全パイン
今回はXiaomi Watch S4をレビューします。ついに発売されたXiaomiの大人気スマートウォッチの最新版です。Watch S4は2万円という低価格ながら、その価格帯では似つかわしくない圧倒的なクオリティとスペック、そしてユニークなベゼル交換ギミックを備えた超ハイコスパなスマートウォッチです。
恐らく2万円以下のスマートウォッチの中では一二を争うほどにコスパが良く、爆発的に売れるのが分かりきっています。
鉄板製品なのはもう当たり前なんですが、約1年ぶりの登場で最新のXiaomiフラッグシップスマートウォッチがどのような進化をしているのかは多くの人が気になる点でしょう。今回はしばらく使った感想をお伝えしていきます。
Xiaomi Watch S4 本体チェック
Xiaomi Watch S4の本体を見ていきましょう。まず開封の時点でこれが2万円以下とは思えないぐらいにクオリティが高いです。前作S3も価格以上のクオリティでしたがそれ以上です。おそらく現時点で2万クラスのスマートウォッチのどのレベルよりも質感は良いですし、下手したらGalaxyWatchなどのハイエンドラインにも負けないぐらいのクオリティがあると思います。
今回のS4は本当にデザインが整っているというか、かなりクラシックラインにデザインが寄っていると思います。似てるなと思うのはGalaxy Watch 6 Classicでサイズ感やケースの感じなど全体的にかなり近いなと思います。
まず、最初に思うのはそのデカさ。縦横47.3mm 厚みは12mmとスマートウォッチとしてはかなり大柄な部類に入ると思います。前作も47mmなんですが、それよりも大きく数字以上に感じますね。ディスプレイサイズも同じ1.43インチのはずなんですが一回り大きく見えますね。
まず特徴的なのはやはりベゼルで交換ギミックを備えています。交換ギミックはまた後ほど見るとして、今回購入したホワイトカラーではシルバーのステンレスベゼルがついています。前作はヘアライン仕上げのシンプルな無地ベゼルでしたが、今回はベゼルにもナンバーとスケールが掘られておりだいぶクラシックになっています。サイドは溝が細かく掘られています。後述しますがめちゃくちゃ硬いので外すのが大変です。
本体サイドには大きな回転操作に対応したクラウンも追加になりました。回転クラウンはXiaomi Watch S1 Proぶりでだいぶ懐かしいです。クラウンも非常に凝っており回しやすいように大型でサイドには溝掘りで、トップは黒色のワンポイントアクセントが入るこだわりっぷりです。クラウンもあるので余計にサイズが大きく感じるのかもしれません。
サイドケースはアルミニウムが使われています。前作はマットな仕上げでしたが、S4ではポリッシュとマットが混ざった手の込んだ研磨がされています。ぱっと見はステンレス素材のようにも見えますね。見栄えは非常に良いと思います。右サイドにはクラウンの他にボタンもあります
ベゼル交換ギミック 前作と互換性は?
ベゼル交換ギミックを見ていきましょう。前作から引き続きベゼルをひねることで簡単に外すことができ、公式が発売しているきせかえベゼルに交換ができます。
今回の初期ベゼルなんですが、最初は鬼のように硬いんですよね…。男の力で回そうとしても結構大変です。コツとしては上下を強くつまむようにし、ゆっくりひねる感じでしょうか?勢い余って滑って落とさないように気をつけましょう。なんでここまで硬いのか?というと、前作では簡単に外れて落下するという事故があったそうです。私の個体では勝手に外れたことはないんですが、明らかに前作よりも固くなっているので、落下対策でしょうね。
また、今回はベゼルが外れると、画面上にベゼルが外れたことと、振動でアラートを出すようになりました。振動はボタンで解除しない限り鳴っています。やはり前作の落下対策でこのようになっているんですね。むちゃくちゃちゃんとしてますね。
気になるのは前作のベゼルが流用できるのか?ということですが、これは流用が可能です。ディスプレイの円のサイズも、取り付け位置なども完全に互換性があるようです。ただ、古いベゼルは、新しいベゼルよりもだいぶ簡単に外せます。前作と同じ力加減になっているので、ベゼル自体で外れにくくなっているのが注意点かもしれませんね。
今回、新しいベゼルを購入することができませんでしたが、大体3千円~6千円の間でストラップとベゼルのセットキットを購入することができます。なお、今回からベゼル専用のウォッチフェイスもあるようで、特定のベゼルをセットしたときのみ出るフェイスがあるようです。このフェイスはMiFitnessアプリからはダウンロードできないようです。そーゆープレミアムギミックがあるんですね。
より明るくなったディスプレイ
ディスプレイは1.43インチの大型で縦横466px の高精細な有機ELパネルが使われています。
前作からの進化点として輝度が大幅に向上しました。前作は基準となる輝度が600nitで、屋外での視認性がやや悪かったんですが、Xiaomi Watch S4では標準最高輝度が1500nit / ピーク輝度は2200nitと非常に明るく強化されています。実際、太陽光が強く指す場面で白色のフェイスをつけるとわかりやすいんですがくっきりワントーン明るくなりました。前作はその辺が不満点だったのでそこが強化されたのは嬉しいです。
リフレッシュレートはもちろん60hz、自動調光にもしっかり対応しています。
ウォッチフェイスとAOD
ウォッチフェイスはおそらく160種類程度用意されています。バリエーション豊富で特にクラシカルなフェイスが多いように見えますね。
今回追加になったフェイスは高品質なものが多く、フェイスデザインを長押しで編集できるものなど、多数収録されています。バッテリー消費も合わせて目安が表示され、スイープ運針やアニメーションがついているもの、秒単位まで表示するフェイスなどは高消費になっていますね。
AODは常時設定、就寝時未着用時は消えるスマート設定、時間でON/OFFができるスケジュールの三パターンが使えます。ここは他社と比べても充実している点です。AODフェイスもウォッチフェイスごとに対応しているものもあります。
HyperOSベース UIの違いと動作化
UIを見ていきましょう。OSはHyperOSをベースにした新UIになっています。UIで追加になったのは回転クラウンで、これで操作がしやすいよう設計されたUIのように見えます。
ここ最近のXiaomiウェアラブルはUIの操作方法にやや一貫性が無く、プロダクトごとに細かく差異のある異なった操作になってるのがちょっと気になる点です。今回のXioami Watch S4も前作S3とガラッと操作が変わっています。
特にホーム画面からの上下左右のスワイプ動作の割当がプロダクトごとにバラバラです。上スワイプで通知、下スワイプは新しくなったウィジェットカード、右スワイプはウォッチフェイスリストで、左スワイプは割り当てられていません。どうでしょうか?かなり特殊な操作体系ですよね。コントロールパネルはどこいったと思うかもしれませんが、コンパネはサイドの下ボタンになっています。ちょっとこのプロダクトごとに操作体系がバランバランなのはいただけないですね。まぁスマートウォッチを複数持つ人のほうが稀なんで一般的な人にはあまり関係ありませんが、なんでここまでして毎回変えてくるのかが謎です。
- 設定変更
- アイコンテキスト
- アイコン
- リスト
そういった謎はありつつも詳細を見ていきましょう。まずはクラウンを押した時に出るメニューリストですが、初期設定で、アイコンのみ、アイコンテキスト、リストタイプから選択出来ます。解像度が高いのでアイコンテキストでは情報量が多いながらもすっきり表示できます。また一番下までスワイプするとこのレイアウトをすぐに切り替えることも出来ます。
今回だいぶ変わったと思うのは下スワイプで出るウィジェットカードです。よくある左右にあるウィジェットを下リストにした感じでしょうか?下にどんどんめくって行く感じです。ウィジェットカード自体も一つ一つの情報量が多く、デザイン性もよいですね。ウィジェット画面で長押しすると追加と編集も可能になっています。ちなみに、先程のメニューとウィジェット画面はシームレスにつながっており、最後まで言うと切り替わるようになっています。謎のこだわりです。
右スワイプではダウンロード済みのウォッチフェイスを素早く買えることができます。あまりこの感じでウォッチフェイスを切り替えられるのは見たことがないですね。ちなみにウォッチフェイス長押しでいつもどおり変更も可能です。またフェイスごとにカスタマイズ項目がある場合はこちらでしか編集出来ません。
同じ設定が違う操作でわざわざ2つあるのはあまりUI設計としてはどうなんだろうか?と思いました。
動作間に関しては、基本的かなり快適で動作間ではあるんですが、UIがリッチになったこともあってか、前作よりサクサク感がやや悪い気がします。もっさりしてるという事では決して無くて、アニメーションが豪華になったおかげでトランジションがより入るようになりました。それがサクサク感が無いと感じるのかもしれません。ただ、2万円台のスマートウォッチと考えれば過剰なぐらいリッチな動作感は満足度は高いです。
通知周り
通知周りでは未だにLINE返信に対応しませんね。HUAWEIとAmazfit、その他の有名メーカーは大体対応してるんですがなんで頑なに対応しないんですかね?通常通話へのSMS返信は対応できるのになんでLINEは対応できないんでしょうか?この辺はもうちょっと進化してもいいんじゃないですかね?
これは他のメーカーもそうなんですが、通話アプリを楽天リンクにしていると通常の通話扱いにならず通話の通知が出来ません。一応不在として残す事は出来ますが楽天SIMでリンクアプリを使ってる人は気をつけましょう。
最後に通知周りではバイブレーションがちょっと弱いと感じます。これは前作S3からそうだったんですが、本体の精度きっちりしているからか、なんかバイブが抑えられてるような気がするんですよね。もうすこしバイブの強度は上げてくれたほうが通知はわかりやすいです。
プレイリストも作成可能なミュージック機能
2GBのストレージを搭載し、ローカルストレージミュージックを使う事ができます。この機能はAndroidのみです。アプリからスマホ内にある音楽ファイルを転送する事が出来ます。そこそこ容量もあるので、圧縮したファイルであれば数十曲は入りそうですね。
また、プレイリストを作成する事も出来ます。アプリで独自の命名でプレイリストを作り、転送したファイルを入れる事が出来ます。
音楽はスマートウォッチ側で、ローカルストレージを流すか、スマホ側のコントロールかを選ぶ事が出来ます。ローカル再生の際、左スワイプすれば作成したプレイリストにアクセスが出来ます。
また、BTでイヤホンを接続する事も出来ます。BTイヤホンを接続すれば、時計単体のみで音楽を楽しむ事ができるため、わざわざスマホを持たなくても良いです。ワークアウトなどの時は重宝しそうな機能になっています。
BT通話機能
スピーカーを搭載しているのでもちろんBT通話も可能です。アプリから連絡先をインポートすれば、時計から発信が可能になります。時計がマイクとスピーカーの役割をはたします。
一点、音楽で使っていたBTイヤホンは使う事が出来ません。これどのメーカーのスマートウォッチもそうなんですが、なんでBT通話はイヤホンを使えないですかね?時計から発信した場合は音声自体も時計から流れる仕様になっています。
LINE通話は使えそうで使えない
結果としてはLINE通話で使う事は出来なかったんですが、なんかギリ使えそうで使えないです。LINE着信時は通常の電話と同様にバイブレートが続き、電話を取るボタンも表示されます。
これはもしかして使えるのか?!と思いましたが、電話を取る事は出来ますが通常の通話のようにマイクとスピーカーが有効化されずいくら時計に話しても何も聞こえませんでした。
使えないんかい!って感じなんですが、なんかちょっと修正すれば使えそうな雰囲気がありますがどうなんでしょうかXiaomiさん?
ヘルスケア機能
ヘルスケア周りでは最新のセンサーを搭載し、より精度が高くなったと謳います。正直Xiaomiのスマートウォッチの現時点での弱みはヘルスケアなどでしょう。というのも、他社製品がデータをもとに様々な基準で面白いヘルスケア情報を提供してくれるのに対して心拍、睡眠、SpO2、ストレスとシンプルな構成でまとまっています。
例えばHUAWEIウェアラブルなんかは医療機器認定を取った血圧測定やより専門的な睡眠ログだったりと、データとしての権威性も重視しています。Amazfitであればメンタルの可視化だったりと面白い観点からのデータ提供などがユニークです。
一方、Xiaomiはあまりそういった強みがないのでシンプルすぎるんですよね。もう少しこの辺のソフトウェア開発は進めてほしいですね。
新機能としては、ヘルスケア項目を一括で計測する健康診断が追加になりました。いわゆる一括測定で、項目をまとめて見ることもできる機能です。
睡眠ログもシンプルです。一応睡眠の質を動物に例える睡眠タイプという指標があります。7日間連続で着用して寝ると総合的なデータが見れる機能です。ただ、この分厚いスマートウォッチをつけながら寝るのはちょっとしんどいです。
睡眠の提案についても、なんか健康診断で言われるような感じのレベルでデータに専門性がないですね。
ワークアウト
ワークアウトもシンプルです。ここもヘルスケア同様に他社と比べてやや寂しいポイントでしょう。一応高精度なGPSを搭載し、掴みもよく、屋内からの復帰なども早かったです。
私はまったくできないので詳しくは分かりませんが、スキー中の点灯検知が可能になったようです。通常の点灯検知は深刻な点灯を検知すると設定した電話番号へ緊急発信と、位置情報のメッセージ送信ができます。これがスキーにも対応したという事ですね。
バッテリー持ち
バッテリーは486mAhでスマートウォッチとしては大容量な部類だと思います。標準使用で15日間とロングバッテリーですがこの値は、心拍数意外の健康管理をすべてOFFにした場合の持ちとなります。これられに各種ヘルスケアの自動取得などを乗せて行くとその分消費が大きくなります。
今回の検証ではAODをON / 各種ヘルスケアすべてON / 自動ワークアウトもON という超ヘビーユースパターンで使っていましたが、大体この状態で20%ほどは1日あたり消費します。おおよそ4~5日持つかな?といった感じですね。機能をすべてONにしてこれだけ持てば十分でしょう。
また急速充電にも対応し5分間の充電で通常使用で2日分を充電可能としています。実際に70%から5分間でどこまで充電できるか試したところ85%まで充電できました。15%ほどで2日はちょっと厳しい気もしますが、1日であれば持ちそうです。
充電器がこれまで同様のチャージャーとケーブルが一体化したものになっています。そろそろチャージャーとケーブルをセパレートするタイプに以降してほしいですね。
前作Xiaomi Watch S3とXiaomi Watch S4を比較して
前作Xiaomi Watch S3からちょうど1年ほど経って登場した今回のXiaomi Watch S4ですが、では乗り換えはどうでしょうか?それぞれを比較して大きく違う点は、ディスプレイの強化、UIのリッチさだと思います。
ディスプレイに関しては明確に満足度があがりました。前作のS3はだいぶ暗く屋外だとちょっと見づらかったんですよね。そこが改善されたのは大きいと思います。
デザインはよりクラシカルになったように見えますが、実はベゼルによるところが大きく、入れ替えると正直わからないです。S3自体も高級感という部分は非常に高いです。一番多きいのはUIですね。よりS4のほうがリッチになりました。ただ、見た目がリッチになったというだけで機能性的には大きく変化はないのかな?と思いますね。
なので現在S3を持っていて、S4への乗り換えを悩んでる人は、一回待ってみても良いのかな…と思いました。これはスマートウォッチ全般に言えますが、目新しさはなかなか生まれないですよね。
さすがに今から買う初めて買う!という事であればWatch S4をおすすめします。おそらくAmazonのセールなどでS3が若干安く悩むと思いますが、その価格差なら新しいS4を選ぶかな?という感じですね。
Xiaomi Watch S4まとめ 良い点と悪い点
最後にXiaomi Watch S4の良い点と悪い点をまとめたいと思います。価格としては圧倒的に優れているところと、価格なりだよなってところがあるのも実際のところです。
良い点
- 高級感がある / デザインが秀逸
- 基本的なことは満足にできる機能性
悪い点
- 他社と比べてできる事が少ない
まず良い点としては高級感とデザインの秀逸さについてです。特に高級感に関しては同クラスの他社製スマートウォッチとは別格で、普通に5万円オーバーレベルの高級機と並ぶぐらいのクオリティがあると思います。
クラシカルデザインはシンプルにカッコよく、今となっては貴重な低価格ながら高級感も持ち合わせたモデルとなっています。こんなの売れないわけがないじゃないかというのが率直な気持ちです。
人を選ぶサイズ感なのも否定は出来ません。男性の腕でもだいぶデカいなと感じるので、女性だとだいぶ浮くかもしれませんね。前作S3よりも大きいのでインパクトあるデザインが好みな方におすすめできます。
また機能性に関しては2万円台という基準ならば十分すぎる機能性です。
一方、悪い点としては他社製の同価格帯と比べてできる事の幅が非常に狭いと感じます。ライバルとなってくるのはAmazfti / Huawei の2万円クラスですが、それらのスマートウォッチと比べて細かい部分でXiaomiができない事が多いです。
例えばLINE返信ができなかったり、ヘルスケアワークアウトの掘り下げが足りていなかったりといった部分は強く感じます。
機能性においては十分だとも言えますが、他メーカーがわりと画期的な機能を取り入れているのに対して、あくまでオーソドックスな機能に収まっているという感じでしょうか?
Xiaomi Watch S4をまとめると、圧倒的にガワに対してのウェイトが大きい分、機能性がほかのスマートウォッチと比べてやや寂しいというのが総評でしょう。デザインの秀逸さと基本的なクオリティはまじで2万円を切ってるというのがおかしいぐらいに突き抜けたクオリティがあるので間違いなくおすすめできるスマートウォッチです。