
もう少しわがままを言うならば、ヒンジが結構重めなので、開ける際にそこそこ力がいります。なのでケース側に切り欠きがグリップがついていれば120点満点だったかなと思います。
実際に本体のクオリティはかなり高く、サムスンなどの折りたたみスマホとも並ぶクオリティをしていると思います。まさかあのBlackviewからこのクオリティのプロダクトを出す日が来るとは失礼ながら思いませんでした。
Blackview HERO 10 スペック
Blackview HERO 10のスペックを見てきましょう。スペック自体は ローに近いミドルグレードになっています。SOCは最近中華スマホが大好きなMeditaTek Helio G99で、最近の基準ではもうエントリークラスに入りますが、普段遣いレベルでは困らないそこそこなスペックで、価格も抑えられるので人気のSOCですね。
メモリは12GB、初期設定で仮想メモリ10GBも付与されています、ストレージは256GBですがUFS2.2でこの辺はSOC側の制限もありローエンド仕様です。
ディスプレイは6.9インチ有機ELで 解像度は縦2560px 横1080pxのFHD+です。さすがにリフレッシュレートは60hzに抑えられていますね。また、特徴的な背面ディスプレイも有機ELディスプレイです。おそらくスマートウォッチのディスプレイをそのまま流用していると思います。
カメラもユニークでサムスンの廉価版センサーながら108MPの高画素センサーを搭載しています。
OSはAndroid13ベースですが、最近やたらBlackviewはUI周りを強化しており、DokeOS4.0はかなりカスタマイズが入ったUIになっています。
バッテリーは本体の上下でそれぞれ2700mAhと1300mAhにセパレートされており合計4000mAhの容量を確保しています。また独自の45W充電にも対応しています。
デュアルSIMで5Gには非対応ですが、日本の4キャリとも相性が良いバンド構成になっており使いやすいでしょう。
ベースはエントリーグレードではありますが、ところどころはミドル帯にも近い構成となっているのもポイントです。
そして何より折りたたみスマホという一番の特徴を持ちつつ、価格はセールで5.4 万円とフリップタイプとしてはかなり価格が抑えられています。
最近ではZTEなどの中華有名メーカーからも安価なフリップスマホが出ていたりしますが、おそらく格安なフリップタイプとしてはこのBlackview HERO 10が先駆けといえる存在です。
SOC | MeditaTek Helio G99 |
メモリ/ストレージ | 12GB / 256GB (UFS2.2) |
ディスプレイ | 6.9 インチ AMOLED ディスプレイ、解像度 2560*1080 1.19インチ有機ELサブディスプレイ |
カメラ | メイン 108MP (ISOCELL HM6) サブ 8MP超広角 インカメラ 32MP |
OS | Android 13ベース DokeOS 4.0 |
バッテリー | 4000mAh 45W充電 |
対応バンド | デュアルナノSIM B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28A/B28B/38/40/41/B66 |
価格 | セール348ドル(約54000円) |
ディスプレイ性能
ディスプレイは6.9 インチで、縦にやや長く、縦2460px 横1080pxの特殊なサイズです。有機ELの発色と輝度もよくピーク輝度も1300nitと明るいパネルが使われています。リフレッシュレートはさすがに60Hzで固定になっています。
最近ではやっと一般的になってき折りたたみタイプですが、これまでは高級ラインのものがほとんどでした。普及帯に入るためにはやはり低価格帯にフリップタイプが増える必要があったわけですが、まさかBlackviewのような中堅ブランドがまっさきに出してきたことがまず今回の驚きポイントでしょうね。
日本だとNubiaブランドのフリップタイプが発売されていますが、それよりも早く低価格帯で展開したのが今回のHERO 10です。
折りたたみパネルながら、ベゼルもほぼ均一で品質は良いです。折りたたんだときのボコボコ感は折りたたみ端末の宿命ですが、点灯をさせ正面から見ている分にはほとんど気にならないと思います。
ディスプレイは折りたたみらしく上下のセパレートに対応しています。アプリ一覧画面から分割が出来ますが、角度があまり持てないため、ほぼ直角で使う必要がありあまり実用的ではないですね…。
折りたたみとしてまだまだ改善する点はありますが、普通に格安界隈でもこのレベルの有機ELパネルが調達できるようになったんだなと感心します。流石に今回のHERO10のアイデンティティらしく、ディスプレイの品質は高いです。
ただ耐久性に関しては今回の検証では未知数でした。もともと脆いフリップタイプなので丁寧に扱い必要はあるなと感じます。
特徴的なサブディスプレイ
背面には特徴的な円形サブディスプレイを搭載しています。ウォッチフェイス、音楽再生、独自のヘルスアプリの表示、カメラコントロールが使えます。
スマートウォッチのようなウォッチフェイスパターンがいくつか選択する事が出来ます。というかベースはスマートウォッチのパネルをそのまま流用しているんだと思います。ウォッチフェイスの他、テキスト設定や、独自の画像を設定する事も出来ます。
背面ディスプレイ自体にもロックがかかっており、指紋か顔認証で起動が出来ます。メインディスプレイのようにスムーズでは無くワンテンポ遅れて反応する感じですね。顔認証では1秒ほど時間がかかります。
一番使うのは通知機能でしょう。LINEやメッセージなどの通知をサブディスプレイから見ることが出来ます。ただ、メッセージの返信機能やLINE着信の通知は一般的なメッセージと同じ表示になります。通常の通話のみサブディスプレイから応答が可能です。
音楽再生はアプリが限られており、YoutubeMusicは対応していましたが、Youtube自体には非対応で再生中の動画のコントロールは出来ませんでした。その他Spotifyなどが対応していますがかなり限定的です。
カメラコントロールは背面のディスプレイでプレビューしながら撮影が出来ます。閉じた状態でメインカメラをつかって 撮影が出来ます。撮影は画面上のボタンか音量ボタンで行えますが、押したときのシャッター音や、画面の変化がまったくなく撮影をした事がまったくわかりませんが、フォトアプリのほうにはしっかりと画像は残されています。
やや作りが甘いか?
サブディスプレイに関しては正直、作りが甘いというか、本体のメインシステム系統は切り離されており使いにくいです。
たとえば、サブディスプレイ自体に上下の判定は無く固定です。なので持ち方によっては画面が逆さのままになります。
更にいうと、カメラ撮影機能はメインのカメラとはまた別のようで連携がありません。せっかくのフリップ端末なので、画面を半分開いた状態で、プレビューを見ながらセルフィーができれば良いんですが、画面が開いている状態では背面ディスプレイが起動しないため、この使い方が出来ません。
カメラアプリを立ち上げても、背面ディスプレイにミラーリングをする機能も無く、背面ディスプレイをセルフィーで使う事自体がそもそも出来ません。
有名メーカーの端末ではこの辺のシステムとの一体感がしっかりしていますが、言葉を選ばずいうと「撮ってつけた感」が強いサブディスプレイです。もう少しDokeOS4.0の方と一体感のある使い方ができればよかったのになと思います。現時点では、時計の確認と通知確認ぐらいしか使い道が無いとも感じました。
Antutu性能
SOCはエントリーSOC Mediatek Helio G99を搭載します。もう嫌というほどこのSOCの端末をレビューしてきたのでAntutuの性能もわかりきってますが、だいたい40万点前後を出すSOCです。
てっとり早く言うと、普段使いは問題無し、ゲームは無理というようなSOCで、ゲーム用途ではない、動画視聴やブラウジングなどのかるい用途では十分すぎる性能を持ちます。なので中華メーカーがこぞって搭載するド定番SOCになっています。
正直な事を言うと、そろそろこのHelio G99推しを止め、ワンランク上のSOCを採用しないかなと思う所です。どのメーカーもこれを採用するのでスペック的にほとんど差が無いんですよね…。
今回のフリップディスプレイのように、そろそろグレードの高い部材が選定できる頃合いだと思うので、ぜひとも次の世代ではDimensityを採用してほしい所です。
DokeOS4.0の動作感と機能性
Blackviewがほかの中堅メーカーとちがう所は、独自UIにかなり力を入れている点です。Android13をベースにした最新のDokeOS4.0を採用します。 個人的にBlackviewを応援しているのはこのUIの完成度がかなり頑張っている点で、シンプルで普通に使いやすいんです。他の中華格安ブランドと比べると異様に凝っており、もし同価格帯でそれらブランドが並ぶなら、明らかにBlackviewのUI周りを選びます。
シンプルながらカードタイプのウィジェットを並べたりとモダンなデザインになっています。
コントロールセンターのスタイルが選べるのも個人的にはポイントが高いです。
- ダイナミックアイランド
- Youtubeのみ
Youtubeなどの動画を再生してホームに戻ると、なんとiOS風のダイナミックアイランド状態になります。だから何だという感じでもありますが、こういったお遊び要素をUIに加えられるようになっているのは熟れた印象を受けますね。
シンプルではありますが、癖が少なく、それでいて丁寧に作られているのがポイントが高いです。
微妙なスピーカー
スピーカーは受話口と本体下部のデュアルスピーカーになっています。音質的には正直微妙で籠もった印象を受けます。クリアさと迫力にかけ、スピーカーはおまけだと思います。
バッテリー性能と充電速度
バッテリーは4000mAhと、ミドルクラスSOCを搭載するモデルとしては一般的な容量です。折りたたみという制限された機構ながら、デュアルセルバッテリーを搭載する事で解決するなど、モダンな構造になっています。
また、45Wの独自急速充電にも対応しています。さらにはバッテリーのいたわり充電や、最大容量を自分で設定できるなど凝ったマネジメント機能も搭載しているのがポイント高いです。
実際のバッテリー持ちとしては、思ったよりもバッテリー消費は高めの印象です。消費率を見ると、ランチャーアプリが結構消費が大きかったり、FaceUnlockなどのユーティリティも上位に上がるなどUI周りの最適化が若干あまいのかもしれませんね。
とりあえず1日は十分持つと思いますが、エントリーグレードながら消費はそこそこ高めです。
カメラ性能
カメラ性能を見ていきましょう。フリップ機構を活用し、半分閉じた状態で安定して撮影が出来るように、プレビューと操作を上下に分ける事も出来ます。
また、最近のBlackviewではカメラ周りにもワンポイト加える事が多く、今回もサムスンの108MPセンサーを搭載します。このセンサーも廉価グレード向けの高画素センサーではありますが、わざわざ1億画素という付加価値をつけるあたり、Blackviewの本気度が見て取れます。
サブカメラは8MPの超広角でこちらは明確におまけ感がありますが、実際の作例で見ていきましょう。
昼間
まずは明るい朝の撮影です。日が差していたので、これぐらい明るければおそらくほとんどのスマホでキレイに撮れるでしょう。
明るくコントロラストがかなりはっきりしています、正直個人的には好みな写りです。
一方やや曇りがかった場面、もう梅雨が近くなっており、ほとんど晴れ間が見れない日々が続いており、作例としてはややネガティブになりがちです。
コントラストの強さがやや暗めに、さらにはこってり目に調整されるようです。
ハード周りは良いとして今後はソフトウェア周りの調整が課題になってくるでしょうか?
夜景
夜景に関しては正直駄目ですね…。一応ナイトモードで撮ってはいるんですが白飛びの抑えはまったく効かず、光源からのノイズが見たこともないようなレベルで入りました。
カメラまとめ
カメラのまとめとしては、明るい日中の撮影は期待値以上で、思ったよりも108MPモードの解像度感の高さに驚きました。一方、夜景と動画撮影に関してはかなり微妙だなと感じました。
センサーは良いとして、やはり課題はソフトウェア側の処理でしょうか?流石にめちゃくちゃコストがかかるので難しいとは思いますが、ブランドとしての次のステップはそこでしょう。
Blackview HERO 10まとめ
Blackview HERO 10のまとめとしては、荒削りな所もたくさんありますがそれ以上に、中格安スマホを展開していたBlackviewのステップアップぶりにとても驚かされました。過去にもスマホやタブレットなどをレビューしてきましたが、ベースとなるのはエントリー帯ながらも、様々な付加価値をプラスし、その他格安メーカーと文字通り差別化を果たしてきました。そしてついに折りたたみという非常にコストがかかる構造をいち早く取り入れた事に驚きです。まさか中華の中堅メーカーでこの部材を調達できるとは思いもしませんでした。
逆にいうと、中堅メーカーであっても折りたたみという複雑な機構のスマホをプロデュースできるぐらい一般的になってきているのかもしれません。実際にBlackviewだけでなく、他メーカーでもフリップタイプの展開が盛んです。
一方で、やはりその複雑な機構からより工数がかかるためか、Blackviewという格安メーカーながら価格はやや高めです。そうなってくると、日本での販売ルートをしっかりともつNubiaやZTEのほうが実売の価格が抑えられるため、そのへんと戦おうとするとBlackviewが不利な状況です。
もう一世代すすむとフリップタイプのコストもより圧縮されて、中堅メーカーの強みも出てくると感じました。
また、Blackviewなどの中華メーカーにおいては、Aliexpressなどのセールを狙うのも一般的で、メーカー側もそれを前提にしている節があります。今回のHERO 10もこのレビューの前後でセールを行うようなので、そのタイミングを狙ってみるのがおすすめです。
2024年6月16日よりセールスタート!